【ファンタジー小説】大魔法使いユウロは大魔法しか使えない (7)
ユウロは一人で街道を歩いている。
金貨で膨らんだ革袋をバッグに入れているが、その足取りは軽かった。
その重さに、ユウロは、わずかに笑みをこぼす。
朝早く宿を出て街を後にしていた。
ユウロの経験上、同じ街に長居すると碌なことはなかった。
違う場合もあるが、大半はそうだ。
報酬関係でトラブルがあった場合は、特にそういうことが多い、その様にユウロは考えている。
その度に、大魔法使いは只の魔法使いとは違うことを思い知ることになる。
魔法を使う者は多いのに、大魔法を使うものは少ない。その理由は何か、己の目で確かめろ。
ふと、師匠に言われたことを思い出すユウロ。
遠くに、行き先の距離を示す看板が見える。
その看板の辺りにどこかで見たような人影が見える。
「ユウロ~」
手を振る影。
その隣には龍をも殺しそうな巨大な剣をもつ影。
「はぁ~、何か用?見送りに来たわけじゃないよね?」
ユウロは大きなため息をつく。
「え~、その態度は酷くない?お姉さん泣いちゃうぞ」
アネモネが泣きマネをする。
「挨拶もなしとは、水臭いぞ」
巨大な剣を持て余すガスト。
「いうほど親しくなった覚えはないんだけど。ちゃんとお金は分けたよね」
「うんうん。まさか山分けにしてくれるなんてね。見て見て~カワイイ服買っちゃった!」
真新しい服を自慢するアネモネ。
「おう。貰った金で、掘り出し物の剣を手に入れたぜ。武器屋の親父が言うには、伝説の狂戦士が使ってたものだとよ」
使いこなせるのか非常に怪しい鉄塊を自慢するガスト。
「まさか、もう全部使ったとか……?」
「おう。だから……」
「うん。だから~」
身の危険を感じ、剣の柄に手をかけるユウロ。
「一緒に行ってやるぜ!」
「一緒に行ってあげる!」
「はぁ?」
「遠慮はいらないぜ!」
「照れちゃってカワイイ!」
そっちが遠慮して欲しいものだとユウロは思った。
「昔聞いた童話を思い出したよ」
ユウロは頭を天を仰ぐ。
「どんな?」
「猿と犬と鳥のモンスターが、パーティに入るから餌をくれ、と言ってくる内容だったかな。」
「ああ、じゃあ、ガストは大猿ってとこね」
「あん?じゃあ、お前は犬だな」
「私って、どこか犬の要素ある?」
「負け犬だよ!この前の戦闘で逃げ回ってただろうが!」
「あれは、ユウロに花を持たせてあげただけです~」
「どう見たって逃げ回ってただろ!」
「ああ、大猿、怖いわ~」
「大体、なんで俺が大猿なんだよ!」
「怒った顔がエイプそっくりじゃない。ね、ユウロ。あれ、ユウロは?」
ユウロは2人を置いて先に行く。
「ごゆっくりどうぞ」
「ちょっと、待てよ~」
「ちょ、待ってよ~」
空に虹がかかる。
続く
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