【事例】:自分は男になるのでは?という妄想から自由になりたい20代の統合失調症の女性との、月極サブスクリプション制電話相談過程。
A子さん 申込時24歳 女性 独身 一人暮らし 人口数万の丘の多い地方都市B市近郊部に在住。
精神障害者2級手帳保持。
精神科病院より統合失調症の診断を13歳(急性発症)の時に受ける。
即入院して閉鎖病棟で2年。
その後の学歴はない。短期間バイトしたことはあるが、A型およびB型作業所の就労、あるいは自宅静養、短い入院を繰り返す。
母親は看護師の経験があるが、A子を産んだ後統合失調症を発症、入退院を繰り返す。母親は実家であるC市の母(A子からみて母方の祖母)のもとで同居、A子は離婚した父のもとで育つ。A子は21歳の時から一人暮らし。
父親は大企業(工業系)の部長まで務めるが数千万円の横領で現在は左遷されて、来談時にA子が独居していた町から山奥50キロのD町に住み、末端の支店に勤務している。A子からすれば、「信じられないようなひどいことを平気で言ってくる」時がある。それでも頼る時は頼るしかないと。
A子の兄は高校卒業だが県庁採用試験1位合格。技術系公務員として、結婚して子供2人。A子との仲はいい。
姉は短大卒、大手ネット関連企業の支店受付業務。ヤンキー気質。A子の相談には乗るが一方的な干渉になることが多いため、A子は距離を取っていることが多い。
A子の母の母は農家。A子にはある程度理解がある。その姉は地域の呪術師的役割を担い、おせっかいだが面倒見がいい。
A子がカウンセラーの私と関わるようになって数か月後、A子は心身の調子が不安定になり、一人暮らしをやめてC市の母親のもとに身を寄せるようになり、病院もC市の母親の通う病院に転院。
A子から見ると、母親は何もしないで無為に怠惰な生活をしているだけ(料理も作らない)。A子から私への電話にはこの頃、A子が母をたしなめるような言葉がよく混じっていた。
治療者である私がはじめて電話で連絡を受けた時は、バスとタクシー乗り換えで40分ほどの私のカウンセリングルームに来談の意志がある上での申し込みだったが、とりあえず1時間ほど電話で話を聴く。
自分自身のことを非常によく整理して、長所短所を分けて表明し、自分なりに分析し、冷静に的確に言語化できる水準が非常に高いと感じた。しかしそこに「頭でっかち」という印象はなく、情緒的に充実した、若い女性らしい潤いのようなものも感じた。
治療者は、話を聴きながら、ロールシャハテストでいう、「形態水準の高いM反応たくさん出そう」と感じていた。
「私、中学校もほとんど通ってなくて」というA子に、私は「今でも関西4大学に入れるくらいの知性があると思う」と答えた。
予約日を待つことなく連絡が入り、「家まで来てくれませんか?」ということになった。私はそれを受け入れた(それを決断する必要があるだけの彼女の現実的苦境があり、現地に乗り込んで関係機関を一緒にまわってケースワーク的に動く強い必要性を感じてのことだったのだが、ここでは本筋ではないので省略する)。
彼女はタクシーで住所をあてに乗り付けたワンルームの玄関で待っていた。髪の長い、健やかな印象の美しい女性であった。みかけは20歳くらいに見える。
ほぼ立方体のIKの室内には、天蓋のあるベットが置かれ、ぬいぐるみが趣味よく並べられていた。少女趣味的とは思えたが悪趣味とは感じない程度。
彼女には私への誘惑的な態度はみじんもなく、私も彼女への情欲は特に「感じていない」とは感じたが、「私のような男性を部屋に入れて、気にならない?」と念のため尋ねると「別に。男の訪問看護師さんとか出入りしているし」。
私は自分が持ってきたペットボトルのお茶を飲み出したので、彼女はそれ以上私にお菓子や飲み物等の気を遣おうとはしなかったが、彼女は自分の子供時代や家族の写真をスマホで私に見せて説明して行き、
「これが問題の、先生が『それって、モラハラじゃない?』と言われた父ですけど、結構おとなしくて真面目そうに見えるでしょ? 外面(そとづら)はそうなんですけどね」
