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【ファンタジー小説】大魔法使いユウロは大魔法しか使えない

あらすじ

ユウロ 少年の魔法使い。大魔法を使えるが初級魔法や中級魔法は使えない。
ガスト 若い男性の冒険者。主に大剣を使う。魔法は苦手。
アネモネ 若い女性の冒険者。主に弓を使う。中級魔法まで使える。

ユウロは、世界を巡って修行の旅をしている。
強大な威力を誇る大魔法であるが、詠唱が長く、実戦では使い難い。
そのため、ユウロの師匠は、様々な武器やアイテムをユウロに持たせる。
今回、訪れた街は長い間雨が降らず、川が干上がりそうになっていた。
その街のギルドを訪れるユウロ。
ユウロは大雨を降らせると約束する。
ギルドは監視役として暇そうな冒険者2人を付ける。

本作はユウロの旅の模様を描くファンタジー小説である。




――詠唱

蒼穹の涙よ空より滴り、生命を潤す恵みの雨となれ。
穢れた気を洗い流し、枯れ果てた大地に息吹を吹き込め。
大地よ、その息吹を深く深く吸い込み、新しい芽生えを示せ。
永遠なる常世よ、我の心を見よ。
鏡たる現世よ、我の心を映せ。
顕現せよ!

コールオブレイン!

乾いた森に、少年大魔法使いユウロの声がこだまする。

――ぽつ……
……ぽつ……ぽつ……
サァー

「おっ、雨だ!雨!」

男冒険者ガストは天を仰ぎ口を開けて飛び跳ねて喜ぶ。

「まったく、子供みたいにはしゃいじゃって」

女冒険者アネモネは、腰に手を当てて呆れている。

「だってよぉ、1ヵ月ぶりの雨なんだぜ!川はちょろちょろしか流れてないし。井戸は干上がるし」

「まったく。それにしても、ユウロ、本当に大魔法使えたのね。疑ってごめんね」

アネモネは、舌を少し出して苦笑いしながら、ユウロに謝る。

「発動できてよかったよ。発動しない時もあるからね。広域大魔法は失敗しやすいんだ」

ユウロは、大きく呼吸を整えながら答える。

「おいおい、我らがユウロ大先生を疑ってたのかよ、俺は最初から信じてたけどな」

馴れ馴れしく、ユウロの肩に手を回して軽口を叩く。

「誰かさんが、初級魔法も使えないのに、大魔法が使えるわけないだろって馬鹿にしてなかった?」

「そ、それは、あれだよ、あれ。だって……子供でも出せる小さい火も出せないって言うんだぜ?」

バツが悪そうに、もじもじしながら言うガスト。

「それは、あんたもでしょ」

じとっとした目で見るアネモネ。

「お、俺だって、小さい火ぐらいだせるって……指先の火ぐらいなら。ファイア」

指先から少量の火を出すガスト。

「夫婦漫才はそのくらいにして、街に帰ろうよ」

「誰が夫婦だ!」
「誰が夫婦だっての!」

息ぴったりに異議をとなえる二人。

「ほんと、仲いいよね」

「そんなことはない」
「そんなことあるわけないでしょ」

お互い背中を向け抗議している。


――帰る準備を整え、帰る道中。

「何で、僕を挟んで歩くの?歩きにくいんだけど」

なぜかユウロを挟んで歩くガストとアネモネ。

「仲が良くないからだ」
「仲が良くないからね」

ユウロをにらむ二人。

「何も言っていないのに、なんで僕をにらむの……」

「そういえば、お前、魔法使いなのに、剣をもっているよな」

ユウロが腰に差している剣に目が留まる。

「大魔法しか使えないし、とっさに発動できないから、剣とか他のも覚えろって、師匠に言われて」

「なかなか合理的なお師匠さんね」

「おう、じゃあ、今度手合わせしようぜ」

「うん、いいよ。ても今日は疲れたからまた、今度ね」


続く





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