【ファンタジー小説】大魔法使いユウロは大魔法しか使えない (10)
「ユウロさん、大魔法でちょちょいっと人探しお願いしますよ」
「そうそう、大魔法で、バーンって簡単でしょ?」
簡単なことのように言うガストとアネモネ。
「大魔法を何だと思ってるんだ……。しょうがないな」
ユウロは魔法のカバンに手を突っ込み、折りたたまれた紙を取り出す。
「なんだこれ、タダの紙じゃないか」
「ほんとだ。枠だけで何も書いてないね」
広げられた紙には、不思議な紋様が書かれた枠だけで、他には何も書かれていない。
「エルディさん、この街の地図を書いてください。大体の位置が分かればいいです」
「え、はい、わかりました……」
エルディはユウロから魔法のペンを受け取ると、地図に大雑把に街の建物を書き込む。
「あと、ルドウィンさんが普段使っている物を持ってきてください。なるべくルドウィンさんだけが使うような物を」
エルディは部屋を見渡してルドウィンの物を探す。
「では、この金槌をどうでしょうか。師匠が特に大切に使っている物です」
小さな金槌をユウロに手渡す。
「ユウロ、何を始める気だ?」
ガストは不思議そうに覗き込む。
「魔法の地図よ、この道具の持ち主の現在位置を示せ」
ユウロがそう言うと、地図上に赤く光る点が映し出される。
「わ、地図が光った!」
初めて見る光景にアネモネが驚く。
「ここは、何の場所かわかりますか?」
ユウロは光る点を指さし、エルディに尋ねる。
「えっと、ここは確か……あ、たぶんゴブレット商会だと思います」
「すごい、もう見つかった!」
手を叩いて喜ぶアネモネ。
「ん、ユウロ、お前、大魔法しか使えないんじゃなかったのか?」
首をかしげるガスト。
「これは、魔法じゃなくて、魔道具。使い方さえ知っていれば誰でも使えるよ」
「へー、人探しの魔道具か、初めて見たぜ!」
便利な魔道具に興奮するガスト。
「ちょっと、唾飛ばさないでよ!こんな便利な魔道具、一体いくらすると思ってるの!」
「そんなに高いのか?じゃあこれを売って……」
「――売るわけないでしょ。師匠に何されるか、わかったものじゃない」
ユウロは慌てて拒否する。
「ほんとうに、すっごい、魔道具ですね。どういう仕組みなんだろう?」
隅から隅まで、まじまじと観察するエルディ。
「もういいですか?」
ユウロがエルディに尋ねる。
「もう少し……じゃなかった、急いで、師匠を連れ戻さなきゃ!」
「よし、じゃあ行くか!」
「ふふふ、報酬、報酬!」
もう報酬を貰った気でいるアネモネ。
「ちょっと待ってください、精霊人形に案内させましょう」
続く
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