夫婦の聖戦の末に選んだ家―転勤族夫婦の定住問題―
我が家の家探しは、不動産の話だけではない。
「妻の執念」と「夫のこだわり」が激突し、最終的に奇跡の合意に至った聖戦の記録だ。
小6の春、私は「根無し草」になった
私は、小学校6年生の終わりに転校した。
親の転勤だった。
思春期の子どもにとって、自分だけ一緒の中学に上がれない疎外感は凄まじく、私の心には深い傷が残った。
だから、転勤族の夫と結婚したとき、ひとつだけ決めていた。
上の子が小学校高学年になる前に、どこかに拠点を決めよう、と。
夫が単身赴任になろうと、子どもには地面に根を張らせたい。
そんな話を、夫婦でしていた。

娘2人と私なら、ソファーまわりで体を寄せ合うけど、
旦那が単身赴任から帰ると、各々自室へと散り散りになりがち😅
ここはもう少し広かったらなと思うけど、
そんな贅沢な高望みしたら、バチが当たりそうなほど満足してる。
転勤族の「定住先延ばし」という罠
転勤族が定住場所を決めるときは、たいてい揉めると聞く。
そして、夫の会社は、持ち家でなければ単身赴任費用が出ない。
子持ちにとっては、買わなきゃ損なのだ。
だから、どこかのタイミングで家を買うのは避けられない。
旦那さんが家族と離れたくないという、優しいご家庭もある。
でも子どもが思春期になると、事態が複雑化してくる。
以前、同じ社宅に住んでいた方のお子さんは、思春期に何度も転校することになり、学校に行けなくなったと聞いた。
一方で、揉めたくない、思いやりあふれるご夫婦ほど、定住の話を先延ばしにしてしまう。
そうしているうちに、上の子が高校に入り、「縁もゆかりもない地方」で家を買うことになったりする。
その後、子どもが都心の大学で一人暮らしなんて流れになったら、思っていなかった出費(仕送り)とローンがダブルで襲いかかる。
そして、夫もまた転勤。
家族はバラバラ。
「何のために家を買ったのかわからないコスパ最悪状態」だけは、何としても回避したかった。
経済的にも、子どもの精神的にも、
一番いいのはきっと、
一番いい場所を選んで、一番いい時期に移ること。
ただ、それが一番難しい。
夫婦の価値観が、真正面からぶつかるからだ。
お互いファイティングポーズを常に取り合う、好戦的な私たち夫婦は、戦いの火蓋を切ることを厭わなかった。

取り外せるから良いなと思ったけど、
外したことは一度もない。
それならば、おしゃれな固定式のBAR型にすれば良かった。
そこは少し後悔してる。
夫婦の価値観、正面衝突
案の定、定住の話になると、夫は「俺の実家の近所がいい」と、亭主関白を漂わせながら言い張った。
しかし私からすれば、それは「ワンオペ育児」へのフラグでしかない。
夫婦の価値観は、正面衝突した。
そんな冷戦状態の中、私はバセドウ病になった。
闘争本能は高いのに繊細という、厄介な二面性が仇となって、甲状腺が悲鳴をあげたのだ。
そのとき、我が家の歴史が動いた。
転機:義実家の「神」の一言
思わぬ援護射撃が入ったのである。
「男が偉い」を地で行く義実家からだった。
「それなら、奥さんの実家の近くの方が安心だろ」
転勤族だし、次男だし、
夫が家をどこに構えるかに強いこだわりはない、と。
結婚の三大条件の中の一つ、次男。
その効力が、ここで発揮されたのだ。
今思うと、
私たち夫婦の生活が一番うまくいく形を、冷静に考えてくれたのかもしれない。
崖の上の「3階」
こうして勝ち取ったのが、私の実家からほど近い、「崖の上に建つ中古マンション」。
駅から10分ちょっと。
電車は2路線使えて、駅までの道は平坦。
崖のおかげで、たった3階なのに窓からの景色はタワマンレベル。
一方で、物理的には3階なので、朝の忙しい時間に「あ!スマホ忘れた!」と気づいても、エレベーターを待たずに階段をダッシュで往復できる。
ちなみにこのマンション、
夫は「金融商品としても手堅い」と言って選んだ。
実際、資産価値も少しずつ上昇しているらしい。
そういう合理的なところも、今となっては気に入っている。

青い空を眺められるのは幸せ。
崖の上だから、目の前に高い建物が建つ可能性もない。
noteで夫の悪口三昧だけど、
本当は心の底から感謝している✨
この家を選んだ、本当の理由
そして最近、ふと思うことがある。
この家を選んだ理由は、
立地や眺めだけではないのかもしれない。
あのとき、夫が折れてくれたこと。
たぶん、あれが
私たちの結婚生活の分岐点だった。
こうして同じ家で暮らしているのは、
その選択があったからかもしれない。
家を選ぶというのは、
ただの不動産の話ではなくて、
夫婦のこれからを選ぶことでもあるのだと思う。
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