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【ファンタジー小説】大魔法使いユウロは大魔法しか使えない (19)


ネルギアスが離れていくのを見て、合流するガストとアネモネ。

「ユウロ、お前のことは忘れないぜ」

「冗談言ってる場合じゃないでしょ!」

「そんなこと言ったってよ、どうすんだよ、あんなの?」

「うーん、確かに。お茶でも飲んで結果を待つとしますか」

「おう。早めの昼飯といくか」

ガストとアネモネは去っていった。

――そのころユウロは走っていた。

「あれだけ人がいたのに、僕を追いかけてきたということは……」

ユウロは走りながら考えていた。
そして、気づけば、人気のない開けた場所に出ていた。

「この街ができる前から存在するネルギアス、ルドウィンさんの家に伝わる起動キー、もう一つ古いものがある……」

ユウロには確信があった。

「これだ!」

ユウロは魔法の鞄に手を突っ込み勢いよく引き出す。

メーティルが鞄から飛び出した。

「ユウロ、ナニカヨウカ?」

「状況を説明している暇はないんだ。ネルギアスが暴走している。君は何か知っているんじゃないか?」

ネルギアスがすぐ近くまで来ている。

「ネルギアスガ ボウソウ……。キドウキーハ ルドウィンガ モッテイタハズ」

「ゴブレット商会会長が盗んで、勝手に使用したんだ。そんなことより、あれ停止できないの?」

ネルギアスが腕を振り上げる。

「テイシハ カノウ」

「できるなら早くやるんだ!」

ユウロが要求するも、ネルギアスが勢いよく腕を降り下ろす。

「テイシシンゴウ ソウシン」

腕が接触する寸前でネルギアスが停止する。

「ふう。やはり君が制御キーか」

ユウロは服についた埃を払いながら言う。

「ユウロ ヨクワカッタナ」

「まあ、賭けみたいなものだったけど。君から時々、魔力のようなものを感じたんだ。で、思いついたんだ、ひょっとして何かの信号のようなものかなって」

「ソノトウリ マリョクヲ シンゴウニシテ ネルギアスニ ソウシンシテ セイギョスル」

「便利と言えば便利だけど、仕組みを知られたら、魔力で妨害される可能性があるんじゃないかな」

「ソノカノウセイハ ヒテイデキナイ」

「ひょっとして、ネルギアスって?????できるんじゃないかな?」

「カノウ モトモト ソノヨウニ ツクラレテイル」

「やっぱりね、それじゃ早く行った方がいいね」

――街のカフェ。

「ひとっ走りした後のお茶はしみるなあ」

「汗かいてベタベタする。後で洗い流さないと」

呑気にお茶を楽しむガストとアネモネ。

テーブルに置かれた食器が震える。

「な、まさか、巨像がまた来たのか?」

「ユウロでも、とめられなかったの?」

二人の前を素通りするネルギアス。

「なんか巨像の動きが変じゃないか?」

「なんか、おそるおそる歩いているって感じね。あ、倒れた」

瓦礫に足を取られて転倒するネルギアス。

その後も、建物を避けるように歩くネルギアス。

その後を追うガストとアネモネ。

結局、ネルギアスは歩いて元の広場に戻ってきた。

「何なんだ一体?」

「あ、瓦礫を掴んだ」

ネルギアスは瓦礫をどける。

「何してるんだ、あれ?」

ガストがネルギアスの動きを不審に思う。

どうやら、ネルギアスは瓦礫を片づけた後を指さしているようだ。

「あ、ゴブ吉くん」

アネモネがゴブ吉くんを発見した。

「あ、まだ生きてる!」

「こいつを助けろっていうのか?」

ネルギアスが首を振っている。

「じゃあ何よ?」

ネルギアスはゴブ吉くんの横辺りを指さす。

アネモネが調べてみると、そこにはネルギアスの起動キーが落ちていた。

「これ?」

アネモネが拾い上げてネルギアスに向ける。

ネルギアスは頷くと、街の外の方に向かって歩き出す。

「何なの一体?」

とりあえず、起動キーをポケットに入れるアネモネ。

「ゴブ吉くんはどうするんだ? あれ、いない」

ゴブ吉くんは逃走した後だった。


続く




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