【うちの話#2】“母の日”スルーしかけた僕
5/10(日)
「今日は実家に帰るかも」
と以前両親に会った時に言っていた手前、
“やっぱ行くのやめた” もなんだか気持ち悪くて、
先生と美術館に行ったあと、
結局そのまま実家に行くことにした。
実家へ行く道中、
「あれ、今日って母の日だっけ?」
と思い出した。
もちろん何も準備していない。
花もない。
ケーキもない。
感謝の言葉すらノープラン。
そのまま何食わぬ顔で実家に到着した。
特に用事もないから、
「帰るって言ってたから寄っただけでさ。
またすぐ帰るね。」
とだけ伝えると両親が、
「天ぷら揚げてるけど、食べんのなら持って帰れば?」
と言ってきた。
ああ、実家だなと思った。
愛情表現が “持って帰りなさい” なのだ。
ぼくも遠慮なく、
まーまーの量の天ぷらをパックに詰めた。

すると母が、
「母の日だけど、何もないの?
お姉ちゃんは今度ランチ連れてってくれるんだけどね」
と、冗談っぽく、 でも確かにちゃんと本気で言ってきた。
図星だった。
ぼくは母の日どころか、
誕生日ですら何かを贈ったことがほとんどない。
ずっと、 “してもらう側” で生きてきた。
だから誰かに何かをするのって、
どこか照れくさい。
35歳にもなって。
まー、そんな人間もいるのだ。
結局、
「いや〜、何も準備してなくてさ」
と笑ってごまかし、
天ぷらだけしっかり受け取って家を出た。
帰り道、
「あー、なんも変わってないな、自分」
と思った。
最近、 自分のことも、人のことも、
ちゃんと幸せにできてない気がしていた。
だから、 本当に小さいことだけど、
ちょっとやってみようかなと思って。
家に着いてから、 母にLINEした。
「今度ランチ行く?」
するとすぐ、
「嬉しい、行く!」
と返ってきた。
こんな簡単なことなのに、
ここまで来るのに、ずいぶん時間がかかったな。

