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コンバースのハイカットと、いくつになってもワクワクしたい私

コンバースは、ただの靴じゃない

コンバースオールスターのハイカットは、ただの靴じゃない。
履くだけで、世界が少し広がる気がする靴だ。

私が初めてワクワクした気持ちになったのは、若き日の夫が黒のハイカットを履いていたときだった。
洋楽ロックミュージシャンの真似をして、黒スキニーの裾をハイカットの上から被せる。
サイズは大きめで、紐をぎゅうぎゅうと締めると、
「靴先がぐっと上がってオシャレなんだ」と得意げに語る。

その横顔を見て、コンバースの魔力に気づいたのだった。

さて、そんな愛を抱えつつ、私の足元は白ハイカット。
100均のゴム靴紐にカスタマイズして、脱ぎ履きはとことん楽ちん仕様。

パンツがチェック柄なら、もう気分は青い目の少年。
さらさらのブロンドヘアに、ガムをくちゃくちゃ噛みながら、バスケットボール片手に駆け出したくなる。

チェックパンツとシャツのボーイッシュコーデ。
流行りのサスペンダー付けると、男の子っぽさが増すよね🧢
そんな時は、アクセサリーをジャラジャラ付けて、レディーライクに引き戻す。
どんな時でも萌え袖をして、乙女心を忘れない。





黒を履く夫と、白を選ぶ私

そんなコンバース愛の強い我が家の靴箱には、いつ何時もオールスターが並んでる。

夫は今日もレザーの黒。
キャンバスブームの時もあれば、靴底のゴムも黒の"まっくろくろすけ期"の時もあった。

私はやっぱり白。
汚れやすくて手間がかかるけど、何がなんでも白を履きたい。
風呂場でガシガシ洗って、お日様の下に干す。
そんな、洗剤の匂いがしそうなフレッシュさをコーディネートに加えたい。

本当は生成りの赤いラインが入った定番が一番良い。

けど、最近は軽量化されたモデルばかりチョイスしてしまう。
ラインもなにも無い、とにかく真っ白なモデル。
オフホワイト、アイボリー、エクリュなどとは違い、ニュアンスのない、コピー用紙みたいな白だから、
少し妥協している感は否めない。

赤ラインがコーデのポイントになって、良いんだけどーー
ファッション好きも年には勝てない。
だから、"スノーホワイト"モデルと命名して、無理矢理前向きに採用したい。





ぼろぼろオールスターに憧れて


娘達が小学校の頃、ママ友の中に元雑誌編集者という、抜群におしゃれ経歴を持つ人がいた。
10年くらい前に、既にイヤリングカラーを取り入れていて、
当時は最先端すぎて、ただただ驚いたものだ。

彼女はいつも、ぼろぼろのオールスターを履いていた。

小指の付け根の骨のあたりに穴が開いてても、白なのに全体が汚れてグレーがかっていても、お構いなし。

「ボロいコンバースが好きなんだよね」

トレンチコートに、くたびれたオールスター。
その組み合わせが絶妙な、抜け感を醸し出していた。

ダメージ加工されたデニムは、いくらでもあるけど、ダメージスニーカーはあまり聞かない。

彼女ならではの、時を重ねたカスタマイズ、古いものに味を感じる美学。
こだわりを貫く、その姿に"生き様"を見た気がした。

とはいえ、私は真似出来ない。
清潔感が重んじられる世の中で、ボロを纏うには勇気がいるし、
「新しい靴も買えないんだな」という哀れみの目も正直怖い。

そんな世間の目を軽快にかわし、自分のポリシーを貫く反骨心。
持てたらいいなぁと、指を咥えて憧れの眼差しを向けるばかりだった。

人には人の乳酸菌、
ならぬ、人には人のオールスターの着こなし術である。


冬将軍が到来しにくくなったから、
ニットとコットンスカートのミックスコーデが楽しめる時期が長い。
大好きなブロックプリントや、レースのスカートにハイカット。
この組み合わせがたまらない。
ゴールドの金具なら、パーカーもカジュアルすぎない。





コンバースと時代

靴底が硬くて苦手な人もいるらしい。
私はもっぱらインソール派なので、どんな靴にも敷いて、ウォーキングもしてしまう。
そりゃあ、最新のフカフカクッションには敵わないけど、
機能的でない、どこか古き良き時代を彷彿とするフォルムは、他にはない。
アンクルパッチの、星のマーク、筆記体のChuckTaylor、赤白ネイビーのコントラスト。
全てが日常の中に小さな冒険をくれる靴だと思う。

このロゴを見ると、太平洋戦争後に世界の覇権を握ったアメリカの、みなぎるパワーを感じる。
筆や漢字に慣れ親しんだ日本人は、英語のロゴをどんな気持ちで受け入れていったのだろう。
武士(もののふ)を引きずったような質実剛健を良しとする価値観と、圧倒的にスタイリッシュさを誇るアングロサクソン文化のせめぎ合い。
年齢を重ねた男性ほど、受け入るか否か、さぞ葛藤しただろうなと想像してしまう。

コンバースが日本に上陸したのは1970年ごろ。
スニーカーが、運動靴からファッションアイテムとして立場を変え、若者文化に浸透していった時代だ。

良いのか悪いのか分からない、現代アートみたいな存在だったのではないか。
戦争を知る世代の中には、アメリカ嫌いも根強くいただろう。 

受け入れたか、拒んだかが、
その人のファッション遍歴を大きく分ける分岐点になったのではーー
などと、勝手な想像を膨らませて、ひとりワクワクする。
腐女子気質に顔を出させる魅力も、コンバースが好きな要素だ。




ワクワクを手放さない決意

若い頃、夫が会社のラフな集まりで私服で行った時、ブランドラベルのついたジャケットを着ていたら、上司に「何だ、そのピロピロ。なにが良いんだ?」って言われたらしい。

選択表示のタグのようにしか見えなかったようだ。

少し上の先輩が「これ、オシャレなんですよ。」と、ナイスフォローしてくれた。
それが無かったら、"服を裏に着てるだらしない奴"認定されて、
今の地位はなかったりするのかしら?

その先輩には足を向けて寝られない。

ブランドロゴは、「今話題のブランドの服を着てますよ」、「そのくらいファッションの知識と財力ありますよ」っていう、暗黙の自己表現。
ファッション好きにとってはアイデンティティの拠り所でもある。

私たちの少し上の世代には、まだ価値を見出せない人たちが少なくなかった。

骨格ウェーブだからスキニーは不倶戴天の敵。
テーパードパンツを合わせて、スッキリとコーデする。
ハイカットに、カーディガン代わりのリーバイスを合わせて、アメリカンスタイル。
リーバイス、コンバース、エルベシャプリエのタグで、心は無双状態。

そう考えると、私自身も、若い人たちのセンスについていけていない部分は、きっとあるだろう。

娘達がいるから、今なんとか情報が入ってくる。
けど、家を出ていってしまってら、私はもう浦島太郎だ。

だからせめて、流行キャッチセンサーだけは、フルオープンにして、分岐点で置いていかれないようにしていたい。
頭カチカチで、目の前の、もう既に知ってる楽しみしか感じられないなんて、せっかくこの世に生まれてきたのに勿体ないじゃない。

この世を全うする、その瞬間まで、ワクワクを感じながら過ごしていきたい。




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