そして、スマホで好きな外国人ポップスの歌手の写真を見せながらその歌手の歌を歌い出すが、ほぼ完璧な英語の発音であった。
「耳で覚えてよくそこまで行くね?中学で英語勉強してないんでしょ?」
このあと、彼女と打ち合わせをした上で、書類を整理して確認し、役所や関係機関、病院等を彼女とタクシーでまわり、福祉担当者やPSWと懇談する。最終的にはPSWに主導権をバトンタッチして私は帰宅。
3回目は私のカウンセリングルームにやってくる。床に直にひかれた座布団数枚の上で彼女は横になり、足をバタバタさせて喜ぶ(この時のことを後に指摘すると、「やめてくださいよ、ほんとうに恥ずかしい思い出ですから」)。
A型作業所では、一部の利用者との人間関係に苦しむが、リーダーにはいい仕事をしていると認められることもあると。
「障害者雇用でいいから、一般企業に就職したい」
というので、手元にあった、普段使わないラップトップパソコンを開いて見せると、タイピングのサイトに向かい、猛烈な勢いでブラインドタッチで課題をこなすことに30分以上なりふりかまわず熱中し始める。
途中で課題をつっかかることなくすべてクリアーしていく。
「小学校の時に学校で教わったので」
フォーカシングの入り口、クリアリング・ア・スペースのみを教える。
それから、「サブスクリプション電話相談コース」を彼女に提案。
毎月定額1万円。いつかけてきてもいい。
ただしカウンセラーである私の側が別件で忙しい時には、その場にいても電話に出ないし、折り返しの電話もこちらからはしない。
電話に出ても、あなたの話を一言も聴かないうちに、「今は無理」と率直に言い渡す場合があるからその時はそれに従って欲しい。
「〇時ごろにかけなおしてほしい」などと一応できるだけ伝えるが、状況によってその時間帯に応対できない事態になっていることはいくらでもあり得ると理解していていて欲しい。
できるだけ良識的な時間にかけてきてほしい。
その後の電話面接の経過はここでは省略するが、毎日数回かかってくる日もあったが、多くて一日2回、長さは20分前後に収束、全くかかって来ない日もかなり出てくるようになった。かかってきた時間に私は就寝中ということは、まず生じなくなって行った。
しばらく彼女が連絡を取ってこなくなり、気になって電話をしてみたら、非常に弱弱しい声で「入院した」との返事。
私はしばらくの徹底的静養を勧め、彼女もサブスクリプション契約を更新せず。
半年ほど後、私が病院臨床の職に復帰したのを機に、彼女にこちらから連絡を取る。
「私もこれから閉鎖病棟の中にいるの」と冗談めかして。
彼女はまだ閉鎖病棟に入院中だったが、電話カウンセリング再開を希望してきた。
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今回は、この再開後の電話カウンセリング過程にのみ、照準をしぼって以下の部分で詳しく述べていきたい。
彼女の語る、私に解決してほしいテーマは2つに収束していた。
数年前に福祉関係の利用者つながりで知り合った女性から、「私のいうことを信じればなんでもうまくいく」「あなたのやっていること、考え方はすべて間違っている」と繰り返し言われ続けた時期が2年間ほどある。
その時のことが「トラウマ」になって、自分のことを全然ポジティブにとらえらなくなって、私のほんとうの気持ちがどんななのか、私は何をしたいのか判断できなくなってしまっている。その人とはとっくに関わりが終わったのに、今の私はその人に言われ続けたことにとらわれている。その人からの「呪縛」を解いて欲しい。20歳頃に、ショートの髪のかわいい友人のまねをしてショートにして、帰宅してふと家で鏡で見たら、男のような顔に見えた。それ以来、「自分は男になるのではないか?」という妄想が頭から離れない。それを何とかしてほしい。そういう妄想が「生じてこない」ようにはできないか?
