太極剣は身体の延長になるのか ― 初めて“気”を感じた。しかし、それでいいのか?
相手を睨み、
剣指から気を送り込み、
剣先を喉元へ向ける。
そんな感じで、
演武をしていた。
太極剣を開始して1週間程度の頃の話である。
太極拳と同じく、
YoutubeとAIを相手に、
独学で太極剣を進めていた。
この頃の私は、
かなり武術的なイメージで動いていた。
特に印象に残っているのが、
転身回抽から並歩平刺への流れだった。
身体と剣を180度反転させ、
一度剣を引き、
剣指を前へ出す。
そして、
最後に相手の喉元へ剣を突き出す。
その一連の動きの中で、
身体から剣先まで、
何かがスッと流れていくような感覚があった。
すると、
動きが妙に気持ちよかった。
剣が空気を切り、
身体と剣が一体になるような感覚。
「あ、これが“気”なのだろうか」
そんなことを思った。
しかし同時に、
違和感もあった。
私は太極拳や太極剣に、
「柔よく剛を制す」
というイメージを持っていたからだ。
だが、
その時の私は、
どちらかというと、
“力で制している”感覚に近かった。
相手を「攻撃する」というより、
気で押さえ込むような感覚で動いていた。
睨み、
間を詰め、
相手に動く隙を与えない。
もちろん、
実際に戦ったことなどない。
それでも、
太極剣をしていると、
ただ腕を振っているだけではない、
妙な緊張感が生まれる。
そしてその頃、
私は太極剣に、
どこか茶道に近いものを感じ始めていた。
私は茶道に詳しいわけではない。
作法も知らない。
ただ、
戦国武将が武器を外し、
小さな入口から茶室へ入り、
静かな空間で相手と向き合う。
あの独特な世界観には、
昔から不思議な緊張感を感じていた。
戦うのではない。
しかし、
ただ穏やかに座っているわけでもない。
心が崩れれば、
その瞬間に負ける。
もし太極剣にも、
そういう境地があるのだとしたら、
当時の私の剣は、
まだ“力の剣”でしかない思う。
相手の力が自分より強ければ、
それで終わる剣。
柔らかく流すのではなく、
気迫で押さえ込もうとする剣。
そんな気がした。
しかし、
その時は、
それでいい気もしていた。
開始して一週間しかたっていない。
剣を振れれば楽しかったのだ。
(つづく)
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