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【ファンタジー小説】大魔法使いユウロは大魔法しか使えない (6)


薄暗い森に多数の影が風と共に揺れる。

「ユウロ、囲まれてるぞ!」

「15、いや、20は、いるよ!」

「へっ、お前らはもう終わりだ……」

「一つ聞きたいんだけど、増援はこれで全部でいいんだよね?」

「そうだ。こんだけいれば十分だろう?」

「ありがとう。そして、おやすみ」

そう言いながら双剣使いを気絶させるユウロ。

「二人とも、できるだけ近くに」

「どうすんだよ、ユウロ」

ガストはユウロの方に後ずさる。

「数多すぎ!」

アネモネは弓を向ける相手に迷う。

「大魔法を使うから時間稼ぎを」

「まだ、距離はあるけど間に合う?」

「頼むぜ、大将!」

ユウロは詠唱を始める。

「大魔法はそう簡単に詠唱は終わらないはず!焦らずに魔法使いだけやれ!他のやつには構うな!」

ローブの集団がユウロめがけて走り出す。

「あいつら多すぎて、とまらないよ!」

アネモネが矢を放つも数が多すぎる。

「万事休すか……?」

詠唱

x 黒き雲から生まれいずる白き光
x 空を劈く光の龍
x 我のもとに集い 
x 森に懸る霧となれ
x 我に仇なす暗き群れを貫け
x 光の鎖となり星の瞬きより速く破滅をもたらせ!
x 儚き命に幾許かの慈悲を与えよ!

ー詠唱省略

「え、詠唱……」
「し、省略……?」
「そんな、バカな!」

詠唱省略という聞きなれない言葉にローブの男たちの動きがとまる。
自らの運命を悟ったかのように。

永遠なる常世よ、我の心を見よ。
鏡たる現世よ、我の心を映せ。

顕現せよ!

チェーンライトニング!

ユウロの手から、凄まじい光と音が発せられた。
その瞬間、幾つもの稲妻が広がる。

その稲妻はローブの男の間を蛇のように這い回り、何度も締め上げる。

「ぎゃぁあああ」
「うぉおおおお」

ローブの集団は感電し、叫びながら、激しく痙攣する。

「大魔法、えげつないなぁ……」

「こいつら死んでるんじゃない?」

「さあ?手加減はしておいたけど」

「ユウロ、詠唱省略なんてできたのかよ!」

「いつも詠唱すっごい長いのに」

「今回は、この人たちが来るのを読んでいたから、あらかじめ、あちこちに描いておいたんだ」

ユウロが足元を指さす。
ユウロの足元には不思議な文字とともに魔法陣が光っている。

「へぇー賢いな。うわっ、ピリッときた!」

大魔法の効果が残っているのか、静電気のような症状がガストを襲う。

「毎日、雨降らせたのは、こいつらをおびき寄せるためだったんだね。いてっ」

大魔法の効果が残っているのか、静電気のような症状がアネモネを襲う。

「それにむやみに省略すると、大魔法が不安定になって威力が増したり、暴走して味方を巻き込むかもね」

「うわぁ……」
「ひぃっ!」

改めて辺りのローブの集団の惨状を見て戦慄する二人。

「念のため、二人には雷耐性のアミュレットを渡したじゃないか?」

「これ、雷耐性のアミュレットだったんだ」

アミュレットを取り出して眺めるアネモネ。

「おい、俺は貰ってないぞ!」

「アネモネに二つ渡したよ」

「当たらなければ、どうということはないって」

アネモネは舌を出して笑っている。

「アネモネぇ……!」

ガストは逃げるアネモネを追い回す。


続く



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