私は、この2つの訴えが、実は根っこでどこかつながっているような気はした。
そのように私が感じることは伝えたが、
「恐らく今のあなたには、とてもそれがどういうつながりなのかを考えてみる余力はないと思うから、そこまでは期待しない。でも、どこかつながっていそう、と私が感じていることだけは伝えてはおくから」
私はまずは2.の課題、すなわち「男になるのではないか」という妄想を何とかしたい、という彼女の要請に対して、次のような当面のアセスメントをした。
その妄想が「再び生じてこなくする」ように「防止」することは恐らく難しい。恐らく、繰り返してこれからも生じてくる。それは雨の日がまた来るのとおなじことだ。
その妄想を「なくそう」と「正面から対峙する」ことはうまい方略ではないと思う。
むしろ、妄想が「向こうから」やってきたら、それを
「あー、来た来た、また来たか。またなの?あんた」
と「認めてあげた(アン・ワイザー女史のいう"acknowledging")」上で眺める心の余裕を持てるとうになるまでの訓練が少し必要。
その訓練の仕方は、私がわかりやすく教えるから心配しないこと。「妄想」を「解消する」というより、「脇にかわして、流してしまう」みたいなつもりになれることに慣れていく必要があると思う。
そのための訓練が必要だが、その訓練の仕方は、私がわかりやすく教えるから心配しないこと。こうした訓練は、実際に妄想が襲来してきたまさにその時にやるから価値があり、効果を実感できる。だから、「また妄想が生じてきたらどうしよう?」と心配していても仕方がないのであって。
次に「妄想が襲って」来たまさにその時に、すぐ電話してきてください。私はその瞬間なら、必ず解消できる解決策を教えられるから、心配しないでください。
その私が教える対策については、あなたはその効果をすぐに実感できると思う。しかし、それは二度と妄想が襲い掛かって来ないということではない。繰り返して襲いかかってくる度に、繰り返しその対策を実行して、習慣化する中で、はじめてその持続的効果が少しずつ出てくるようになる。それはあなたにも実感できる手ごたえになると思う。
それまでは、あなたが妄想に襲われる度に、私にすぐに連絡を取り、その対策を施すという形で、あなたに練習してもらうしかない。
そうするうちに、あなたはひとりでいる時も、私が伝授した対策を、自分だけで採って、成果を収められる方向に、徐々に向かうと思う。
そのうち、その対策は、「条件反射」(あなたにはこの言葉の意味はわかるみたいだから)のようにして身についてしまい、そのうち、無意識的に自動的にやってしまえるようになるから。
こうした、今後の方針についての具体的な手順やその目的についての即興でのガイダンス(というか、「インフォームド・コンセント」そのものですね)と、その効果の「保証」が、彼女の安心材料になると思ってのことだが、よほどそこで用いる技法に自信がないと、たいていのカウンセラーの皆様、言えないよね?というのはわかります。
彼女はここで安心して、「ありがとうございました」と、自分から電話を終わらせるわけですが。
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ほい、電話かかってきた。
「先生、来ました。妄想が。なくしてもらえますか?」
「なくす」んじゃなくて、「また来たか来たか」と認めてあげて、「脇に流す」ということなんだが、理屈で説明してもわからんだろうから
今、一から手順教えるから、ついてきて。
その「妄想」は、どっちから来てる?
…え?えーっ?......ちょっと待ってください。確かめます。
…..前です。前からこっちに。その妄想は、どこらへんまで来た?
…..ええっと……おなかの前。おなかのどのへんの前?
例えば、胃の上か下か、とか?
…..胃の真ん中の前。
…真ん中の前から、もうめり込んでます。もうめり込んでるわけだ。
わかった。
それじゃ、そのめり込んでるあたりに向けて、
「ああ、めり込んでしまってるね、わかったわかった」
と一声かけてあげてみるのはどうだろう?(acknowledging)
……声かけて、あげましたよ。それじゃ、その「めり込まれて」いるあたりには、何か嫌な感じあるかと思うけど、それについては今はあなたの説明求めない。
その胃のあたり、めり込まれたあたりの別の、他の部分の身体の感じはどうだろう?
その、「妄想」みたいなのの悪影響が及んでいない、平穏で落ち着いた体の感じの箇所って、どこかない??
…………頭の中、脳の中,及んできてませんね。すっきりしてます。それなら、あなたはその脳の中に住んでいる「小人」になってしまうのだ。
その脳の中から、胃のあたりの「妄想」が「めり込んで」いるみたいな部分を、見下ろせるかな?
……できます。その「妄想」が「めり込んでる」あたりを、少し余裕は持って眺めてはいられるよね?
