趣味はオタマトーンを少々…と言えるようになった【初級者ガイド付き】
あなたは電子楽器「オタマトーン」を知っているだろうか。

オタマトーンは、オタマジャクシみたいな顔の、音符を模した電子楽器だ。棒の部分(シッポスイッチ)を押して、もう一方の手でお口をパカパカして音を出す。

何年か前に海外のオーディション番組でオタマトーンが評価されている動画を観たことがあった。
まさか今頃買うことになるとは。3週間ほど前に購入し、やっと自分なりの楽しみ方ができるようになってきた。少しずつ上達し、うまく共鳴できたときの感動ったら。ちょっと中毒的だ。
3,000円足らずで始められて、場所を取らずシンプルに楽しめるいい趣味。縦型であること、狙った音を出しにくいところ、音域に制限があるところから、難易度はリコーダーのちょい上くらいか。
とっつきやすい楽器である反面、うまくなるにはピアノ経験者のわたしでもちょっとのコツがいるように感じたので、せっかく手にしたオタマトーンを触らなくなってしまう人を減らせるよう、初級者として楽しみやすいやり方をここに書いていこうと思う。
オタマトーンを知って興味が湧いた人、購入を迷ってる人、趣味を探している人は参考にしてください。
※後半はかなり実践的な内容になっているので、買ってから読んだほうがいいかも。
オタマトーンを購入するまで
オタマトーンとの出会い
飲食店の順番待ち、電話で呼び出されるまでの暇つぶしとして入ったドンキをうろついていたら、オタマトーンコーナーが展開されていた。
動画装置で演奏してみた動画がループ再生されており、ボヘミアンラプソディーやダンシングクイーンなどの名曲をオタマたちが楽しそうに合唱している様にわたしの目は釘付けになった。その様子がやけに脳裏に焼きつき、家に帰ってからもちょこちょこオタマ動画を検索しては見るようになった。
おすすめはとりにくの里さんの動画。とにかくオタマたちが生き生きとしていて癒される。
私はもとより、ストレスが溜まると家でオタマトーンのような声で鳴く習性があった。
家がひどく散らかってるとき。
「パェー」
仕事のやり取りが変な方向に行ったとき。
「メェー」
オタマトーンの存在を認識してから、そんな自分の鳴き声にメロディを付与してみたくなった。せっかくだから楽器で代替してみよう。そう思ってオタマトーンの購入に舵を切った。
オタマトーンを選ぶ
オタマトーンは2009年から発売。具体的な発売年は知らなかったけどそこそこに歴史が長いみたいだ。その間、さまざまなモデルが発売されてきた。
アンプに繋いだり音色を変えられるモデルもあるみたいだが、初めてのオタマトーンとして二種類まで絞った。
・オタマトーン スタンダードモデル
通常サイズのオタマトーン。軽くて高音が綺麗。デラックスに比べるとオモチャ味が強いらしい。音量2段階。Amazonで¥2,400
・オタマトーンデラックス
支柱部分が長い分音程が合わせやすくなったり、太い分複数の指を置いての楽器ぽい演奏ができるらしい。ツマミで音量が調節できる。Amazonで¥5,800ほど
本腰入れてやるとなったらデラックスを選ぶが、続けられるか分からなかったのではじめの一歩としてスタンダードモデルを購入することにした。
スタンダードモデルはデラックスに比べると弾きにくいという噂もあるが、動画の方々はあんなにも綺麗な音色でオタマトーンを歌わせてるじゃないか。私も一生懸命練習して、行けるところまでがんばってみよう。
あらたな趣味の始まりの予感に、にっこりしながら寝た。
オタマトーンを購入してから
断末魔しか出ませんけど?
