「評価は同じなのに、結論が違う…なぜ?」─“ブレないリハビリ”をつくる意思決定の軸
はじめに
はじめまして。
訪問リハビリに従事している認定作業療法士(OT)です。
「その人らしい生活」を支えることを日々の仕事としています。
突然ですが、こんな経験はありませんか?
同じ利用者さんを評価したのに、
先輩Aは
「まずは筋力強化ですね」
先輩Bは
「環境調整が優先かな」
そして自分は…
「え、結局どれが正解なんだろう…?」
学生の頃も、新人の頃も、そして少し経験を積んでからも、この疑問は何度も感じました。
評価は同じ。
でも結論は違う。
最初は「経験の差なんだろうな」と思っていました。
でも、ある日気づいたんです。
違っていたのは知識ではなく、『意思決定の軸』でした。
今日は、僕自身が試行錯誤してきた「評価→仮説→介入」を一貫させる考え方についてお話しします。
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目次
* 評価しているのに迷う理由
* 昔の僕は「評価コレクター」だった
* 「評価→仮説→介入」を一本の線でつなぐ
* 明日から使える簡単な意思決定フレーム
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評価しているのに迷う理由
新人の頃の僕は、とにかく評価を頑張っていました。
ROM。
MMT。
バランス。
ADL。
高次脳機能。
生活歴。
家族構成。
評価項目はびっしり。
カルテもかなり埋まります。
…なのに。
介入を考えようとすると止まる。
「で、何をやればいいんだ?」
そんな状態でした。
今振り返ると、評価を集めることが目的になっていたんですね。
例えるなら、
スーパーで食材を山ほど買ったのに、
「今日何を作るんだっけ?」
となっている状態。
材料はある。
でも献立がない。
これでは料理になりません。
リハビリも同じです。
評価は”材料”。
仮説が”レシピ”。
介入が”料理”なんです。
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昔の僕は「評価コレクター」だった
訪問リハでは時間が限られています。
だからこそ、
「全部評価しなきゃ」
と思っていました。
でも実際には、
評価項目だけ増えて、
肝心の利用者さんの生活は変わらない。
ある利用者さんで、こんなことがありました。
歩行は不安定。
下肢筋力も低下。
バランスも悪い。
最初の僕は、
「筋トレを頑張ろう!」
と考えました。
ところが数週間たっても変化はほとんどありません。
そこで生活をもう一度見直してみると、
実は本人が一番困っていたのは、
「夜中のトイレが怖い」
ということでした。
原因は筋力だけではなく、
廊下が暗い。
段差が見えにくい。
手すりがない。
つまり、
問題は身体だけではなく生活環境にもあったんです。
そこから、
センサーライト。
家具配置。
歩く時間帯の工夫。
家族への説明。
これらを組み合わせると、
転倒への不安は大きく減りました。
筋力は急に上がったわけではありません。
でも生活は変わりました。
この経験で痛感しました。
評価は「何ができないか」を探すためではなく、
「なぜ困っているのか」を考えるためにある。
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「評価→仮説→介入」を一本の線でつなぐ
最近、後輩にもよく伝えていることがあります。
それは、
「評価結果をそのまま介入にしないこと」
例えば、
握力が弱い。
↓
だから握力訓練。
これは一見自然ですが、
本当に握力が原因でしょうか?
もしかすると、
痛み。
疲労。
恐怖心。
やり方が分からない。
生活習慣。
別の原因かもしれません。
評価からすぐ介入へ飛ぶのではなく、
必ず間に
「仮説」
を入れます。
例えば、
評価
「歩行時にふらつく」
↓
仮説
「方向転換時に注意配分が難しくなっているのでは?」
↓
介入
方向転換を含めた練習や環境設定。
この”真ん中”があるだけで、
介入の理由が説明できるようになります。
さらに、
結果が出なかったときも、
「介入が悪かった」
ではなく、
「仮説が違ったかもしれない」
と考え直せます。
これは臨床を続けるうえで、とても大きな違いです。
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明日から使える簡単な意思決定フレーム
僕が普段、頭の中で使っているのはとてもシンプルです。
①何に困っている?
まず生活上の困りごと。
本人は何をしたい?
何ができるようになりたい?
ここがスタートです。
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②なぜ困っている?
身体?
認知?
環境?
家族?
習慣?
一つとは限りません。
原因候補を並べます。
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③一番影響が大きいのは?
全部は変えられません。
だから優先順位を決めます。
ここが意思決定です。
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④本当に変えられる?
今の期間。
今の生活。
今の支援体制。
現実的かどうかを考えます。
理想だけでは続きません。
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⑤介入して再評価
結果が違えば、
仮説を修正。
これを繰り返します。
臨床は、
「一発で正解を当てるゲーム」
ではありません。
「少しずつ正解に近づくゲーム」
なんです。
だから外れても大丈夫。
大事なのは、
なぜその介入を選んだのか説明できること。
ここが臨床力になると思っています。
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おわりに
昔の僕は、
「経験豊富な人は迷わない」
と思っていました。
でも実際は逆でした。
経験がある人ほど、
ちゃんと迷っています。
ただ違うのは、
迷うための”軸”を持っていること。
評価。
仮説。
介入。
そして再評価。
この一本の線があるだけで、
臨床は驚くほど整理されます。
もちろん、利用者さんは教科書どおりにはいきません。
昨日うまくいった方法が、今日は通用しないこともあります。
だからこそ、「答え」を探し続けるより、「考え方」を磨くことが大切なんだと思います。
知識はアップデートされます。
評価法も増えていきます。
でも、どんな時代でも変わらないのは、「なぜこの介入を選ぶのか」という問いです。
その問いに、自分の言葉で答えられるようになること。
それが、経験年数以上に信頼されるセラピストへの一歩なのかもしれません。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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