「5枚のテンプレート」で作る人事戦略 【"読む"HRBP研修】
今回は実践!HRBP研修の3回目となります。
前回はHRBPが作成する人事戦略の全体像と8つの構成要素を紹介しました。
今回は 人事戦略デザインの「実践編」として、5枚のテンプレートを使ってHRBPが担当事業部門の人事戦略をデザインする方法 を紹介します。
今回使うテンプレートは、実際に私がHRBP時代に自作して使っていたテンプレートになります。

人事戦略デザインの理想は、前回紹介した人事戦略の8つの構成要素を1つずつ詰めていくことです。しかし現実には、(人事戦略がHRBPの重要業務とは分かっていても)日々、対応すべき事項が多い中で十分に時間が取れないことも多々あります。
企業でHRBPを担っていた時に、いかに焦点を絞って効率的に人事戦略をデザインするかを考え(悩み)、5枚のテンプレート(うち1枚は「まとめ」なので実質は4枚のテンプレート)で担当事業部門の人事戦略をデザインする方法を考えました。
今回は、テンプレート1枚ずつ 検討ポイントや具体的な作成方法、記入例をご紹介していきたいと思います。

【セッション4】実践的な人事戦略デザインのポイントを押さえておきましょう
【セッション3】までは前回の記事をご参照下さい。
実際に人事戦略のデザインを始める前に、「実践的」な人事戦略デザインの4つのポイント(下記)をイメージしておきます。
人事戦略の対象期間を設定する(長期 or 中期 or 単年度)。
重点対象を明確にし、そこに焦点を当てる(メリハリをつける)。
8つの構成要素の間のつながりを大事にする。
まずは粗い内容/仮説で一通り作成した上で、段階的に完成度を上げていく(最初のドラフト版から"完全さ"を追求しない)。
事業部門トップ以下の関係者と一緒に完成度を上げていく。
事業部門全体の視点だけでなく各部署の課題の積み上げの視点を持つ。
この中で特に大事な 2. 3. と 6. について補足します。
<補足> 2.「重点対象」の明確化
人事戦略をデザインする時には、事業部門内の全ての部署・全ての社員を対象にしようとせず、焦点を当てる「重要対象」を明確にすることが非常に大事であると感じています。
人事戦略の「重点対象」とは、
担当事業部門のビジネス成功に最もインパクトが大きい組織 と 必要な人材
その人材の効果的・効率的な確保方法
その組織への最適な人材の配置方法
その組織に配置された人材が最大限に活躍できる環境
となります。
重点対象を明確にすることで次の様な利点があります。
・戦略のビジネスインパクトを高める
・戦略実行のリソース分散を防ぐ
・戦略デザインの時間切れを防ぐ
・事業部門トップ以下の関係者と認識共有しやすい
特に3点目については私自身、苦い経験が何度もあります。HRBPが作成した人事戦略ドラフト案を事業部門トップ以下の主要関係者に説明する時に、重点対象=焦点がぼやけると"狙い"や"やりたいこと"が伝わりません。
もし重点対象を絞り込みすぎて、事業部門トップ以下の主要関係者から「足りない/絞りすぎ」と言われたら、その時に協議しながら重点対象を広げていけばよい、くらいの意識で思い切って/割り切って重点対象を絞ることをお勧めします。
<補足> 3. 構成要素間の「つながり」の明確化
人事戦略の構成要素間の「つながり」は、上の「重点対象の絞り込み」と同じくらい大事です。実際に「つながりのない人事戦略」をイメージして頂くために、実例をデフォルメしたサンプルを下に書きました(かっこ内には、皆様が感じるであろう「つながり」の疑問を付記しました)。
事業計画上で重要な組織機能は ①AIを活用した新規サービス の開発と導入と②オペレーション業務のデジタル活用による効率化
育成の重点対象は 全ての管理職のコミュニケーションスキル(あれ?AI・デジタルや新規サービスの知識・スキル強化は?)
苦戦しているキャリア採用では、安定・安心して働ける環境であることをアピールして採用ブランディングに取り組み(せっかくだから AI/デジタル活用や挑戦する組織であることもアピールした方がよいのでは?)
エンゲージメント向上のためにDEI(女性社員活躍)に注力(それも大事だけど、皆がAI/デジタルを活用して創造や挑戦する仕掛けやカルチャー醸成の方が大事では?)
つながりを明確にすることで次の様な利点があります。
・戦略のビジネスインパクトを高める
・戦略実行のリソース分散を防ぐ
・戦略デザインの迷走による非効率さを防ぐ
・事業部門トップ以下の関係者と認識共有しやすい
実際に 組織設計・ポジション定義・重要ポジション設定・タレントプール構築(採用・育成・リテンション等)・サクセションプランニング・最適配置・活躍環境整備(組織開発等)…と構成要素を1つずつ集中して詰めていると「つながり」を見失いそうになったことが多々ありました。
人事戦略デザインの時には、戦略全体を俯瞰して構成要素間のつながりをこまめに確認しながら進めることをお勧めします。
<補足> 6. 各部署の「積み上げ」の視点
事業部門の人事戦略デザインの際、事業部門全体=各部署に共通する課題や取り組みを考えがちになります。
しかし現実には、同じ事業部門内であっても 部署によって具体課題は異なることが多いため、事業部門共通の課題や取り組みを設定しようとすると(無意識のうちに)抽象化してしまい、結局 各部署の具体課題に刺さらないこともあります。
人事戦略デザインの際には、事業部門方針や共通課題から考えるトップダウンだけでなく、各部署の具体課題の積み上げで組み立てる=ボトムアップの視点も持ち合わせて下さい。
ここからは、これらのポイントを念頭に置きながら、5枚のテンプレートを使って実際に人事戦略をデザインしていきたいと思います。
【セッション5】 実際に担当事業部門の人事戦略を作成しましょう
下の図のテンプレート1から5までを順番に作成していきます。

<テンプレート1> 重要機能・組織の特定
<テンプレート1>の目的は、事業部門のビジネス成功のために(=事業部門の事業戦略・計画の実行に当たって)重要な機能を特定し、その機能を担当する組織(部署)を「重要組織」として設定することです。
【テンプレートの説明】
最初に<テンプレート1>(下図)の見方を説明します。
このあとの各パーツの作成方法の説明の際に記入例も用意していますので、あわせてご参照下さい。

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