息子よ、今こそ言おう。父親の本音。
幼稚園から帰ってくるなり、息子は言った。
「ハゲがいい。」
父も母も、耳を疑った。
幼稚園の友達二人が坊主頭にして、
「キャーキャー」言われているのを見て、
自分もしたくなったようだ。
結局、
髪のあるかわいい子であって欲しい
親の意向など気にされることもなく、
彼の思い通り坊主になった。
そして初日、幼稚園の先生に、
「キャー、髪切ったんや。
かわいいなー。」
と言われて、満面の笑みの息子だった。
しかし、確かにかわいい。
少し古いが、マルコメ坊主そのまだ。
かわいいすぎて、
意味も無いのに、
息子の顔を見つめてしまう。
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そして日曜日、幼稚園のイベントがあった。
友達のママさんたちへのお披露目だ。
「やっ、どないしたん?」
「ほんま、かわいいなー。」
「これ夏はめっちゃ便利やねー」
反応はいろいろ。
しかし結局、
多くのママたちは、
息子の頭に手を伸ばした。
「触らせてもらっていい?」
「さわり心地ええなー」
うれしそうな息子。
ママたちは
手触りを味わうように撫でてゆく。
息子の読みは、見事に的中しているようだ。

息子よ、今こそ父の本音を言おう。
……うらやましい。
そんなに、
ママたちに優しく頭をなでてもらえるなら、
ハゲも悪くないか、
そう思うのだ。
(おわり)
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