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#15 ChatGPT+Codexのススメ ~先端AIは、もはや水や空気と同じ知的労働インフラである

私は普段から、ChatGPTとCodexをかなり使っています。

ChatGPTは、調査、文章作成、構造化、壁打ち、資料のたたき台作成などに使っています。
Codexは、コードを書く用途だけでなく、ローカルファイルの整理、簡単なツール作成、データ処理、HTML作成、文書や表の処理などにも使っています。

使っていると、これはもう単なる「便利なツール」ではなく、日々の知的作業において、ChatGPTやCodexがある状態とない状態では、もはや見えている世界が違うと言ってもいいのではないかと思います。

私はAppStore経由でChatGPT Plusを購読していますが、これだけの能力が月額3,000円で使えるのですから、破格と言えるのではないでしょうか。

ChatGPTは、すでに「個人が慣れているAI」になっている

ChatGPTの強さは、単に性能が高いことだけではありません。

多くの人が、すでに個人として使い慣れていることです。

OpenAIの発表では、ChatGPTは週次利用者が9億人を超え、消費者向けの有料契約者も5000万人を超えています。
さらに企業向けでも、ChatGPT for Workは700万席を超え、ChatGPT Enterpriseの席数も大きく伸びています。

これは、普通の業務システムとはかなり違う普及の仕方です。

通常、企業システムは会社が導入し、社員が研修を受け、少しずつ使えるようになります。

しかしChatGPTは逆です。

社員が先に使い慣れています。
便利さも知っています。
何ができるかも、ある程度わかっています。
そのうえで、会社が後から正式導入を検討する形になっています。

つまりChatGPTは、企業に導入される前に、社員の頭の中に導入されているのです。

会社が「AIを導入します」と言う前から、現場の一部はすでにAIを使っています。
会社が「AI活用研修」を始める前から、できる人は自分の仕事のやり方を変えています。

Codexは、もはやプログラマーだけの道具ではない

最近、特に重要だと感じるのがCodexです。

Codexというと、まだ「プログラマー向けのツール」と思っている人が多いかもしれません。

確かに、コードを書く能力は非常に高いです。
しかし、実際に使ってみると、それだけではありません。

Codexは、ローカルファイルを扱い、複数のファイルを読み、処理し、整理し、修正し、成果物を作る方向に進んでいます。

これは、プログラマーだけの話ではありません。

事務系の仕事でも効きます。
企画職にも効きます。
人事にも効きます。
営業支援にも効きます。
データ分析にも効きます。
研究開発にも効きます。

PDFをまとめる。
ExcelやCSVを整える。
大量の文書から一覧表を作る。
議事録から論点を抜く。
社内資料のたたき台を作る。
簡単な業務ツールを作る。
Webページや簡単なゲームを作る。
散らかったファイルを分類する。

こうした作業は、従来なら「面倒だが誰かがやらなければならない知的雑務」でした。

Codexは、この領域を「普通の会話で指示するだけで」かなりの速度で処理できます。

OpenAIの発表でも、Codexは週500万人以上が使う規模に成長し、ユーザーの約20%はナレッジワーカーだとされています。
つまり、すでに「開発者だけの道具」ではなくなり始めています。

ChatGPT Workで、さらに境界が溶ける

そして本日、OpenAIはChatGPT Workを発表しました。

ChatGPT Workは、長めの複雑な業務を進めるためのエージェントです。
調査や分析を行い、接続されたアプリやファイルをまたいで作業し、ドキュメント、スプレッドシート、プレゼン、レポートなどの完成物を作るものとされています。

さらに、新しいChatGPTデスクトップアプリでは、Chat、Work、Codexが一つにまとまる方向です。

Chatで考える。
Workで成果物にする。
Codexで技術的な作業やファイル処理を進める。

この三つがつながると、AIは単なるチャット相手ではなく、知的労働の実行環境になります。

GPT-5.6 Solも有料プラン向けにロールアウトが始まっています。
私の環境でいつ、どの範囲まで使えるようになるかは段階展開次第ですが、ChatGPT Workと併せて使えるようになるのを楽しみにしています。

これは、IT部門だけの話ではありません。

非エンジニアにも、業務実行AIが更に広がるということです。

「Copilotだけで十分」は、本当にそうでしょうか

日本企業の多くには、Microsoft 365が導入されていると思います。Copilotが付いてくるプランも多いでしょう。

Outlook、Teams、Word、Excel、PowerPoint、SharePoint、OneDriveなど、企業が日常的に使っている環境にCopilotが組み込まれていることは大きな利点です。

全社員にまず配布するAIとしては、自然な選択だと思います。

しかし、そこで止まってよいのでしょうか。

全社員にはMicrosoft 365 Copilot。
そのうえで、より高度に使いたい社員にはChatGPT BusinessやChatGPT Enterprise。
さらに、作業実行やファイル処理、開発、分析に強い社員にはCodexも認める。

私は、このくらいの階層化が必要だと思います。

全員に同じAIを一律に配る必要はありません。
しかし、使える人の手足を縛る必要もありません。

「会社として管理しやすいからCopilotだけ」
「ChatGPTやCodexはよくわからないから禁止」
「高度なAIはIT部門だけで検証する」
「事務系や企画系には使わせない」

