【ファンタジー小説】大魔法使いユウロは大魔法しか使えない (8)
「で、目的地は? どこに行くのか決めているの?」
アネモネがユウロに尋ねる。
「う~ん。どうしようかな」
顎に手をあて悩むユウロ。
「珍しく悩んでいるな、少年」
大剣を素振りしながら言うガスト。
「目的の場所は決めたんだけど……」
「ほぅ」
「ふむふむ」
「十分な収入も入ったし、しばらく温泉にでも行こうかと思ってたんだ」
「ん、温泉って何だ?」
ガストは聞きなれない単語に首をひねる。
「温泉って地中から温水が湧く場所のことでしょ?」
「物知りだなアネモネ」
「えっへん。でも温泉に何しに行くの?」
胸を張るアネモネ、しかし温泉についての知識はあまりなかった。
「温泉に全身浸かるんだよ。疲労回復、傷病の治癒促進などの効果が得られるんだ。要は、少しだけ、のんびりするということだよ」
「連日、大魔法を使って疲れているのか?ユウロ」
素振りを続けるガスト。
「確かに疲れたけど、それほどでもないかな」
「じゃあ、どっか怪我でもした?」
爪を磨きながら尋ねるアネモネ。
「そうじゃなくて、温泉巡りは趣味みたいなものかな」
「う~ん、俺は全然疲れてないしなあ」
スキルを開発中のガスト。
「え~、私も別にいいかな」
弓の手入れをするアネモネ。
「温泉の性質によっては、筋力上昇効果とか美肌効果とかもあるんだって」
地図入りの案内書を取り出し解説をするユウロ。
「筋、力!よし、すぐ行くぞ!」
「美、肌!行く行く!最近、お肌がカサカサしちゃって」
動作をキャンセルして、ユウロに詰め寄る二人。
「そうは言っても、君たち、渡したお金使っちゃったでしょ?」
「そういや、そうだった!」
「ああ、服よりお肌が先だったか……」
「はぁ、仕方がないから、道中、クエストをこなしながら行こうか」
「おう!稼いで、筋力上昇!」
「うん!稼いで、美肌を取り戻そう!」
3人は、道中お金を稼ぎながら温泉を目指すことにした。
「じゃあ最寄りの街に行こうぜ」
「ちっちっちっ。稼ぐには、小さな街じゃなくて大きな街じゃなくちゃ」
人差し指を揺らすアネモネ。
「えっと、ここから最寄りの大きな街は……」
ユウロは地図入りの案内書をペラペラめくる。
「スピルード。精霊人形の街」
「何だ?精霊人形って」
「私も聞いたことぐらいしかないなぁ」
「詳しいことは案内書にも書いてないね。でもそれなりに大きな街みたいだよ」
「じゃあ、目指すは精霊人形の街 スピルード!」
大剣を進行方向に掲げるガスト。
「お~!」
拳を天に突き出すアネモネ。
意気揚々と歩み出す二人。
「そっちじゃなくて、あっちだよ」
三人は温泉街に行く前に、精霊人形の街 スピルードに向かうことにした。
続く
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