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引き続き「メメントモリ」の話~新A.A.(CV.茅原実里)とは何なのかについて語ります

前回書いた「メメントモリ」記事の続編的な内容です。本当は前回のnoteに追記しようと思っていたのですが、この度アップされた[錆鉄の空]A.A.のPVがあまりにも衝撃的過ぎて、これを物語の付録のように扱ってはいけないと思ったことから、独立した記事とすることにしました。

いきなりこのPVを見てみるのもいいでしょう。貴方が「メメントモリ」のことを何も分からなくても、いやそれどころかゲームなんてやったことがないのだとしても、この映像は貴方に「限りある命」の価値について何かを考えさせてくれるに違いありません。


ここまでのいきさつをカンタンに

「メメントモリ」というゲームがあります。魔女狩りの存在する西洋中世と思しき世界を舞台に繰り広げられる、魔女とされた少女たちによる世界への抵抗と挑戦を描いたロールプレイングゲームです。

(私が以前書いた記事もよろしければ…)

魔女はそれぞれ過去に様々な因縁を持っていますが、私のnoteでは特にA.A.(CV.茅原実里ちはらみのり)とD.D.(CV.平野綾ひらのあや)に注目して語っています。この2人は共にホムンクルスと呼ばれる存在で、造りものの身体に(半ば無理やり)意識や感情を与えられました。

この結果としてA.A.は「クリファの魔女」と呼ばれる恐るべき世界の呪いの体現者となり、ついにはひとつの王国を滅ぼすに至りました。

愛を与えられることなくなく、戦闘用兵器として造られたD.D.は、その生い立ちにより人間を憎み、呪うようになりました。

自らと同じ研究データによって造られたA.A.を自身の姉であるとして追い求め、ついにA.A.のところにたどり着いたD.D.。しかし、世界を滅ぼす錆鉄の魔女だったはずの姉は、何故か人間たちと共に学校に通う女子学生となっていたのでした…。

だいぶ端折りましたが、これがA.A.(姉)とD.D.(妹)を巡る物語です。

より深く知りたければ、私の前回のnote記事も合わせてお読みいただければ幸いです。

新A.A.遂に我が「メメントモリ」に降臨!!

それでは、いよいよ本記事の主役である新A.A.を紹介していきましょう。

フラン領中等教育学校在籍、学生番号001番。
個体識別名「A.A.」
および「えーちゃん」です。
よろしくお願いします。

「メメントモリ」新A.A.初登場時の台詞より

2025年4月30日、待ち焦がれていた[錆鉄の空]A.A.がメメントモリに実装されました。

当日、迎えに行きました!!
費やしたるは40,000超ものダイヤ。
この日のために残しておいて良かったです!!

新A.A.とは、A.A.のその先にある時間軸の物語

「普通の女の子のように生きてほしい」という博士の願いで学校に通っています。楽しいかと博士にもよく聞かれますが、きっとそうなのだと思います。

もともとは実験用ホムンクルスとしてメルティーユ博士に造られたA.A.でしたが、後に生きていく中で不完全ながら感情を獲得していきました。

メルティーユ博士はA.A.を「えーちゃん」と呼び、母親として我が子のように愛情を注いで育てます。

しかし、ホムンクルスは人間と違い、非常に寿命が短い人造生命。ほとんどの個体は平均3日でその寿命を終えるといい、1年を越えて生き続けたA.A.は驚異的な奇跡でした。魔女となったことで寿命は延びたものの、それでもいいところ3年とのこと。

メルティーユ博士がA.A.に「残りの時間を普通の女の子のように生きて欲しい」と願ったのは、母親として当然の感情でした。

こうして、「普通の女子学生」として学校生活を送るA.A.のもとに、人間への憎しみで固まったD.D.がやってきます。

メルティーユ博士にしてみたら、自分の知らないところで勝手に自分の技術を乱用して造られた人造魔女が乗り込んできたのだから、さぞかしびっくりしたことでしょう。

安穏とした日常を謳歌するA.A.に対して、いら立ちにも似た感情を募らせたD.D.でしたが、それでも姉としてA.A.を慕う気持ちは変わりません。

メルティーユ博士からA.A.の残りの寿命について説明を受けたD.D.は、限られた時間、少しでもお姉様のそばにいたいという理由で(決して人間を認めたわけではない)、一緒に学校へ通うことに。

こうしてA.A.とD.D.、そして母親がわりのメルティーユ博士という奇妙な家族生活が始まったのでした…。


「メメントモリ」に今回実装された[錆鉄の空]A.A.(本稿では「新A.A.」と記載)は、世界に災厄をもたらす「クリファの魔女」という運命から解き放たれ、普通の女の子として学生生活を送るようになった彼女という位置付けとなっています。