もしそういう運用をしているとしたら、かなり危ういと思います。

それはAI活用ではなく、AI特権階級の形成です。

黒い画面を触れる人だけがAIを使う時代ではない

AI活用がIT部門やプログラマーの専売特許になると、企業は大きく間違えます。

もちろん、IT部門は重要です。
セキュリティ、権限管理、ネットワーク、データ保護、システム連携。
こうした専門性は不可欠です。

しかし、AIで本当に変わるのは、コードだけではありません。

むしろ大きく変わるのは、業務そのものです。

何を調べるのか。
何を判断するのか。
何を資料化するのか。
どの業務を減らすのか。
どの例外処理を標準化するのか。
どの意思決定を高速化するのか。
どの知的作業をAIに渡すのか。

これは、黒い画面にコマンドを打てる人だけで決める話ではありません。

現場の人間、企画の人間、営業の人間、人事の人間、管理部門の人間、研究開発の人間。
それぞれが、自分の仕事をAIにどう渡すかを考えなければなりません。

そのためには、ChatGPT、Codex、そしてChatGPT Workのような高性能なAIに触れる機会が必要です。

使ってみなければ、何が変わるのかわかりません。
体験しなければ、仕事の再設計などできません。

AIは、黒い画面の向こうに閉じ込めておくものではありません。
普通のホワイトカラーの机の上に置くべきものです。

禁止すれば安全、という発想の危うさ

ただし、IT部門がChatGPTやCodexを禁止したくなる気持ちもわかります。

情報漏洩が怖い。
個人情報が怖い。
機密情報が怖い。
著作権が怖い。
誤回答が怖い。
責任の所在が怖い。

どれも無視してよい話ではありません。最近のエージェントAIは能力が高すぎる故に、下手な指示を出すとこれらの地雷を踏んでしまいます。

だからといって全面禁止にするのは、安易ではないかと思います。

本来やるべきことは、禁止ではなく教育ではないでしょうか。

会社管理のChatGPT BusinessやEnterpriseを用意する。
使ってよい情報と、使ってはいけない情報を分ける。
個人情報や機密情報の扱いを明確にする。
成果物は人間が確認する。
AIに任せてよい作業と、任せてはいけない判断を分ける。
利用ログや管理の仕組みを整える。

つまり、AIを使わせないことではなく、安全に使わせることが管理部門の仕事になるはずです。

「AI利用免許」を用意してはどうか

では、企業はどうすればよいのでしょうか。

私は、生成AIやエージェントAIの良さと危ない面を学ぶeラーニングを用意し、オンラインテストに合格した社員には、会社管理のChatGPTやCodexの使用を認める形がよいと思います。

単なるプロンプト研修ではありません。

AIは何が得意なのか。
どこで間違えるのか。
ハルシネーションとは何か。
機密情報や個人情報をどう扱うべきか。
エージェントに作業を任せるとき、どこで人間が確認すべきか。
AIの出力をそのまま信じてはいけない場面はどこか。
成果物の責任は誰が持つのか。

こうした基本を学んだ人から、段階的に利用を認める。

これは、禁止よりもはるかに健全です。

たとえば、次のような形です。

レベル1:全社員(一般利用)
安全重視設定のMicrosoft 365 Copilotなどを使った一般的な文章作成、要約、公開情報の調査。

レベル2:テスト合格者(高度利用)
ChatGPT Business / Work / 各種コネクタを使った社内文脈へのアクセス、資料作成、壁打ち、構造化。

レベル3:テスト合格者(専門利用)
Codexを使ったエージェント実行、業務自動化、システム連携、ファイル処理、データ生成、簡易ツール作成。

こうすれば、企業側も「野放し」ではなく、「教育済み利用者に限定して許可」と言えます。

危ないから禁止するのではなく、危なさを理解した人から使えるようにする。

この方が、現実的で前向きな管理だと思います。

まだ、出る杭を打ち続けますか

一度、ChatGPTやCodexで仕事をした人はわかると思います。

AIがあると、仕事の立ち上がりが速くなります。
調査が速くなります。
文章化が速くなります。
構造化が速くなります。
面倒な作業に着手しやすくなります。
頭の中のもやもやを外に出しやすくなります。

これは単なる時短ではありません。

知的労働の呼吸が楽になる感覚に近いです。

逆に、それを禁止されると、単に不便なのではありません。
自分の能力を封じられているように感じます。

若い人や優秀な中堅ほど、そう感じるようになるでしょう。

将来的には、求人や面接でこう聞かれるかもしれません。

「ChatGPT Businessは使えますか」
「Codexは使えますか」
「ChatGPT Workは使えますか」
「個人アカウントではなく、会社管理環境で使えますか」

この問いに答えられない会社は、知的労働環境として見劣りしていくはずです。

もちろん、全社員に最高級AIを配れ、という話ではありません。

しかし、使いたい社員、使える社員、成果を出せる社員には、会社管理の環境で使わせるべきではないでしょうか。

全員向けにはMicrosoft 365 Copilot。
高度利用者にはChatGPT BusinessやEnterprise。
実行系・分析系・開発系・資料処理系にはCodex。
業務成果物を作る仕事にはChatGPT Work。

こうした選択肢を用意することは、これからの知的労働環境として、かなり重要になると思います。

あなたの会社は、管理を理由に出る杭を打つ会社でしょうか。

それとも、急激に伸びようとする芽に、水を与える会社でしょうか。

先端AIは、もはや一部のIT好きの玩具ではありません。
知的労働者にとって、水や空気と同じインフラになり始めています。

その現実を認める会社と、認めない会社。

数年後、その差はかなり大きくなっているはずです。

※本記事の内容は筆者個人の見解であり、所属する企業・大学・その他関係組織の公式見解を示すものではありません。

動画版はこちら
https://youtu.be/iQV0wkAHrKg

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