翌日、オタマトーンが届いた。
付属の単四電池を入れて、試しに弾いてみる。
「ぺェァー」
「ギェピー」
想像していたより大きな音でオタマトーンが叫び声をあげる。思わず音量調節ボタンを確認したら音量(小)だった。
これが産声か。どっちかっていうと断末魔だけど……。これでは私の鳴き声がメカになってパワーアップしただけではないか。
動画を上げてる方のオタマトーンの鳴き声は、艶のある弦楽器のようなビブラートが美しい音色で、私のオタマトーンとは全く違う楽器のように聞こえた。まるで白銀色のユニコーンを連想させるような音色だ。
うん、まあ…。よく考えれば分かるはずやけども、オタマと初対面のズブの素人がいきなり公式にも紹介されるレベルの技巧を持っとるわけないやろ。野球を始めたからといっていきなりオータニになることはできひんのや。分かったら一年は球拾いから始めんかい。
弾くためにまずやること
気を取り直し、自分のオタマと仲良くやっていくための工夫をしよう。まずは弾きやすいようにいくつかのポイントを押さえる。
①右手弾きか左手弾きか決める
パッケージ裏など公式の説明では、右手でシッポスイッチを押さえて左手でオタマのお口をパカっとやると書いてあったが、自分はしばらくして逆に持ち替えた。

というのも、ピアノ経験者の自分の頭の中では「右に行くほど高音、左に行くほど低音」という刷り込みがあった。公式通り右手でシッポスイッチを押さえる場合は、ピアノと逆で右に行くほど低音になってしまい、頭がこんがらがる。混乱系のアイテムを食らったかのようだ。
逆の持ち方に変えてみたところ、私の場合は急に弾きやすくなり、スムーズに運指ができるようになった。脳の感覚と指が連動している。
※説明書に左利きの人は逆の方が弾きやすいかもと書いてあった
②オタマのシッポスイッチに音階を書き込む
オタマトーンのシッポスイッチには特に音階などが書かれておらず、そういう楽器に慣れてない初心者にはどこから弾くのかのヒントがない。しかもピアノと違って音階が均等に並んでいたり、切れ目が見えるわけでもない。低い音ほど1音あたりの幅が広く、高い音に行くほど幅が小さくなっている構造だ。
だから、公式で紹介されているようにシッポスイッチの長さに合わせたテープを貼り、その上にマジックで音階を書いていくといい。

このとき音感があれば楽なのだが、ない人は「チューナー アプリ」などで調べるとそれなりに無料のものが出てくるはずなので使ってみよう。
いきなり全音階なんて分からないよ、チューナーめんどいよって人はとりあえず後述の練習曲を最低限演奏できるように、その曲を何度も流しながらお目当ての音とピッタリ合う場所を探り当てて書き込むのも手だ。
ちなみにこのとき、実際弾くフォームで音階を測るのが大切みたい。私は最初測るとき、お琴のようにオタマを仰向けにして垂直に押さえて音階を書いていた。その後通常の弾き方で弾いてみたら結構ピッチが変わって書き直すことになった。指紋認証みたいにその人の押さえ方の癖があるので、きちんと弾く状態で測ろう。
(後日談:海外に行ったり温度が変わったりしてもピッチがかなり変わるっぽい、電子楽器なのに?)
初級者はオタマトーン(独唱)を避けよ
ここまで準備してきて、ようやく曲を弾く準備が整った。はじめに言うが、付属のハッピーバースデーソングは初心者には難しすぎると思っている。鬼だ。合わないピッチでの低いドから高いドのオクターブに私は心が折れかけた。
しかし、ここで挫けるのにはまだ早い。いきなり上手くできないなりにも楽しくオタマを演奏する方法(もとい練習曲)を見出した。
それは、オタマトーンの独唱を避けて人の演奏に加わることだ。さらに具体的には、リフが印象的な曲を爆音で流し、リフ担当として演奏に参加するのが良い。
初級者がリフ曲を弾くといい理由①
やはり楽器の楽しみとは、奏でて酔いしれ、その音楽に没入できることだと思う。私のオタマトーンは最初ピッチも合わず、メロディも再現できず、お世辞にも音楽っぽさがなかった。だからこそリフ担当の役割を与えて、音楽の世界に混ぜてもらうのだ。たとえ担うのは一音だけでも、特徴的なオタマの音色でセッションに加わるだけで、音楽を楽しんでいる実感がグッと増す。
初級者がリフ曲を弾くといい理由②
リフ曲は曲中で何回も同じフレーズをリピートする。楽器に限らずかもしれないが、練習はとにかく反復が大切だ。一回フレーズ弾きに失敗して本来くじけるところ、リフ曲だとへこむ間もなく次、はい次、とずっと同じフレーズを練習するターンが回ってくる。平均4分の曲を完奏だけで、気づかぬうちにそこそこの反復回数を得られているのである。上達スピードも上がる。
知らんけどギター教本みたいなことを言ってるかもしれない。でもたしかに、好きな音楽を爆音でかけてオタマと合わせるのが楽しくて、自分の部屋で何時間も弾いてしまうギター少年みたいになっている。
実際にわたしが演奏してみていい感じだったリフ曲を練習曲としてここに紹介する。カタカナ音階だけでは分かりにくいかなと思って音声もつけたけど、わたしも同じく初級者なのでリズムやピッチに揺れがあるよ。
練習曲レベル1
同じ音を同じ出し方をするだけでままならない。そんなときはこの曲を楽しみながらシンプルに音を出すこと&ビブラートを練習しよう。
若者のすべて / フジファブリック
▶︎レ♭レ♭レ♭レ♭レ♭レ♭レ♭レ♭
イントロとAメロは全てこれで押し切れる!Bメロとサビは何もせずに揺れてよう。出番が来たらここぞとばかりに歌う!
