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ワクチン接種後の健康被害救済制度

先日、新型コロナワクチン接種後に死亡した方に、初めて一時金支給が認定されたことが報じられました。けれども「予防接種健康被害救済制度」の認定基準に関しては、不透明な部分が多いです。

「厳密な医学的な因果関係までは必要ない」

以下、読売新聞オンラインから引用します。

コロナワクチン接種後に死亡、初の一時金支給…急性心筋梗塞の91歳女性  読売新聞オンライン 2022/07/25 23:26

厚生労働省の専門家分科会は25日、新型コロナウイルスワクチンの接種後に死亡した91歳の女性について、死亡一時金の請求を認めた。新型コロナワクチン接種後の死亡例で、死亡一時金を支給するのは初めて。
91歳の女性は接種後に急性アレルギー反応と急性心筋 梗塞 で死亡した。女性には、脳虚血発作や高血圧症、心肥大の持病があった。認定には、厳密な医学的な因果関係までは必要なく、専門家分科会は「接種後の症状が予防接種によって起きたことが否定できない」として認めた。 
新型コロナワクチンの接種では、副反応が原因で死亡した場合などは、予防接種法上の救済対象となる。遺族には、死亡一時金として最大で4420万円、葬祭料として21万2000円が支給される。

https://www.yomiuri.co.jp/medical/20220725-OYT1T50209/

ワクチン接種後の「副反応疑いの報告」では、現場の医師が「因果関係あり」と報告しても専門家会議でそのほとんどが「因果関係の評価不能」となっているのに、ここでは「厳密な医学的な因果関係までは必要ない」と書かれています。

なぜこのような違いがあるのでしょうか?

予防接種健康被害救済制度

予防接種健康被害救済制度については、厚労省のサイトで説明があります。

「新型コロナワクチンに係る健康被害救済について」という資料にも、下記のように書かれています。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000864824.pdf

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https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000864824.pdf
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https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000864824.pdf

その上で、認定に当たっては「厳密な医学的な因果関係までは必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象とする」という方針で審査が行われている。

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000864824.pdf

確かに、記事に書かれていることが、こちらにも書かれていました。

もう1つ気になったのは、疾病・障害認定審査会が2つあることです。
救済制度の流れという図を見ると、(感染症・予防接種審査分科会)
(新型コロナウイルス感染症予防接種健康被害審査部会)の2つがあります。

今回、91歳の女性が認定されたのは7月25日なので「感染症・予防接種審査分科会」の方です。こちらは、新型コロナワクチン以外の予防接種についても審議されています。

実際に、7月25日の結果を見ると下記のように書かれています。

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000968535.pdf

認定された1件が記事に書かれた人で、それ以外は保留。なぜ、認定されたか、ほかはなぜ保留なのかはわかりませんが、否認でないなら、今後認定される可能性はあるということです。

7月25日の審議件数12、認定1、保留11となっています。
これまでの進達受理件数 :3,680件(認定件数 : 850件、否認件数 : 62件、現在の保留件数 :16件)
認定、否認、保留以外の残りは、まだ審議さえもしていないということでしょう。

前回(2022年6月16日)の結果を見ると、インフルエンザはHPVワクチンなどのみの。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000968536.pdf

前々回(2022年5月19日)はまた新型コロナ分となっていて、
審議件数30、認定23,否認4,保留3。
これまでの進達受理件数 :1,967件 (認定件数 : 731件、否認件数 : 55件、現在の保留件数 : 15件)

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000952254.pdf

5月19日時点で「現在の保留」が15件、7月25日に保留となったのは11件。7月25日に「現在の保留件数」と書かれているのは16件。保留分は、いつ認定あるいは否認になるのかよくわかりません。

