今週見つけた本、読みたい本#13 本日は鬱とデザイン本と桜庭一樹さんの話、そしてやっぱり短歌にまみれています。
こんにちは! 今日も積ん読人生を歩みつつ、パソコンに向かって短歌を書いているつくだ@書籍編集者×短歌です。連載13回目にして3ヶ月も空いてしまって申し訳ありません。
仕切り直して今週からまた気になる未読本、ほしいと思った未読本と、今読んでいる本をご紹介していきます。今週もわたしの「ほしい本リスト」にはたくさん本が追加されました。その中から、4冊ご紹介していきますね。
いま読みたい本
一冊目はこちら!
著者は、「NewsPicksパブリッシング」創刊編集長の井上慎平さん。タイトルにあるように、強いビジネスパーソンを目指していた井上さんが鬱(正確には双極Ⅱ型)になった井上さんが「経済と自分」の関係について思考を深めた一冊です。
私も長らく鬱を患っているのと、同じ編集者ということで興味があって手に取りました。これから読むところですが。資本主義社会のしんどさから自分を守るために、新社会人の方も一つのワクチンとして読んでおくのもいいかもしれません。
以前、Webで連載をされているときにも拝読して感銘を受けたのですが、単行本ではさらに表現が磨かれ思考が涵養され、読みやすくためになる本になっています。
そして次の一冊はこちら。
著者はSNS総フォロワー数15万超のいれぶんさん。「何歳からでも遅くない」をテーマに、経験に基づくマインドセットやベーシックスキルなど人生をアップデートするヒントを発信し続けておられます。
いれぶんさんの名前はX(旧ツイッター)のスペースを聴いて感銘を受け、『40代から手に入れる「最高の生き方」』を買いました。ただ、私自身がすでに40代を過ぎていたので、自分にはあてはまらないかもしれないという先入観があって、積ん読になっていました。
ところで私は人生に対して、こんな信条を持っています。
人生は、いつからでも、何度でも新しくはじめることができる。そして、どんな状況からであっても、人は必ず這い上がって「その人なりの幸せ」をつかむことができる。
そんなとき、いれぶんさんの新刊「何歳からでも遅くない」というメッセージを見て、大きく共感して今回採りあげさせていただきました。
いれぶんさんは、人生を再起動させるためのキーワードとして「正しく頼る」ということを挙げられています。人は一人では生きていられません。だからこそ「頼る」ことは大事なのですが、相手にもたれかかりっぱなしというのは正しくありません。
ここでいれぶんさんは、「正しく頼る」ための三つの前提が重要だと指摘しています。
1 人のせいにしない
2 思いやりを持つ
3 覚悟を決める
自己啓発的なノウハウ本はたくさんありますが、本書はそうしたスキルを駆使するための土台となる考え方について教えてくれそうです。
そして3冊目はこちら。
著者は作家の桜庭一樹さん『私の男』(直木賞)、『赤朽葉家の伝説』(日本推理作家協会賞)など面白い作品を数多く刊行されています。私にとっての桜庭さんは、エッセイ『桜庭一樹読書日記シリーズ』で面白い小説を紹介するミステリーの案内人です。
桜庭さんの読書日記を愛読してどれだけ面白い本をみつけてきたことか。本書は、そんな桜庭さんが書かれた小説の「読まれ方入門」です。
作品を刊行するというのは、誰かに読まれることによって完成します。つまり、読書とは作者と読者の共同作業によって生まれるということです。それを踏まえて、桜庭さんはこう言います。
わたしは、小説家という仕事には《読まれることそのものの痛み》がつきものなんじゃないかと思っています。
解釈されることは、傷をつけるということだからです。
例えば誤読されたり、批判されたり、逆に神様のように祭り上げられたりもします。こうしたことから、自分の心をまもって、書き続けるための方法、それが「読まれ方」なのです・
これは、noteやXで投稿を続けることにも言えることではないでしょうか。執筆するということは、本書のタイトルのいうように『読まれる覚悟』がいるし、「解釈されることは、傷を受けること」。
その意味において、本書はプロからアマチュアまで全執筆者におすすめのリテラシー本ではないでしょうか。
そして4冊目はデザインの本。
著者は元ヤフーデザイン責任者でデザイナーのしまやすさん。Xのフォロワーは2.9万人という人気デザイナーさんです。同じくデザイナーの井上新八さんのこのポストで知りました。
デザインの解剖図鑑
— 井上新八 (@shimpachi) March 24, 2025
デザインのパターンにはじまり
フォント配色あしらい写真の扱い
にとどまらず
発注からの納品までのフロー
選ばれるデザイナーになるためのマナー
知っておくと良い心理学の知識まで
全てをシンプルに図解するという
デザインされたつくしたすごい本でした#1日1冊 1493冊 pic.twitter.com/bNZDGqbmh5
もとからデザインには興味があったのですが、最近CANVAを使って、note記事の見出しデザインをつくったりしていて、もっとデザインを勉強してみたいなと思っていた矢先に本書に出会いました。
この本の特徴は69点にわたる図解を使ってデザインについて論じているところ。Amazonさんで公開されている紙面を見ましたが、実にわかりやすそうなんですね。
noteやXに図解を入れた記事やポストも作りたいと思っていたので、これは読みたいです。
デザインという正解がない世界における「コミュニケーションの取り方」「勉強・リサーチの仕方」
「使える心理学」といった、著者の経験則に基づいた知恵も満載です。
