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続・医薬品の有効性や安全性、誰の言葉を信じますか? 製薬マネーと公正性

世界中で医薬品に関する様々な研究論文が発表されていますが、一方で、多くの研究費や講師料、原稿料などが、製薬会社から医師や研究者に提供されています。何らかの形で製薬会社とつながりがある人たちが有効性や安全性を評価して、テレビや記事などで語られる内容は、公正な判断といえるのでしょうか。

「ディオバン事件」

長くなったので2回に分けました。前回からの続きです。

コロナワクチンやHPVワクチン推進派の人たちは、やたらと「論文」「論文」と言ってきますが、なぜすべての論文が公正な立場で書かれたと信じることができるのでしょうか。

過去には、高血圧治療薬「ディオバン」(一般名バルサルタン)に関わる 5 つの臨床研究論文に不正があり、「ディオバン事件」として名を残しています。

以下、病院経営者のための会員制情報紙「集中/MedicalConfidential」(2016年7月16日付)の記事より一部引用。 

「ディオバン」は、ノバルティスファーマ社が開発した高血圧症の薬で、日本では2000年9月に承認されました。製薬企業が様々な降圧剤を開発して市場に送り出してくる中で、他社との売上競争に勝つため、血圧を下げる本来の効果に加え、狭心症や脳梗塞の発症を抑える効果があるとして同社が売り込んだのが「ディオバン」だったのです。

※白橋被告は、同社元幹部です。

4大学で問われたのは1大学のみ  
そして、この薬に「狭心症や脳梗塞の発症を抑える効果がある」とのお墨付きを与えたのがディオバンを使って行われた医師主導臨床研究だった。東京慈恵医大、京都府立医大、滋賀医大、千葉大、名古屋大の5大学でそれぞれ行われ、各大学や厚生労働省などの調査では、このうち名大を除く4大学で血圧値などの統計解析に不正があったとされた。白橋被告(※)は5大学の臨床研究に統計の専門家として身分を隠して加わっていた。

さらに、各大学の臨床研究はノ社から提供された奨学寄付金によって行われており、その金額は京都府立医大が3億8170万円、名大が2億5200万円、千葉大が2億4600万円、慈恵医大が1億8770万円、滋賀医大が6550万円。合わせて11億円以上もの金額が投じられていたとあっては、ノ社お抱えの研究と断定されても仕方がないだろう。

 多額の寄付金を〝回収〟しようとしたのか、ノ社は5大学の臨床研究の結果をプロモーション資材に数多く使用。特に02年に始まり、最初に「ディオバンの効果」を〝証明〟した慈恵医大の論文(Jikei Heart Study=JHS)は英医学誌『ランセット』に掲載され、ノ社だけでなく医師の投薬行動に大きな影響を与えた。

 厚労省は14年1月、容疑者不明のまま薬事法(誇大広告の禁止)違反容疑で東京地検に刑事告発。だが、東京地検特捜部が強制捜査を行った同年2月時点で慈恵医大の研究論文は時効を迎えていて、白橋氏が問われたのは京都府立医大の論文「Kyoto Heart Study(KHS)」への関与のみだった。前述の記者は「JHS主任研究者の望月正武教授(当時)は慈恵大学の栗原敏理事長と医学雑誌で対談するなど、大学を挙げてディオバンを大々的に宣伝していた。にもかかわらず、逃げおおせたことには批判も大きい」と指摘する。時効の壁に助けられ、法廷での真相解明に委ねられたのはKHSだけとなったが、そのKHSをめぐっても裁判は混迷を深めている。

https://www.medical-confidential.com/2016/07/15/post-1392/

結局、裁判では「論文作成においてイベントの水増し、恣意的な群分け、データの改ざんがあったが、学術論文を作成、投稿することは薬事法の規制対象には当たらず、罪に当たらない」として白橋氏は無罪となりました。データのねつ造は認めたものの、論文への投稿は薬事法でいう、「一般人の目に触れる広告には該当しない」という解釈だったそうです。現場の医師らも納得しなかったようですが、最高裁でも上告は棄却されました。

<参考>
ディオバン事件-研究者と企業の倫理(医の倫理の基礎知識 2018 年版) 桑島 巖 臨床研究適正評価教育機構理事長

「シンスロイド事件」

アメリカでは、「シンスロイド事件」と呼ばれる論文発表への妨害がありました。

以下、上記サイトから一部引用。

1987年に,シンスロイドの製造企業ブーツ社は,カリフォルニア大学サンフランシスコ校のベティ・ドン薬学博士(女性)にその比較研究を依頼しました。その結果,「シンスロイドの薬剤当たりの甲状腺ホルモン含有量が他の新薬と比較して高い」という,ブーツ社側にとってはよい結果を得ることができました。そこでブーツ社は,彼女に研究費をつけて薬物動態,臨床効果などを含む他社製品との比較研究を引き続き依頼したのでした。

