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英語はいつ始めるべきか 中1英語「難化」の構造と最適ルート

いま、日本の英語教育が大きな転換期を迎えています。
SNSでも話題になっていますが、中学校の英語教科書が激変して、
「小学校で英語をやってきたよね?」という前提で、信じられないスピードで中学校での授業が進むようになりました。

「小学校英語は失敗している」
「早期英語は意味がない」
「むしろ必須だ」
など、意見はさまざまです。

では結局、
「英語はいつから始めたらいいの?」

この問いに対して、私はこう考えています。
「進むルート(中学受験か高校受験か)によって戦略は異なるが、言語発達のルールは共通している」


1.小学校英語が抱える構造的な無理

公立小学校で英語を一斉に教えること自体、構造的にかなり無理があります。
子どものレベル差が大きすぎるからです。

・インターナショナルスクール出身
・帰国子女
・英語教室に通っている子
・アルファベットも覚えられない子

同じクラスの中にはさまざまな背景を持つ子がいます。
この状況で一斉授業を成立させるのは簡単ではなく、どのレベルに合わせても、必ず誰かが置いていかれます。

2.なぜ中1英語は急に難しくなったのか

中1英語が急に難しくなったのには、はっきりした制度上の理由があります。
文部科学省の学習指導要領改訂により、小学校では3・4年生で「外国語活動」、5・6年生で教科としての「外国語」が導入されました。
小学校英語は「おまけ」ではなくなり、中学校は「小学校で一定の英語学習を終えてきた」ことを前提にスタートする構造に変わりました。

小学校で扱う語は600〜700語程度、中学校ではそれに加えて1,600〜1,800語程度の新語を扱うことになっています。

親世代
be動詞→一般動詞→三人称単数
という文法積み上げ型でした。

現在
会話表現→一般動詞→助動詞can→疑問詞→三人称単数
文法順ではなく使える表現順になっていて、動詞の形や文法が整理されないまま複数同時に登場し、子供が混乱しやすくなっています。

しかも問題は、単に語数が増えただけではありません。
小学校では「コミュニケーション重視」の流れが強く、中学校でもその延長で、文法を十分に整理しないまま会話や表現活動に入ることが多い。

これは本来かなり不自然な学習方法です。
算数で言えば、「九九を教えずに応用問題を解かせている」ようなもので、論理的な理解を飛ばして「なんとなく」で進むため、中学に入った瞬間に崩れるケースが多いです。

これが現在の「中1英語が難しすぎる」と言われる背景の一つです。

3.「小学生で英検2級」という情報の正体

SNSを見ていると、
「小学生で英検2級」
「小学生で準1級」
というパワーワードが飛び交いますが、これに焦る必要はありません。

多くの場合、そういう子どもたちは
・インターナショナルスクール出身
・帰国子女
・家庭内言語が英語

といった特殊な環境にいた子たちです。
つまり、一般的な家庭とは前提が違います。

公立小学校に通いながら、他の教科とバランスを取りつつそこを目指す必要はありません。

むしろ無理に詰め込むと、
算数や国語といった基礎教科を圧迫することになります。

4.受験ルート別に整理する「英語の必要性」

英語の位置づけは、受験ルートによって大きく変わります。

  • 中学受験組(難関私立)
    進度が異常に速いため、小学校からの貯金がないと入学後に苦労する可能性が高いです。
    もし将来、中学受験で英語が必須科目になれば、受験組の学力は公立組を圧倒的に引き離すことになるでしょう。
    実際に英語1科目で受験できたり、英検の級によっては自己推薦入試のような形式を取れる中学校も増えています。

  • 中学受験組(中堅校)
    多くの学校では「1から丁寧に」教えてくれる体制があります。
    受験科目に集中するため、英語を一旦横に置くのも現実的な選択です。

  • 高校受験組
    英語は強い武器になります。英検による加点などの優遇制度も多く、
    英語の得点力がそのまま受験結果を左右するケースも少なくありません。

    たとえば
    大阪府立高校の入試では、英検スコアがそのまま「当日の点数」として保証されます。
    府教育委員会が定めた以下の「読み替え率に基づき換算した英検の点数」と「英語の学力検査の点数」を比較し、高い方の点数が受験者の英語の学力検査の成績となります。

    • 英検2級 = 入試本番の得点80%(72点/90点満点)保証

    • 英検準1級 = 入試本番の得点100%(90点満点)保証

      英検を持っていれば「最低点」が確保されるため、他教科に全振りできる圧倒的有利な状況が生まれるのです。

5.我が家の実践

我が家の場合

  • 幼稚園3歳:公文式で1から始めて慣らす

  • 小3:5級→4級合格 公文H教材終了

  • 小4:公文I教材終了 ここで中学受験に専念するため一旦「休憩」

  • 中1:3級→準2級 受験終了後すぐに再開 
    4級の土台(発音と耳)があったおかげで、割とスムーズに取得。

小4で英検4級までで十分だと私は考えています。
それ以上は急ぐ必要はなく、大学受験に間に合えばいいからです。

ただし学習には目標が必要なので、英検を一つの目安にしています。
現実的には高校生のうちに準1級を目指す形になるでしょう。

6.リスニングの「耳」は9歳が黄金期の臨界


リスニングの耳が育つ黄金期は、一般的に9歳前後が臨界期だと言われています。
この時期までに4級レベルの英語に触れておくことで、良い発音とある程度のリスニング力が手に入ります。

実際、わが子も中学受験によるブランクがありましたが、発音はさほど崩れず今のところはリスニングで困ることはありません。

小学生まで:リスニング優位
中学生以降:リーディング優位
に変わっていきます。

7.英検3級から必要になる「日本語力」

もう一つ重要なことがあります。
英検3級からは文法の理解が必要になります。
「現在完了形」「関係代名詞」「不定詞」
こうした抽象的な概念は、日本語の論理がある程度理解できていないと定着しません。
つまり、英語には「耳の時期」と「論理の時期」があるのです。
低学年の子に無理に教え込んでも「暗記」にしかなりません。
日本語の構造を理解できる年齢になってから学ぶほうが、結果として効率が良いと思います。

8.結論

英語は急ぎすぎる必要はありません。
大学受験に間に合えば良いのです。

ただし、耳の黄金期(9歳まで)に4級程度まで触れておく。

その後は受験に集中し、中学から論理として英語を学び直す。

言語発達の順番を守ることこそが、わが子を「英語嫌い」にさせず、着実に力を伸ばす近道だと確信しています。

英語教育で大切なのは、流行ではありません。
言語発達の順番と、受験ルートに合わせた設計です。



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