「自分がわからないものには、手を出すな」——『バフェットからの手紙』
コスモス:最近、バークシャー・ハサウェイの株主総会が
話題になってて、バフェットの本を読んでみたの。
エール :あの「投資の神様」の人?
コスモス:そうそう。『バフェットからの手紙』っていう本。
エール :手紙?なんで手紙?
コスモス:バフェットが毎年株主に送ってる手紙を
集めたものなんだよ。何十年分も。
エール :へえ。それで、何か面白いこと書いてあった?
コスモス:めっちゃあった!
特に「自分がわからないものには手を出すな」って考え方。
エール :……? 当たり前じゃない?
コスモス:そう思うでしょ?でも、これが投資で一番難しいんだよね。「能力の輪」——自分が理解できる範囲だけで戦う
バフェットの哲学で一番有名なのが、「能力の輪(サークル・オブ・コンピテンス)」です。
自分が「理解できる」ビジネスの範囲内に投資を限定する。
範囲の広さよりも、その境界を正確に知ることが大事ということ。
“知らない分野を避けること”ではありません。
“理解できないまま賭けること”を避ける、という意味です。
エール :つまり、「わからない株は買うな」ってこと?
コスモス:そう。でもこれ、めっちゃ難しいんだよね。
例えば、AI関連の株。みんなが買ってるし、
将来性もすごそうに感じる。でも、「この企業の
ビジネスモデルを中学生に説明できるか?」
って聞かれたら、自信ない人多いんじゃないかな。
エール :確かに。AIの仕組み、私も説明できないわ。
コスモス:でしょ?そこでバフェットはこう言ってるの。
「自分がわからないものに投資するのは、
ポーカーで誰の顔も見えないままチップを
積むようなものだ」 って。
エール :それ、怖いね。
コスモス:だから彼は、自分が理解できる「地味なビジネス」に
集中したんだ。コカ・コーラ、ジレット、
アメリカン・エキスプレス。誰がどう見ても
「これはずっと必要とされる」っていう企業だけを選んだって。「経済的な濠」——競合が入れない堀を掘れ
もう一つ、バフェットが重視したのが「経済的な濠(エコノミック・モート)」です。
お城を守るための「水堀」みたいなもの。
競合他社が簡単に侵入できない参入障壁のこと。
例えば:
· 強力なブランド力(コカ・コーラ)
· 乗り換えコスト(AppleのOS、一度使うと抜け出せない)
· 低コスト生産能力(規模の経済)
ここで、具体的な日本企業の例を考えてみます。
セリア(278A)という100円ショップです。
同業のダイソーやキャンドゥがインフレや円安を受けて300円・500円の高価格帯商品への転換を進める中、セリアは「全品100円(税抜)」のポリシーを貫いています。
エール :え、なんで?原価上がってるのに、
それって儲からなくない?
コスモス:そこがセリアのすごいところなんだ。セリアは、「全品100円」という強いブランド価値(=濠)を守ることで、消費者からの絶大な信頼を得ています。
さらに、全商品の90%をメーカーと共同開発する「プライベートブランド(PB)」戦略や
POSデータを活用した徹底的な在庫管理で、高い収益性を維持しています。
実際、2025年4-12月期の売上高営業利益率は8.2%を達成。通期の営業利益は前期比14.6%増の193億円を見込んでおり、堅調な成長を続けています。
つまり、セリアの「100円」という価格帯そのものが、他社が簡単に模倣できない、深く広い経済的な堀になっているのです。
過去に深く分析した記事があります。
エール :なるほど。「100円」というシンプルなルールを
貫くことで、かえって強い競争力になっているのね。
コスモス:そういうこと。誰でも真似できるようでいて、
実は誰にも真似できない。それが本当の「濠」なんだ。「オーナー利益」——会計の嘘を見破る
ここが初心者にとって一番難しいポイントかもしれません。
バフェットは、会計上の「純利益」をそのまま信じるなと言っています。
例えば、減価償却費。
これは実際にお金が出ていっているわけじゃないのに、費用として計上されています。
逆に、設備の更新費用は将来必ず必要だけど、当期の費用にはなっていません。
そこでバフェットが考案したのが「オーナー利益」です。
オーナー利益 = 純利益 + 減価償却費など - 事業維持に必要な資本支出
エール :……ちょっと難しい。
コスモス:うん。でも簡単に言うと、「会計上の儲け」じゃなくて
「本当に自分のポケットに入ってくるお金」を
計算しようってこと。バフェットはこの数字を見て、
企業の真の稼ぐ力を判断していたみたい。営業CF − 設備投資(=フリーCF)だけでもいいから、一度見てみてほしい。
エール :なるほど。表面的な数字に騙されるな、と。
コスモス:そう。特に「のれん」っていう会計項目がやっかいで。
買収したときに発生する差額なんだけどさ。
これが実際の経済価値を必ずしも表していないんだよね。
だから、バフェットは「会計上ののれん」と
「経済的なのれん(ブランド価値などの本当の資産)」を
分けて考えるように言っているよ。グレアムからバフェットへの進化
バフェットの師匠は、ベンジャミン・グレアム。
『賢明なる投資家』の著者です。
グレアムは「数字上の安さ」を重視していて、
清算価値より安ければ買うという方針でした。
でもバフェットは、師匠のチャーリー・マンガーの影響で考えを変えたの。
「質の高い企業を、妥当な価格で買う」
エール :つまり、「安かろう悪かろう」ではなく、
「適正価格で良いものを買え」と?