つまり、新A.A.とはA.A.の時間軸の延長線上にある、A.A.のその後を巡る物語なのです。


茅原実里さん渾身の歌唱!新A.A.のラメント「the trust」。その恐るべき表現力に息を飲む

ここまでの物語を理解したところで、あらためて新A.A.に用意された新たなラメント(イメージソング)「the trust」を聴いていただければ幸いです。歌っているのはA.A.を演じている声優、茅原実里ちはらみのりさんです。

また同じ朝を迎えられた
残されたページはどれだけ?
想像上に立ち止まった行き先さえ
いつの間にかもうそこにある

「the trust」(歌:茅原実里)より引用

出だしから強烈です。いつも残りの寿命を意識して生きざるを得なくなったA.A.の心情が、ストレートな言葉で言い表されています。

そしてこの茅原実里さん独特の透き通った歌声!!
それはあたかも透き通るように晴れ渡る空を表現しているかのよう。

この「the trust」は、A.A.の元々のラメントである「Ⅶ. THE RUST」のメロディラインをほぼ踏襲して作られていますが、前回の歌が

「人形として造られた自身に降りてきた感情という概念に対する戸惑い」

のようなものをベースにしていたのに対し、今回は既にそこはもう通過しており、むしろ

「残されたわずかな時間の中で掴んだ希望~妹を想う気持ち」

がメインテーマとなっているように感じました。

錆びていても 朽ちていても
それは確かに動き続いてる
誰かのため そして私のため
軋む音色で痛いくらい
響いてるんだ

「the trust」(歌:茅原実里)より引用

「錆びてしまえ 朽ちてしまえ」と呪いの言葉を叫んでいたかつてのラメントに比べ、この変わり様はどうしたことでしょう!!

「THE RUST」から「the trust」とは良く言ったものです。たった1文字の「t」を付け加えるだけで、「錆」を「希望」に変えてしまいました。

ゲームにおけるA.A.は元々が闇属性だったのに対し、新A.A.になって光属性へとその変化を遂げています。

楽曲にしても、以前の淡々とした曲調に対し、今回は楽器も豪勢に使用したオーケストラ色の強いものになっています。感情を持つことで、彼女はより人へと近付いた。守るべき存在が現れたことで、彼女はより精神的にも強くなれた。そんな在り様がこの音楽に表現されていると感じました。

しかし新A.A.は決して陽キャになったA.A.ではありません。

寂しいけど 苦しいけど
それが運命だと知ってるから
だからどうか あなたは夢を見て
きっと願いは叶うから
Trust in me,Dear

「the trust」(歌:茅原実里)より引用

感情を持つということは、自身の残りわずかな寿命という運命に真正面から向き合わなくてはならないことを意味します。

感情のない人形の頃だったら、自分が死ぬということにも、他人が悲しむということにも、何の興味も関心もなく受け入れることができたでしょう。

自分の生命がもう永くないことを自らの感情をもって理解したとき、彼女が何よりも心配したのは、自分の妹と名乗る存在、D.D.のことでした。自分がどんなに悲しくて辛くても、他人を思い遣ることのできる強さ。それもまた感情の持つ力なのだということをこの歌は教えてくれています。

ここからおよそ50秒ほどの間奏の後、突如としてメロディーが消え、視界が真っ白になり、この曲は唐突に終局おわりへと向かいます。

錆びてしまう 朽ちてしまう
全部 どうせ消えるものだけど
忘れないで 繋いだ…温も…り……を………
ひと……り……じゃ……
な……………
い………
と…

「the trust」(歌:茅原実里)より引用
(注:改行は意図的に加えています)

それまでの賑やかさが嘘のように静まりかえる。
最低限の伴奏がかすかに聞こえる中、次第にゆっくりになっていく歌声。
やがてその伴奏も消え、歌声もかすれるように消えていって…。
そして、止まる。

それはまるで、オルゴールがその動きを止める瞬間のように。
静けさだけを残して。


感情を持たない人形として造られた彼女が意識を消失する前に残した言葉は、自分を慕う妹に向けてのものでした。

自身が朽ちても、その想いを我が身の分身へと託す。
絶望から希望への伝搬。
それが、A.A.の物語の後日譚。

【MV】the trust(Song by A.A.(茅原実里))(フル音源Ver.)【メメントモリ】より


これまでたくさんの茅原実里さんの楽曲を聴いてきました。その中には神曲と呼べるものもあったかと思います。

が、この「the trust」は、それまでの茅原実里楽曲の水準を遥かに逸脱した仕上がりになっていると断言します。

感情を持つことの喜びや悲しみ、誰かに託す想い、そして突然にやってくる別れのとき…人生で感じる諸々の心情を最期まで時系列にしてそのまま歌にしたような、こんな難しいテーマの楽曲を、文字通り桁外れの表現力で形にしてしまいました。

曲の最後、次第にゆっくりになり、消え入るような声で、ささやくように、静かに終わっていくあの表現なんて…あれはもう、歌なんてもんじゃなく、さながら演劇を観ているかのようでした。