…..ええ、余裕あります。意外と冷静にというか。それなら、そうやって、胃のあたりの、「妄想」が「いる」あたりを余裕をもって眺めながら、しばらく深呼吸して、頭の中は楽だ!という感じをじっくり味わってみたら?
……(ゆっくり呼吸する音)...…これが、妄想と「距離が取れた」形で眺めていられる、ということね。
これで、それを「脇に流す」ってのも、どうすればいいか、なんとなくわかるよね。
「横に放り出す」みないなの。
……..わかりますわかります。
ほんとうに楽になりました。
先生、ほんとうにありがとうございました。ただ、これは一回では済まないことはさっきも言った通り。
雨はまた降るように、「男になりはしないか」妄想は必ずまたやってくる。
その時にはまた電話してください。
練習してなじんでいくことが大事です。
…..わかりました。また電話をかけます。
******
それからわずか30分後に電話かかる。
ほいきた、また妄想襲来か。
また「練習」繰り返すしかないか。
「先生、あのですね。
私って、男みたいに見えますか?」
君に(LINEで)写真何枚も送ってもらっているけど、君は美人だと昔から思っている。このことはこれまでも何回か繰り返して言ってきたことだけど。
統合失調症の女性には、「透き通るような美人」発生率が高い、って話、前もしたと思うけど。
それは総合失調症の人が遺伝子を残すための「生存戦略」であって、ということも言ったかな。
特に髪の毛が、繊細な印象を与える人が多い気がする。
あなたの場合も、その繊細な長い髪が、あなたの美人顔を形作る、重要なパーツだと思う。
「目が大きいともいわれます。よく」
確かに、目の大きさがあるからちょっと日本人離れした印象も与えるかも。
…..あ、そうか、その目の大きさね…….ショートにしたら、ちょっとギョロっとした印象になるかも。それがあなたにも、自分を「男みたい」と感じさせたのかも。
「そんなものですかね?」
まあ、私としては、そう理解すれば、納得いきます。
いずれにしても、仮にそういう体験が一回あっても、普通の人なら、それが一気にトラウマになって、「自分は男になりはしないか」という妄想にまでは「一般化」はしない。
こういう、普通の人には小さな経験であるずの体験が、統合失調症の人の場合には、深刻な混乱の火種になるってことは、私の経験した臨床例でも、結構あってね。
これは恐らく、残念ながら、統合失調症の人に特有の、認知の歪みの、生まれついての様式かもしれないと私は思ってます。
まあ、それでも、ミッシング・リンクに気づいていないだけで、もっと合理的な説明はできる体験とか、思い出せないでいる場合もあるかとは思うけど、それはその記憶に触ると危険だから思い出せないんであって、無理に探そうとしないままでもいいんだけれど。
「私、確かに美人だと言われることは少なくないし、女らしいと言われたこともあります。なのにどうして、ここまで、自分は男になる、とかまで思い込んでしまうんでしょうかね?」
それは、ひとつには、あなたのもうひとつのトラウマ、「すべてを否定してくる人に支配されていた」ってこと関係あるんじゃないかと。
あなたは、自分で自分のことをよくないだとか、これは反省しなければならないとか、「自分でも」思う時があると思う。
でも、あなたはすべてを一緒くたに、なんでもかんでも否定されることに慣れてしまった。だから、自分が、例えば、他の人に「女らしい」と言われた時のこととか、美人だと言われた時とか、あるいは自分でも女らしいと感じた時は、結構あるはずなのに、そうした記憶は十把一からげに塗り消されるわけ。
恐らく、あなたは、そうしたひとつひとつの記憶を、意識的に思い出して、「救出」するしかない。
・・・・こんなの、どうだろう?
あなたが女らしいと人に言われた時、
自分で自分のことを女らしいと思った時のことを、ひとつ思い出したら、それをノートに記録する。
ひとつ思い出すたびに、記録する。
そうすれば、それを読み返すことができるから、あなたに「自分は男になるのでは」という妄想が襲ってきた時の、助けになるんじゃないかと。
「ありがとうございます!
….私は、もっと女らしくなりたいんですよ。
どうすればなれますかね?」
今は閉鎖病棟の中だから、いろいろな服とか、小物とか、化粧品みてまわるわけにもいかないだろうしね。
・・・・そうだ、こんなのどうだろ?