コスモス:そういうこと!例えば、コカ・コーラは当時
決して「割安」ではなかったんだよ。
でも、ブランド力という「経済的な濠」が深すぎて、
長期的に見れば圧倒的なリターンを生んだんだ。
バフェットは「時間は良い企業の味方し、
悪い企業の敵である」とも言っているよ。
エール :なるほど。「安さ」だけじゃなくて「質」も見るんだ。
コスモス:そう。そこがグレアムとバフェットの一番の違いであり、
バフェットの進化した点なんだ。2026年の今、なぜバフェットなのか
2026年現在、バークシャー・ハサウェイはバフェットからグレッグ・アベルへのCEO交代という歴史的転換点を迎えています。
でも、彼の哲学は変わらず輝きを増しています。
特にAIが市場を席巻する現代において。
「未来が不確実なときほど、“わかるもの”の価値は上がる」
エール :AIとバフェットって、何か関係あるの?
コスモス:実はめっちゃあるんだよね。バフェットが2025年以降、
ハイテク株の比率を調整して、日本の総合商社や
エネルギー産業に回帰したのは、知ってる?
エール :うん、ニュースで見た気がする。
コスモス:あれは、「誰がAI競争に勝つかわからないけど、
誰が勝っても電気は必要。エネルギーは必要」
っていう考えからだと思うんだよね。
エール :なるほど。AIを作る会社じゃなくて、
AIを使う会社に投資したんだ。
コスモス:そうそう。不確実な競争を避けて、
「誰が勝っても必要とされるインフラ」に
安全域を求めたんだんだと思う。自分なりの「バフェット流」を定義する
今回の話をまとめると、たぶんこれが一番大事です。
自分なりの「バフェット流投資」を定義する。
例えば、こんなふうに。
「投資先を決める前に、そのビジネスを中学生に説明できるか確認する」
「過去3ヶ月のクレカ明細を見て、自分が「高くなっても使い続けるサービス」をリストアップする」
「気になる企業の『営業CF』から『設備投資』を引いて、真の稼ぐ力を計算してみる」
そして、“説明できないビジネスには、たとえ話題でも1円も投資しない”と決めること。
もちろん“自分が理解できる範囲を広げる努力は必要です。
でも、その範囲を超えたら絶対に手を出さない”と決めるんです。
エール :それなら、AI株とかでも
「説明できなければ買わない」ってこと?
コスモス:そうだよ。自分が理解できないものに投資するのは、
ギャンブルと同じ。バフェットはそれを「投資」とは呼ばない。
エール :厳しいルールだけど、それなら確かに損しにくそうだね。
コスモス:そうだね。だからしっかり投資する銘柄を調べてから
投資判断を下す必要があるんだね。「わからないものに手を出す」というのは、
リターンを取りにいく行為ではなく、
“自分でも気づかないうちに、リスクを最大化している行為”なんだ。
エール :ねえ、結局どうすればいいの?
コスモス:まずは「自分の能力の輪を描く」ことから始めてみよう。
例えば、「自分が毎日使っているサービス」
「値上げされてもやめられないもの」を3つ書き出してみる。
それがきっと、あなたの「わかるビジネス」の候補だよ。
そして、“そのビジネスを中学生に説明できないなら、
買わない”と決める。値動きに一喜一憂するのをやめて、
ビジネスの「質」だけを見る。
それだけで、長期の結果は変わるよ!“わからないものを避けるだけで、大きな負けはほとんど防げる”
エール:それなら、やってみる価値はありそうだね。もしあなたも、投資先に迷ったときは、
ぜひ『バフェットからの手紙』を開いてみてください。
「自分がわからないものには手を出すな」
このたった一言が、あなたを多くの損失から守ってくれるはずです。
最後まで読んでくださって、ありがとうございます🌸

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※本記事はローレンス・カニンガム編『バフェットからの手紙』の内容を基にした解説です。特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
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