FM言ノ葉「第7回きっとあなたの1400字」投稿作品への感想

本記事は、VRChat内のラジオ「FM言ノ葉」において2023年5月に開催された企画「第7回きっとあなたの1400字」に投稿された全小説作品への、私の一言感想です。作者名は敬称略でご容赦ください。

お題は「となり」「兎」「音」「先生」「テレビ」から一つ選ぶ形式でした。全ての作品は、2024年6月12日現在、VRChatのワールド「言ノ葉堂2号店」にて読むことができます。

作品がwebで公開されている場合には、各作品への感想の後にそのリンクを載せます。私の知る限りで載せていますので、公開しているのに載っていなかったり、リンクが誤っていたりする場合には何らかの方法で私までお伝えください。確認の上修正します。



津楽『ソラバヤシ』、「空いっぱいの光のパイプオルガン」という表現が、死を意識しているという状況と相俟って、浮世離れしていながら浮世を全霊で味わっているという印象をいいバランスで作り出していると思います。

小鶴こづる『まわる。』、風景と心象の混じり方のバランスが非常にいいと思います。「かざぐるまはまわる」のような短文を同型で連続させることで「自分ではどうにもならない感じ」を演出するのは私も大変好きでよく使う手です。

ソーサツ・チエカ『Local mirror in the sky』、いつものやつです。「電子式メタバースの持続可能性には危うさがある」という話と「メタバースによって広まりつつある営みは人類の普遍的な心の在り方に通じている」という話をしています。写真は懐郷の秋澄む夜で撮りました。

はにらい『幼馴染の恋』、蒼梧が(確か)一言も「好き」とは言っていないのが、余韻を残す感じがあっていいと思います。いかにも大学生編がありそうだという印象を受けました。相手の見ていないところでいろいろやって空回りするキャラクターは好きです。

北川梨之助『結婚』、愛とは強制力ではなく自分で意志してするものだという考え方には私も共感します。式の壇上で周囲に構わず喋り始める異様さが、さらにその決意を凄絶なものに見せており、題名のシンプルさがそれらを完成させていると思います。

くれはるり『無題』、出来事を想像するというより心象を受け止めるべきタイプの作品だと感じますが、自分が自分であることから生じる不快、それに対処しようとして起こる分裂、というのは私も関心のあるテーマです。

K(Unknown)『音響の概念と変容』、確かに1400字というのは論文のイントロくらいの分量で、あるテーマに結びついた物事を列挙するにはちょうどいいかもしれません。恐らく五感の中で聴覚だけが「時間性」を持つ感覚で、音についての話が広がりと深みを持つのはそのためだろうと思っています。

るいざ・しゃーろっと『人生の脇道で』、展開の切り替わりが多くお得感があります。また、彼女が耳と尻尾をつけていた理由などを想像すると情緒があります。ところで、私は何が私の人生の「本道」であるのか分かりませんが……

降谷椎『夢見る兎』、図らずも私と似た兎の使い方をしていました。人は遠くを夢見、一方で夢の住人は人の地に足の着いた生活の側面を強く感じている、という対比がよいと思いました。


〈以上〉

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