【ファンタジー小説】大魔法使いユウロは大魔法しか使えない (12)
「おい、お前、人にぶつかっておいて、なんだその態度は!」
ガストが怒鳴る。
「何言ってんのさ、ぶつかってきたのは、そっちじゃないか」
アネモネが言い返す。
「なんだと? お前、ちゃんと目ついてんのか?」
「このぱっちりお目目が見えないって、あんたの方が目がついてないんじゃないの?」
「お前、男女平等って意味……わかるよな?」
「なにさ、やろうっての? 面白い、お姉さんが少し遊んであげようじゃないの」
お互い武器を抜く。
「なんだなんだ!」
「喧嘩が始まったぞ!」
「なんだって、うちの店の前で喧嘩してるんだ!」
あたりは大騒ぎになっている。
その騒ぎの理由は、ついさっきの出来事に遡る。
――騒ぎの少し前、ユウロ一行はゴブレット商会のすぐ近くまできていた。
「コノサキ ゴブレット ショウカイ」
「すご~い! 迷わずついちゃった!」
アネモネははしゃいでいる。
「これなら、地図なしでも問題ないね」
ほっとしているユウロ。
「ほんと、便利。一家に一台的な」
メーティルをなでるアネモネ。
「これは、メンバーチェンジもありだな」
アネモネを見るガスト。
「ちょっと! いくら便利でもメーティルは戦闘できないでしょ! ね、ユウロ?」
目を合わせないユウロ。
「もう! ユウロまで!」
悔しそうなアネモネ。
「仕事を先に終わらせよう。メンバーチェンジは後で考えればいいよ」
ユウロは作戦を考えている。
「あの建物内にルドウィンさんがいるはず。魔法の地図の反応からして生きているみたいだね。自分の意志でここにいるとは考えにくい」
ユウロが状況を確認する。
「ここは正面突破だな!」
ガストが提案する。
「却下」
アネモネが即断する。
「なんでだよ!」
「下手なことして、ルドウィンがやられたら報酬がなくなっちゃうでしょ!」
アネモネが呆れて言う。
「ぐぬぬ……。邪魔するやつは、この剣で速攻で叩き潰してやればいいだろ!」
「あんたねぇ……。ルドウィンごと叩き潰さないでよ。ユウロ、なにかいい案はある?」
「……パーティを分けよう。陽動部隊と救出部隊で」
ユウロが案を提示する。
「もちろん、俺は陽動だな。おっさんの救出なんて締まらねぇ」
剣を握りながら言うガスト。
「で、私はどっち?」
「アネモネは陽動の方をお願い」
「え~、まぁいいや、わかった」
アネモネは嫌そうだ。
「アネモネ、俺の足を引っ張るなよ!」
「アネモネはガストが物を壊さないようによく見張っておいて。賠償金を請求されたらたまらない」
ガストがガクッとなる。
「りょうか~い」
アネモネが満面の笑みを浮かべて返答する。
「それじゃ、僕とメーティルでルドウィンさんを救出する」
「私とガストで騒ぎを起こせばいいかな?」
「うん、なるべく派手にお願い。くれぐれも物を壊さないように」
「まったく、わかったよ……」
渋々、了解するガスト。
「うまく、入り込めたかな?」
「ユウロなら、問題ないだろう」
喧嘩のふりをしながら、こそこそ話す二人。
続く
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