【ファンタジー小説】大魔法使いユウロは大魔法しか使えない (9)
精霊人形の街 スピルード
「ここが精霊人形の街スピルードか」
「思ってたより大きな街ね」
街の周囲は、ガストの背丈の何倍もの高さの石壁で囲われていた。
「なんだ、祭りでもやっているのか?」
街のあちこちで様々な出店が開かれ、たくさんの人で賑わっていた。
「旅の人、いい時期に来たね。今は精霊人形祭りの最中だ」
気のよさそうなおじさんに声をかけられる。
「どおりで、賑やかなわけだ」
アネモネはなんだか嬉しそうだ。
「中でも精霊人形の品評会が目玉だ。毎年、優勝者には豪華賞品が贈られるんだぜ。ぜひ楽しんでいってくれ!」
おじさんは去っていった。
「だってさ、楽しんじゃう?」
「いいね、祭りは血が騒ぐぜ」
「何か忘れてない?」
「へ?」
「え?」
「お、か、ね」
「ああ……」
「そうだった……」
「わかったら、冒険者ギルドに行くよ」
ユウロはため息を吐きつつ、冒険者ギルドに向かう。
「大剣使い、弓使い、大魔法しか使えない魔法使い、ねぇ」
冒険者ギルドの受付嬢が気怠そうに言う。
「祭りの最中だから依頼はいくらでもあるけど、高報酬となるとね……」
受付嬢はペラペラと依頼書をめくる。
「ないのか……?」
「ないの……?」
「――ある。緊急の人探し。依頼人に引き渡せば金貨10枚、有力な情報なら金貨2枚」
「おお、これでいこう!」
「うんうん、いいね!」
「ああそうやるの。じゃあ、詳しいことは依頼者に聞いて」
受付嬢はやる気がなさそうに住所を書いた紙を渡す。
「アフロ工房、アフロ工房と」
アネモネは受付嬢から渡された紙を見ながら、目的の工房を探す。
「もうそろそろ着いてもいいんじゃないか?」
ガストは、街をうろうろするのに飽きていた。
「あっ、アフロ工房、ここだ!」
どうだ、と言わんばかりに自慢気なアネモネ。
「完全に迷っていたくせに、なんで自慢気なんだよ」
気怠そうなガスト。
「ちゃんと着いたんだからいいでしょ!」
「次からアネモネに地図を渡すのはやめよう」
真顔でうなずくユウロ。
「ユウロまで、ひどい!」
怒るアネモネを置いて工房に行く二人。
「じゃまするぜ」
工房内の人に話しかけるガスト。
「すみません、今、精霊人形の受注はしてないんです……」
「いえ、精霊人形の件ではなく、冒険者ギルドの紹介できました」
ユウロは要件を伝えた。
「あ、人探しの件ですね。すみません。私はこの工房の職人、エルディです」
ユウロ達はエルディからクエストの大体の内容を聞く。
「この工房の主のルドウィンが行方不明なので至急探して連れてきて欲しいというのが、今回の目標というわけね」
アネモネが目的を確認する。
「ルドウィンがいないと精霊人形を動かせず、品評会で高評価を得るのが難しいと」
「期限は明日の昼まで。人探しには、かなり厳しい期限だね」
ユウロは無表情で話す。
「すみません。師匠がいなくなったのが昨日の朝で、急いでギルドに依頼を出したんです。でも誰にも依頼を受けてもらえず困っていたんです」
「どおりで報酬がいいわけだ」
ガストが頷く。
「依頼を受けてもらえますか?」
「おう、ユウロに任せろ!」
「ええ、ユウロに任せて!」
「こういうのは、みんなで探すものじゃないの?」
ユウロはため息をつく。
続く
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