均等に同じ音が出せるようになってきたらビブラートの練習。オタマのお口を振り子のように、赤子をxy両軸であやすように、カクテルをシェイクするように大げさに振ると楽しいぞ。
練習曲レベル2
レベル1の単音に比べるとメロディになっているが、かなりシンプルなフレーズのリフ曲。
本能 / 椎名林檎
▶︎ファミファミファ×3 |ファミソファミファ
イントロとサビと間奏は全てこれで押し切れる!さっきよりもっと音楽っぽい。転調したらソファ♯〜になります。MVに出てくるギタリストっぽくスタイリッシュに没頭しましょう。慣れたらメインのメロディをコピーするのもオタマの奏法を活かしやすくて楽しい曲。
赤い電車 / くるり
▶︎ファファラファファ|ファファドファファ
曲通して間奏の一部以外これで押し切れる。本能と比較すると、ファから高いドのジャンプがあるため難易度が上がる。この曲はエモーショナルにというより、オタマに本来電子楽器であることを思い出してもらうように弾こう。スタッカートの練習もしたい。
練習曲レベル3
もはやオタマがメインメロディ(ループ)となり、曲をリードするようになる。ここまで来ると自分天才じゃね?と思える次元にいけます。
夜を使いはたして feat.PUNPEE / STUTS
▶︎レミ♭レド|ファシ♭|シ♭ドレ|ミ♭レド
この曲もずっとこのフレーズで乗り切れる。フレーズ後半もリズムに乗りながらだとスルッと回収できたり。ずっとこれ弾いてると、何かが整ってくる曲。
Another One Bites the Dust / QUEEN
▶︎(シ♭ラ♭)ファファファ|ファ|ファファラ♭ファシ♭
オタマトーンのLOWの音域をエンジョイできる曲。音域設定変えると測ってた音の場所変わります。最初の(シ♭ラ♭)はできればの装飾ね。運指速くて何回も録り直したけどフレディのパワーボーカルと噛み合ったとき楽しすぎる曲。
Luv (sic) pt4 (feat.Shing02) / Nujabes
▶︎(レ♭ミ♭)ファ|ファミ♭ファ|レ♭ミ♭ファ|ミ♭ファラ♭シ♭
シ♭ラ♭ソ♭ラ♭|ラ♭ドミ♭レ♭|レ♭ミ♭ファ|ソ♭|ファミ♭レ♭ド
ひと段落がなげー。これだけで四季めぐってる。全編これをずっと弾いても違和感はないのだが、すこーしずつフレーズが言葉尻単位で変わっていくのがニクいぜ。最初の(レ♭ミ♭)はリピート時に付けることもある。
慣れてきたら
練習用リフ曲をつっかえずに弾けるようになってきた頃には付属のハッピーバースデーソングもかなり曲っぽく弾けるようになっていると思う。お誕生日、おめでとう。
ここまできたら、コピーするか楽譜を読んで曲をいっぱい弾き始めよう。オタマトーンがやっと意思を持って歌い始めた感じがある。もはや日によって合わなくなる手書きのピッチより、目を瞑ったほうがうまく弾けるのでは?と勘違いしている。
ちょっと挑戦、オタマ映え曲
もしオタマトーンの発表会があったとしたら、このあたりの曲に挑戦したい。
◆抱きしめて / butaji
オタマトーンを弾くときに真っ先に浮かんだのがこの曲(もちろん弾けなかったが)。どこを取ってもオタマ映えするメロディ、音域、たっぷり奏でられるテンポ感。連弾もいいな。
◆LOVE PHANTOM / B’z
イントロとアウトロをオタマの美ソプラノで歌い上げよう。アップテンポだけど、案外音階のジャンプが少なくて勘で弾いててなんとかなる。
◆ピアノ協奏曲第2番ハ短調作品18 第一楽章 / ラフマニノフ
オタマ協奏曲である。弾くのはどちらかといえばストリングス側の譜面だけど、流れるようなメロディがオタマの音色にぴったり。どのメロディを拾うか迷いながらも11分完走するとジグソーパズルを完成させたかのような満足感が得られる。
書いててテンション上がってきた。
狙ったビブラートやピッチのグラデーションを繰り出せるようになると、ゲーム曲の耳コピ合わせが楽しい。完全に趣味ではあるがニーアゲシュタルト/レプリカントの曲はどれもオタマに合う。息継ぎ含めコピーして恍惚とできる。
おわりに
終盤思ったより早口になってしまった。それくらい自分の中で今オタマが熱いのである。
オタマトーンはお口から出ている音なだけあってインストよりフルボーカルの方が弾きやすい気がするし、個人的にはよりエモーショナルな曲の方が特色を活かしやすいのかなと思う。
下手にピアノに慣れていると、ギターなんかはコードを押さえるだけでこんなにきついのかと挫折してしまっていた。案外単音を鳴らす楽器のほうが使用感がかぶらなくていいのかもしれない。食卓でもソファでも弾ける取り回しのいい楽器、顔がかわいいと思う楽器というのもユニーク。もっと弾いてうまくなりたい。
オタマトーンは楽器経験がない大人がはじめても楽しめる楽器だと思う。やっと涼しくなってきた今日この頃、新しい趣味としてオタマをお迎えしてはいかがだろうか。
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