あなたは好きな女性歌手いたよね。彼女の女らしい写真の画像を、スマホで片っ端から探してダウンロードしてフォルダに貯め込む。
デコるものいいかも。
そして更に、彼女の着ているファッションブランドを調べて、今度はそのブランドの中で、あなたが気に入った画像を集める・・・・とか?
「・・・・・今日はほんとうにありがとうございました。
先生がカウンセラーでよかったです」
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実は、この後、一回、「男になる」妄想がまた爆発して、彼女は速攻で私に電話してきています。
そこで、先日と同じように、
「それはどっちから来た?」
「今は身体のどこじゃ?」
「その影響圏が及んでいない楽な身体の場所は?」
「じゃあ、その楽な場所を大事に感じながら、深呼吸」
「はい、脇に流しましょう」
のワークをやっています。
これ、プロのカウンセラーならわかるひとはわかるよね?
マインドフルネスと、行動療法の中の「暴露反応妨害法」をミックスして、更にフォーカシングのクリアリング・ア・スペース仕立て?にしたものです。
これで、統合失調症的な妄想に対処するハウ・トゥをクライエントさんに「訓練」として教えて、効果をあげられる場合があるのではないか?ということが、この事例を公表した動機です。
暴露反応妨害法については、私はレジェンドである山上敏子先生仕込みです。
*********
だが、この次に電話がかかって来た時、事態は劇的に動く。
「・・・・あの、私にはすごい劣等感があって、それを何とかしたいんです」
劣等感って、何についての?
「それは言えません」
・・・うーん、その劣等感が何なのか、言ってもらわないとやはり答えようがないかな?
「・・・・・・・・・・・・・実はですね、先生。
私、子供のころから、変なところがあって。
女の子の、肌とか、おっぱいとか想像して、それで、狂ったような快感を味わうことがあって。」
いつ頃から?ひょっとして、小学校中学年、つまり男の子に関心が行く前の頃じゃないかな?
「ほんとうに子供の頃からそうでした。
それって、変じゃないかと」
クラスメートが、普通に動いて、はしゃいでるのとか見てて、夜になったら、そういう悶々とした空想をしてしまう、みたいな感じかな?
「そう。それで、そのこと打ち明けた子から、そんなの変、そんなの私にはない、と言われて・・・」
普通だと思うよ。
「え?・・・・」
ありふれてると思う。
控えめに見て、過半数の女の子は、多かれ少なかれ、そういう時期を経験していると思う。
サリヴァンという、それこそ統合失調症の治療で超有名な、精神科医がいたんだけど、ほんとうの思春期になって、異性に興味を持つ前の前思春期に、実は子供達に性は芽生えている。
ただし、それは同性に向かう、肉体的な愛情を含む求めになる、みたいなこと書いてたと思う。
その頃の子供たちって、男の子は男の子、女の子は女の子で、徒党を組んで、対立するじゃん?
「そうですね・・・・」
そして、女の子同士のスキンシップって、実は男どうしよりすごいのはありふれてると思わない?
「ありましたね・・・・平気でキスしあってました・・・」
男の方はね、昔は飲み会では男どもも肩抱き合って・・・の世界があったけど、今はない。だから男の方が鬱屈して、たまっている。
「ネットで記事みつけましたよ。
『今の女どもはレズか売春婦』
っていうの」
最近レズかどうか悩む女性たちの関わりを描いたドラマや映画が立て続けに作られててね。
でも、最近下手に”LGBTQ”ってことが言われたから、自分はレズ「らしい」かどうか?とか悩む人も増えたらしい。
ホントは、さっきから言うような、女の子同士での性的ないちゃつきまでは、あたりまえのことだと思う。
それと、ほんとうにレズかどうかは、あいまいな境界線でいいんじゃないかと思う。
一回くらい、知り合いの女性とベットを共にしてしまった、なんて女性、ありふれてると思うし。
・・・いずれしても、もうこれで、あなたがなぜ、自分が男になるんじないか?と妄想するようになったかの謎は、かなりクリアーになったよね。
「そうですね・・・・ありがとうございます」
でも、それはあなたが、自分の「秘密」を私に口にする勇気を奮ってくれたからなわけで。
*********
……ここから、彼女は、昔の交際相手の男性との話をし始めたけど、それはさすがに、彼女に公開の許可はもらってません。
