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精神科で入院歴があるのに、意外と利用されていない場合がある制度やサービスチェックリスト

私が入院歴がある統合失調症のクライエントさんとのネットカウンセリングこそが一番の得意領域であることはすでに2つの記事を書いた。


さっきまでそういう、退院後も通院中の、すでに何回もお相手してきたクライエントさんのひとり、AさんとGoogle meetで定例のカウンセリングをしていたのだが、ふと思い立って聞いてみた。

「あなた、精神障害者手帳取得していたっけ?」

こたえはNoである。

・・・えらいこと聞き逃していたな。

「ひょっとして、障害年金受給は・・・・」

Aさん:もらってません。

(ひえーーーー!)

これはあくまでも私個人の年金証書から年金番号部分を消しゴム機能で消した写真画像

障害者自立支援医療受給者証も・・・まだだよね。そうなると」

Aさん:もちろん。

自立支援医療受給者証

「それなら、当然、障害福祉支援サービス受給者証なんて、なんのことやらわけわからんわい?の世界だよね」

Aさん:ええ。

障害福祉支援サービス受給者証

(あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!!)

「あなた、あまりにも損してる!!! 
 さすがに担当ケースワーカーの人とは、病院で会えるよね?」

Aさん:ええ、います。

「どうしてこれまで、この4つの制度について提案すら受けなかったのか、まるでわけわからんけど、もう、週明け月曜になったら、電話一本、ワーカーさんにかけなさい。
そして、この4つの制度の名前を伝えなさい。カウンセラーに言われた、と。
恐らく、

『・・・あ、そういえば、あなたとはその話、したことなかったなあ。俺もうっかりしてたなあ』

っていうふうな受け止められ方すると思う。

あとは、全自動でケースワーカーさんが書類を整備するために動き出す。

あなたは恐らく、証明書用写真を一枚準備して、ワーカーさんの車で一回だけ市役所の障害福祉課に顔を出す必要が出てくるだけ。

何十枚もの書類にサインすることになると思うけど、それ以外の記入欄はワーカーさんが全部埋めて来てくれていると思う。

あとは、1か月半後に障害者手帳を受け取りに来るように市役所の障害福祉課から手紙が来るを待つだけ。

あなたには会社で働いた経験はないから、障害年金の国民年金分と「2階建て」になる厚生年金ぶんは出ないわけだが、親御さんがあなたの分の国民年金は払い続けていたはずだから、これはワーカーさんあたりに試算してもらわないとわからないけど、最悪でも1万円単位の年金は支給決定では見込めると思う(私が遭遇した例では、大企業会社重役である父親の社会保険の被扶養者に成人後もずっとなっていたために、本人に企業での就労経験皆無で「二階建て」にもなっていないのに、国民障害年金だけで受給額月10万円という猛者もいた)

まあ、入院歴のある統合失調症診断受けてて、現在も精神科指定病院通院服薬中最初の入院の時から病院の変更があっても連続して診断書を発行してもらえる態勢にある限りは、年金受給決定にならないことはまずあり得ない。

2か月くらいあとには、年金庁から障害者3級障害年金受給決定証が届く。遅れて実際の受給者証が届く。
その後の偶数月の15日から年金が口座に振り込まれるようになる。

そして、これも2か月を見込む必要はあるが、厚生労働省から、障害者自立支援医療受給者証が届く。届いてからは通院のたびに毎回病院と処方薬局に持参する必要がある。

なお、これらの制度はすべて独立した制度、認定だから、別々に、別々の役所に届けることになるという面倒くさいことに日本ではなっているが、そのへんはケースワーカーの人、本来の使命・職分をここぞとばかり果たす絶好のチャンスだから、「ノリノリで」手続き代行できる部分はしてくれるはず。

こうした結果、あなたは、

  1. NHK受信料免除(だだし衛星放送契約とNHKプラスは、加入するなら自己負担)

  2. JRをはじめとする鉄道会社の各駅停車を100キロ以上利用する場合、切符購入を有人駅窓口で行う際に障害者手帳を提示すれば5割引き

  3. 美術館等の様々な公共機関の料金割引(同行者一名も割引)

  4. 映画館障害者割引(2027年1月現在、たいていの場合観覧料1,000円になる。これは切符自動販売機やネット予約の選択枝で「障害者割引」を選択して巻を購入、入場の際にシネコンのシアター入り口で係員に障害者手帳提示すればOK)

  5. 精神医療の医療費(向精神薬薬代含む)1割負担に減額、月上限負担、多くの人の場合5,000円となる

  6. 障害者手帳は顔写真と住所入りの公的証明書である以上、運転免許証、マイナンバーカードに続く「第3の」身分証明書として効力を発揮することが非常に多い。

  7. 障害者手帳をハローワークで提示すれば、障害者枠雇用の紹介をしてもらえるようになる。

  8. 今やパスポートだけで身分証明が有効となることは「国内では」ほどんどなくなった(・・・何という制度矛盾!!)ので、まさに「3番目」の証明書となった。
    特に運転免許を持っていない人にとっては、マイナンバーカードとの「合わせ技」にすると、例えばクレジットガードの入会審査、ローンの審査、各種職業資格申請などでは強力な武器となる。
    (マイナカードや運転免許証なしで障害者手帳のみで身分証明しようとすると、場合によってはケースワーカーも同伴して手続きする必要あり。例えば2nd Streetで物品を売る際にはそれを要請される)
    ただし、一部のケースにおいては、精神障害者であることの「表明」はむしろその資格取得や職業就業禁止規定に法律的にひっかかり、「やぶへび化」するので要注意。例えば警備員には精神障害者はなれない(この警備員法の規定には見直しを求める声もある)し、死亡保険、傷害保険、入院治療保険加入の審査の際には、ベーシックな掛け捨て以外のコースを受理されない可能性を一気に増加させる。

