「それはフェルンが笑っていたから」|葬送のフリーレン
前回の記事で、ハイターがかつて、大泣きするフリーレンに対して「あなたはやはり、優しい子です」と言ったエピソードを取り上げた(S1E2『別に魔法じゃなくたって…』)。
その記事を書いていて、私は「優しさって一体、なんだろう」と、あらためて考えた。
そして思い浮かんだのが、S1E4『魂の眠る地』に出てきた新年祭の場面だ。
* * *
フリーレンとフェルンは、とある村で海岸の清掃を請け負う。
海岸の清掃が完了すると、ふたりは村の新年祭に招かれる。
ふたりが清掃したその海岸で、村人たちが日の出を見る、という祭だ。
フリーレンは、かつてヒンメル一行とこの村を訪れた際、早起きが苦手という理由で新年祭には行かなかった。
その時ヒンメルはフリーレンに、「なぜ新年祭に来なかったんだい」と不満げに聞いた。
フリーレンは、ただの日の出なのだから「楽しめるとは思えない」と呟くが、ヒンメルはこのように言い返す。
いいや、楽しめるね。
君はそういうやつだからだ。
このヒンメルの言葉を覚えていたフリーレンは、半信半疑でありながらも、今回はフェルンと一緒に新年祭に行くことを決める。
自分が日の出を楽しめるのかどうか、確かめるために。
新年祭の日、フリーレンはフェルンとふたりで高台に立ち、水平線に浮かぶ日の出を眺める。
フリーレンは心の中で、こう呟く。
確かにきれいだけど、早起きしてまで見るものじゃないな。
ヒンメルは私のこと、わかってないな。
「帰ろう」と言い出しかけたフリーレンだが、そのとき隣にいるフェルンの嬉しそうな横顔を見て、思いとどまる。
そしてフリーレンの表情を見返したフェルンが、「でもフリーレン様、少し楽しそうです」と言う。
それはフェルンが笑っていたから。
フリーレンはフェルンにこう言葉を返した後、ふっと笑みをこぼす。
ヒンメルは、フリーレンは新年祭を「楽しめる」と断言した。
「君はそういうやつだからだ」と言った。
この言葉は、かつてのハイターの「あなたはやはり、優しい子です」と、きっと同じ意味だろう。
フリーレンなら、自分が大切に思う誰かの喜ぶ顔を見て、それを嬉しいと思うことができる。
ヒンメルもハイターも、フリーレン自身が気づいていない、彼女の心の温かい部分が見えていた。
* * *
日の出が見える丘に、フリーレンとフェルンは、まだ立っている。
その映像が少しずつ遠ざかる。
ふたりの会話は、そのまま続いている。
「私ひとりじゃ、この日の出は見れなかったな。」
「あたりまえです。
フリーレン様は、ひとりじゃ起きられませんからね」
このシーンを見ていて、私の心も温かくなった。
そして、「ああ、そうか」と思った。
単純なことだ。
優しさって、こういうことなんだ。
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