そのほか、新型コロナ分として結果が出ているのは下記の4回分です。

2022年4月18日
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000930467.pdf

2022年2月10日
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000896495.pdf

2021年12月9日
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000864789.pdf

2021年8月19日
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000821004.pdf

保留になっている分には症状名などが書かれていないので、どれが後に認定・否認されたのかがわかりません。4月18日審議分で91歳女性の死亡事例が保留になっているので、今回認定されたのはその事例かもしれません。とにかく、不透明な部分が多すぎると感じました。

もう1つの「新型コロナウイルス感染症予防接種健康被害審査部会」は、7月28日に最新の審議結果が出ています。なぜ新型コロナワクチンについてはすべてこちらで審議せずに、上記の部会と分けているのでしょうか。

こちらでは第1回が2021年9月13日に行われてから、審議の内容もかなり変わってきている印象です。

追記:
2つの審査結果が1つのページで公開されるようになったため、上記はリンク切れになっています。2つとも下記にまとまったようです。

当初認定されていたのは、アナフィラキシーやアレルギーがほとんどでしたが、2022年2月24日分あたりから、「不随意運動」「四肢冷感、全身倦怠感」「脱力発作」などが認定。6月23日分では、「左手指しびれ、左上肢筋力低下、左手の不随意運動」「左肩関節周囲炎、左肩腱板疎部炎、腱板炎、滑液包炎」「左肩関節周囲炎」、7月28日分でも「左上腕疼痛」「左肩関節周囲炎」が認定されており、これはSIRVAの事例(下記参照)ではないかと思われます。
6月23日分 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000955760.pdf
7月28日分 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000970743.pdf

そうだとしたら、誤注入による痛みで保険適用外の治療を受けている方も、申請すれば救済される可能性があるということです。

「副反応疑いの報告」では因果関係の評価不能


一方、「副反応疑いの報告」では、相変わらず死亡については、因果関係が認められないものが10件ある以外は、すべて因果関係の評価不能となっています。

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会)> 第82回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和4年度第8回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催) 8月5日資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000208910_00046.html

資料1-3-1 新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要(コミナティ筋注) より


https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000972971.pdf

モデルナ社製、アストラゼネカ社製も同様に「評価不能」です。

ファイザー社製のワクチン接種後に死亡した事例の中で、91歳の女性、急性アレルギー反応と急性心筋梗塞と書かれたものは見つけることができませんでした。1例、91歳女性で急性心筋梗塞と書かれた事例がありましたが、それが今回救済制度で認定された事例と一致するかはわかりません。「患者背景や死亡に至った経緯に関する情報が得られておらず、ワクチン接種と死亡の因果関係は評価できない」と書かれており、アレルギーについても書かれていません。また、入浴中の死亡が認定されるなら、他にもたくさんいると思います。

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000972971.pdf

副反応疑いの報告については、「報告の対象となる症状の発生を知った、医師又は医療機関の開設者は、予防接種法第12条に基づき、報告しなければならないこととされています」と書かれています。

つまり「副反応疑いの報告」は、医師又は医療機関の開設者による報告が中心となっています。一方、救済制度は健康被害を受けた人が申請しするものです。ですから、「副反応疑いの報告」と救済制度は別々の流れを経ていると思います。もし、「副反応疑いの報告」として出されたものしか救済制度に申請できないなら、因果関係の評価不能なのに認定されるのはおかしいです。2つの制度は連携しておらず、それぞれで評価されているから、このようなことになるのではないでしょうか。

もしそうだとしたら、「副反応疑いの報告」として出されていなくても、救済制度で認定される可能性はあるのかもしれません。

けれども、救済制度で認定されるまでにはかなりの労力と時間、費用もかかるようです。健康被害の出ている人がこれらの手続きをするのは、大きな負担となります。カルテの開示など、医師の理解や協力も必要です。ご本人や家族だけでは、とても難しいでしょう。必要なサポートを得るためには、まずは周囲の人が、接種による健康被害が起きていることに対して理解することが大切だと思います。そして、同じような状況にある方たちをつなぎ、情報を共有していくことが必要なのではないでしょうか。