最後に、障害福祉支援サービス受給者証は、障害福祉課に依頼すれば、障害者手帳発行の受け取りのその日に、即日で作成して同時に受けとれるはずである。

これを所持していると、ケースワーカー、訪問看護士、グループホーム(最近はワンルーム独居タイプがトレンド)、作業所等就労支援施設の情報一元管理されるようになる。

これらの障害者サービス利用料は、かなりの部分まで国民障害年金と相殺できるはずであり、B型作業所での賃料も入るとすれば、仮に社会保険との二階建て構造のない国民障害年金だけの受給であっても、結果的には黒字ということが多いと思う。

つまり、B型作業所工賃と国民障害年金だけで、単居型グループホーム=ワンルームマンションで、生活保護より高い経済状況で、つつましやかに一人暮らしできる可能性がかなり高い(B型作業所「工賃」は、雇用保険源泉徴収税対象外。たいていのB型作業所では昼食まかないで出ます)

*****

Aさんは、これらの制度を利用しないまま、十代に退院して以降、幸いにして、かなり理解ある両親のもとで比較的静かに生活でき、ネット環境と散歩と趣味の庭いじりだけで、ほとんど小遣いもらわなくても、生活は基本的に満ち足りていた。

ネット上で、趣味の庭いじりの延長で(彼はある植物の栽培に関してはプロ級の知識と技能を持つ)自分の育てた鉢植えを通信販売することを目標にするのを私は応援していた(その通販サイトの「模擬練習」として、私に植物の写真をLINEで送り、植物のその品種自体の解説文や育て方の詳しいレシピを試しに作ってみて私がその読者になるという試みをしていた)。

しかし、Aさんの生活リズムを作り、「小遣い稼ぎ」をさせ、彼に関わる常設専門家集団チームを形成させ、障害者どうしの緩い横のコミュニケーションのチャンスを増やす意味でも、

  1. 週1日からはじめるB型作業所での「お試し」就労
    朝の集団でのラジオ体操、支給される昼食時のスタッフや他の利用者との雑談、喫煙スペースでの雑談も有効刺激と思えた。
    また、多くの作業所では屋外の農作業実習や、サボテン等の小さな鉢植えの育成と商品としての販売を試みているケースがあるので、彼の植物についての経験値は大歓迎される可能性がある。

  2. 訪問看護士による週1回定刻での家庭訪問も要請する。
    これは彼の健康管理と、毎週短時間でも話を聴いてくれる専門スタッフがいれば、カウンセラーとしての私しか関与していないよりもふさわしい状況である。
    仮に私とのネットカウンセリングをとりあえず終結しても、その後に私を普段は引き継ぐ役割を果たしてくれる専門スタップのキー・パーソンと自宅で毎週顔を合わせることができる状況の整備は非常に効果が高いと思う。
    (私とのカウンセリングは本人が希望すれば再開できるのだが。実は彼の方からすでに、あと数回程度でカウンセリングを一回終わらせてみる形に「まとめてもらえないか?」という要請はすでに受けており、私は目安として「あと5回」と提案したばかりだった)
    彼もカウンセラーの傾聴よりは少し「雑な」くらいの話の聴き方しかしてくれない福祉の専門家との短時間の「おしゃべり」の中で自分の意志を伝えようとするという、最初はまどろっこしくて食い足りないくらいの状況にそろそろ少しずつ慣れていくべきだろう。
    それは中学生時代の急性発症とその直後からの入院以降、学校生活も作業所でのコミュニケーションも知らず、SNSへの積極的参与もしないネット利用しかして来なかった彼に、仮に鉢植えの商品化の通信販売で自己実現的な職業意識をいずれ持つ上でも必要な「商売人」としてのペルソナ形成のための最低限の社会性の育成にも貢献するのではなかろうか。

*****

以上、Aさんの事例を借りて、彼のような精神科病院入院歴のある人物でも活用していない、「宝の持ち腐れ」制度がないかどうかの、生きた「チェックリスト」としてみたつもりである。

実は都合4種類にもおよぶ、全部の制度をフル活用していない当事者の皆さまは非常に多いと思いますが?

全部使って損することは何もないです。

むしろ行動範囲と、可処分所得を増やし、対人スキルの練習と経済活動、就労訓練のチャンスを無理なく自然に増やし、依存できる(専門家チームを含む)他者のネットワークを広げ、知り合いや友人をリアルワールドに幾人かは自然にできる機会になるわけで。

彼もむしろ、こうした私の提案に、予想してもいなかった形で自分の世界を広げるきっかけとなりそうだと目を輝かせています。

当然、ここでこうした記事を書くことを、彼は喜んで承諾しています。


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