というのも気になりますね。
いま読んでいる本
今は、こちらを少しずつ読みはじめています。
ゆっくり読んでいる間に、こんなNEWSが飛び込んできました。
これは博報堂さんが刊行されている雑誌「広告」の特集として、企画されたもののようで、さっそく取り寄せて拝読しました。詳細については別記事を書こうと思いますのでここでは控えますが創作はますます編集力が必要になってくるなと言う印象でした。
創作における編集力の重要性については、この記事でも書いています。
そして、アンソロジーと言えば井上雅彦さんの異形コレクション。25年以上にわたり、刊行され続けている人気シリーズです。そのなかで、旧作の「物語のルミナリエ」というアンソロジー集をいま読んでいます。
ルミナリエとはイタリア語で「イルミネーション」の意味です。そしてルミナリエと言えば、「神戸ルミナリエ」。1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災の犠牲者への鎮魂の意を込めるとともに、都市の復興・再生への夢と希望を託して、現在も実施されている神戸の名物行事です。
小さな物語の光を集めて、人々に元気を与える。そんなコンセプトを立てて原稿を集めた。
まさしく物語のルミナリエとして、編まれたのが本書なのです。当時大阪で被災した私としては、一篇一篇、こころに刻み込むように読んでいます。ところで本書の裏表紙にはこんな惹句が書かれています。
苦難の時期に作家ができることは「物語」を贈ることである。
人は「物語」により癒され、明日への力や困難な壁を乗り越える力を蓄えていきます。私も一人の書き手として心が軽くなるような文章や短歌を、これからもお届けしていきたいと思います。
余談ですが、異形コレクションの旧作をぜひ電子書籍化ないし再版していただけないかなと個人的に考えています。
図書館で読んだり、すこしずつ買い集めているのですが、旧作になるとかなりのプレミア価格がつき、ちょっと手が出ません。刊行にはさまざまな問題があるかとは思うのですが、光文社さん、ぜひご検討をお願いいたします。
そして最後に今読んでいる歌集を2冊
まず1冊目はXでも紹介した吉川宏志さんの「叡電のほとり」です。
ふらんす堂さん刊行の「短歌日記」シリーズがよいです。365日分の短歌が収められた個人歌集で「この季節はこういう歌が詠めるのか」という気づきがあります。いま読んでいるのは吉川宏志さんの『叡電のほとり』。過去のものも読んでみたいと思ってます。https://t.co/pfrD7I8JoI
— つくだとしお@書籍編集×短歌 (@toto_books) March 27, 2025
このシリーズの魅力は、人気の歌人が短歌で日記を綴っていることです。たとえば、本日3月29日は、吉川さんはこんなうたを詠まれています。
おびえつつ生きるは同じ 鶺鴒の水を踏みつつ水を離るる
本書では、日付ごとに短歌一首とその日の雑記がしたためられているのですが、今日のテーマは初対面の方との話が苦手ということ。はじめの頃は、人と会う前に何度もリハーサルをされていたそうです。
しかし歳を重ねるうちに、初対面で緊張しているのは自分ばかりではなく、相手もそうなのではと気づくことが増えたそうです。そしてその後からは、自分から相手に安心感を与えるようにしたところ、苦手意識が少し軽くなったというエピソードを紹介されています。
まさに「おびえつつ生きるは同じ」ということですね。それに鶺鴒の「水を踏みつつ水を離るる」という水際での素早い動きや警戒心を持って動く描写が加わり、味わい深い紙面となっています。
本の面白さには一気読みと一日少しずつよむ味わい詠みのふたつがあると思います。本書はまさに味わい詠みがおすすめの一冊です。
そして最後の一冊は、服部真里子さんのこちらの歌集です。
本書は服部さんの第2歌集で、短歌仲間のYさんに教えていただいた歌集です。私が気に入って付箋を貼り付けたうたを一つご紹介しておきましょう。
わたくしが復讐と呼ぶきらめきが通り雨くぐり抜けて翡翠
本書の第一首めを飾るうたです
「復讐と呼ぶきらめきが」という言葉に心を持って行かれました。そして結句の翡翠。復讐というきらめきが通り雨をくぐり抜けることで、翡翠となる。そのメタモルフォーゼというか変貌に、心が震えました。
ルイス・サッカーの『穴』など児童文学の名作を数多く翻訳されている金原瑞人さんは、帯の推薦文にこう書かれています。
短歌はわたしではなく世界を震わせるのか。
この歌集を読んで、初めてそう思った。
世界が震え、震える世界の中にいる私が共鳴する。
そうか、そうだったんだ。
「復讐」「きらめき」「通り雨」「翡翠」という展開は、まさに世界を震わせ、震える世界の中にいる私を震わせたのです。
また、本書を読むまでは連作のタイトルにそれほど意味を感じていなかったのですが、先のYさんから「連作は難しい」という話を聞き、連作の奥深さを知ることができた一冊でした。
私はこの一年、短歌を詠みに詠んでから、短歌の賞に応募してみようと密かにもくろんでいるのですが、短歌賞の受賞作と言えば、50首連作など連作単位で構成されたものが多いのですね。これを機に歌を学びつつ、連作にも挑戦してみようと思っています。
ということでいま読みたい本、読んでいる本9冊をご紹介しました。
気になる本はありましたか? あなたのお勧めの本もぜひコメントで教えていただけると嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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