 しかしながら,彼女は1990年に「比較した4つの薬の効果は同じである」という結論に至りました。当然ブーツ社側はデータを痛烈に批判し,紙面発表を阻止しようとしました。一方ドン博士側も,「研究データは正当である」として抗議したのです。この闘いは,ブーツ社と大学との闘いにまで発展しました。ブーツ社は,「患者選択基準に問題がある」「実験手技の信憑性が低い」「統計が間違っている」「倫理的問題をクリアしていない」など,諸々の点で難癖をつけて論文発表を阻止しようとしました。

https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/old/old_article/n2001dir/n2442dir/n2442_06.htm

ロサンゼルス・タイムズによると、ドン氏による予備研究の結果はブーツ社が望んでいたことが示唆されたようです。

その後ドン氏は、25万ドルの研究費をもらって、甲状腺機能低下症の女性22名を対象に、4種類の製品をそれぞれ6週間にわたりランダムな順序で投与する実験を行いました。すると「これらの差は統計的に有意ではなく、したがって大多数の使用者にとって臨床的に有意ではない可能性が高い」という結果が出てしまったのです。

結局は,ブーツ社の言い分を一部受け入れた形で1994年「JAMA」(アメリカ医師会雑誌)に投稿の運びとなりました。薬剤の半減期を考慮しながら,キャリーオーバー効果が生じないように工夫するなど,よくデザインされ優れた薬効評価の研究でした。さらに,彼女はカバーレターに「ブーツ社は,われわれが逐一データを送り,数多く会合を持ったにもかかわらず,とても結果に対して批判的でした。よってブーツ社の関連の者が査読にあたらないようにお願いします」と書き加えたのです。

この論文は5人の査読官(そのうちブーツ社の相談役も含まれていた)に送られ,一部訂正の後に受理され,翌年1月発行の予定となりました。ところが,今度はドン博士が突然論文発表を取り下げたいと言い出したのです。その理由は,最初に彼女がブーツ社と研究契約を結んだ際,「この研究で得られたすべての情報は秘密であり,これを公表する時は製造元の許可を必要とする」という記載にサインをしていたために,企業側がこれを理由として大学を相手取り訴訟を起こすと言い出したからです。そして大学側は,博士に論文を取り下げるように要請しました。

https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/old/old_article/n2001dir/n2442dir/n2442_06.htm

学術研究の発表は大学の基本原理であり、中立が保たれなくてはならないので、中立を保ち論文発表できないのであれば、ドン氏は研究費をもらって研究するべきではなかった、という批判が大学内部で起こったのでした。

ブーツ社はJAMAに博士と研究を批判する手紙を送りつけました。さらにブーツ社のメイヤー博士は,ドン博士に何の通達もなく,博士たちのデータを使用しつつも,解釈を変えて反対の結論を出し論文発表してしまったのです。メイヤー博士は「Am J Therapeutics」の編集委員であり,自分の雑誌に掲載するという手を使ったのです。

https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/old/old_article/n2001dir/n2442dir/n2442_06.htm

さらにブーツ社は、解釈を変えた論文まで発表しました。

しかしながら,FDAはブーツ社に対し「シンスロイドを実際の薬効以上に評価している」として厳重注意の判決を下しました。最終的にブーツ社側は分が悪いと悟り,大学と交渉して一部修正を加え,ドン博士の論文は,1997年になり当初より7年後れて「JAMA」に発表となったのでした。

https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/old/old_article/n2001dir/n2442dir/n2442_06.htm

ドン氏は製薬会社が望む結果を出せなかったけれど、事実として発表しようとしました。それを阻止しようとしたのは、製薬会社です。もちろん、最初に契約内容をしっかりと確認しなかったドン氏にも責任があります。けれども、このようなことがあるならば、研究費としてでなくても、製薬会社からなんらかのお金を受け取っている研究者たちは、製薬会社の望む結果が出せるように研究をデザインしようとするのではないでしょうか。

直接その会社からもらっていなくても、どこかの製薬会社から仕事を得たいと思ったら、「製薬会社の望む結果を出せる人」として評価されたいでしょう。

もちろん、公正に研究をしている人もたくさんいると思いますが、そのような人には製薬会社などから論文発表への妨害などもありえます。

2024年1月11日に行われた一般社団法人ワクチン問題研究会の会見で、福島雅典氏(京都大学名誉教授)はコロナワクチンに関する論文について下記のように語っていました。

症状が全身に起こるとか、複数の疾患が同時に起こるなんて、見たことがないというのが医者の率直な意見です。しかし、それを報告しようとすると色々な邪魔が入るんですよ。そういうこと自体が、学問の自由を障害する話です。ある教室では、学会発表と論文は検閲が行われるんですよ。これが全世界的に起こっています。ジャーナルによっては、事実上検閲が行われています。日本国憲法では、検閲はしてはならぬとちゃんと明記されてるんです。それなのに、そういうことが公然と起こっているのです。

https://www.nicovideo.jp/watch/sm43262153  より

ですから、「因果関係を示す論文がない」とか「論文で安全性が示されている」というだけでは、安全性を判断することはできないと思います。

医薬品の安全性については、実際に起きていることに目を向け、被害者の声に耳を傾けた上で検証していくことが必要なのではないでしょうか。

まずは、安全性や有効性を公正に評価すべき医師たちの意見が偏っていたら、そのことに疑問を持つ必要があると思います。



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