凄い。

演者であり歌手である茅原実里さんについて

ここで、A.A.の声ならびに楽曲歌唱を担当した茅原実里さんについて少し補足しておきます。

「涼宮ハルヒの憂鬱」「響け!ユーフォニアム」など声優としての活動が著名な彼女ですが、もともとは歌手志望でこの世界に入ってきた方でした。その透明感あふれる独特の発声は「クリスタルヴォイス」と評され、彼女の音楽的な価値を唯一無二のものとしています。

様々なアニメタイアップの楽曲、キャラクターソング、オリジナル曲を持っており、二度に渡る武道館ライブをはじめ毎夏の河口湖ライブなど数多くの興行実績を持つ茅原実里さんですが、2021年末をもって一度歌手活動を休業されました。

その後自分探しをするかのようにYouTube配信一人芝居小劇場での演劇など、他の分野にて様々な挑戦を展開した茅原実里さんは、およそ1年半の刻を経て歌手活動に復帰したのですが、その歌や演技のクオリティが歌手活動休止前とはまるで別物になっているように思います。特にそれを強く感じるのが、今年2月末のライブにて公開された新曲「Message」です。

この楽曲は自身が内包する鬱屈した気持ちの独白でもあり、同じようにままならない人生を抱えるすべての人たちに向けた、文字通り「Message」でありました。「ポエトリーリーディング」という手法で作られており、コンテンツの大半は茅原実里さんによる語りとなっています。

着目すべきはその「訴えかける圧力」。まさに「全身全霊」と呼ぶに相応しい圧倒的な力で、ストレートにその想いを聴く者に叩き付ける渾身の言葉。

これを観たとき、誰もが「いったい茅原実里さんに何が起こったのだろう」と思ったことでしょう。およそ1年半に渡る歌手活動以外の経験が、彼女を表現者として大きく成長させしめたことは間違いありません。

そしてその延長線上に、この「メメントモリ」の新A.A.があった…と思えば、この楽曲が何ゆえにここまでの神曲になり得たかということが自ずから理解できようかというものです。

本作でまさに神がかったラメントを披露された茅原実里さんですが、持ち前の歌唱力に加えて圧倒的な表現力を身に付けた茅原実里さんの凄さを私たちが思い知ることになるのは、まだまだこれからだと思います。

まず直近は8月に行なわれる河口湖ステラシアターでのフルオーケストラコンサートです。これまでバンドライブで歌われてきた彼女の楽曲がどのように表現されるのか興味深いところ。茅原実里さんもこのように意気込みを語っておられます。

今回、これまでのどのオケコンとも違う内容になると思う。 河口湖ステラシアターの30周年に華を添えられるような素敵なコンサートにしたい
っていうか、する!!!

茅原実里さん4/19のXポストより引用

そう、茅原実里さんは止まらない。いま観ているこれが究極なんだと思わせておいて、次にそれを超えてくるのがこのお方。読者の皆様、こんな彼女にもし興味が湧いたなら、ぜひこれまでの彼女の楽曲も聴いてみてください。

もし貴方が茅原実里さんの姿を生で観たい、その歌を直に聴きたいと思ったなら、8月2日(土)~3日(日)に河口湖ステラシアターで行なわれるコンサートに着目してみてはいかがでしょうか。

まだチケット手に入れるチャンスあると思いますので!

茅原実里さんについて熱く語り過ぎました。
「メメントモリ」に話を戻しましょう。

A.A.…機能停止しちゃったの?それとも…

楽曲ではA.A.が機能停止するかのような終わり方でしたが、ゲームにおける新A.A.はこれからの活躍が期待されるキャラクターです。

「攻撃します。」
「妹は、私が守る。」

彼女のその後の物語がメモリーにて綴られています。新A.A.を入手すると見ることが出来るのですが、1.26%という低確率のガチャなので、見られずに悔しい思いをしている方も多いと思われます。幸いなことに「メメントモリ」は画面の公開を公式が認可しているので、少しだけA.A.のその後をお伝えして、本稿の締めとしたく思います。


【ネタバレ注意!!】

自力で新A.A.をゲットしてメモリーを見たい方は、以下読まれないことをお勧めします。

少しだけ、と言いながら大半を紹介してしまったような気がします。

博士とD.D.の傍らで静かに意識を失ったA.A.がどうなるのかについてはここでは記しません。ひとつだけヒントを差し上げるなら…このときD.D.が何を願ったか…それをよく考えて答えを導き出してください。

涙無くしては見られない、ホムンクルスとなった魔女たちを巡る物語。

「メメントモリ」ファンの方はもちろん、本作を知らない方にもこの物語が届けばいいなと思いつつ、今回はここで筆を置かせていただきます。貴方の心が、温かな記憶で満たされますように。

「メメントモリ」2.5周年記念 パネルミッション画面より

(了)

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