【ファンタジー小説】大魔法使いユウロは大魔法しか使えない (14)
――アフロ工房。
「もどったぞ!」
ルドウィンが大声で言う。
「師匠! よかったぁ~、心配しましたよ!」
エルディがルドウィンを迎える。
「あんたらには世話になったな」
「ハッハッハッ!気にするな」
ガストは豪快に笑う。
「こっちはなにも気にしないよ、もらうものさえもらえれば、ね」
嬉しそうなアネモネ。
「はい、報酬はギルドで受け取ってください」
エルディが笑顔で応える。
「じゃあ、早速受け取りに行くか」
ガストが工房を立ち去ろうとする。
「ちょっと待って」
ユウロが止める。
「どうかしたの、ユウロ?」
アネモネが聞く。
「ルドウィンさん、ゴブレット商会がまた来るかもしれませんよ?」
ユウロが無表情で言う。
「ああ、そうだな、でもどうだろうな?」
ルドウィンが曖昧に応える。
「師匠、そもそも、なんでこんなことになったんですか?」
「それはだな……わからねぇんだ」
ルドウィンが首をひねる。
「わからないってなにさ?」
「わからないんだからしょうがねえだろう。工房を出たところを、いきなり後ろからガツンだからよ」
「それだけじゃ、さっぱりだな」
ガストは手をあげている。
「この工房にルドウィンさんと、背格好が似ている人はいますか?」
ユウロが尋ねる。
「いえ、この工房には、今は師匠と私しかいません。前はもっといたんですけど……」
エルディが寂しそうに応える。
「最近の若いやつは、ちょっと厳しくすると逃げやがるんだよ」
ルドウィンは声を荒げる。
「ちょっと、ですかね……?」
「……」
無言でエルディを睨むルドウィン。
「今時、そんなの流行らないんじゃない?」
アネモネが馬鹿にしたように言う。
「みての通りだろう」
ガストが馬鹿にしたように言う。
「フフフ」
「ハハハ」
無言で睨むルドウィン。
「ということは、ルドウィンさんを狙った犯行の可能性が高い」
ユウロは何事もなかったように言う。
「というか、ゴブレット商会を役人に突き出したらいいんじゃないか?」
ガストが言う。
「あいつら、お偉いさんとつるんでやがるから無駄だと思うぜ?」
ルドウィンが答える。
「はぁ、どこの街も、そんなのばっかり」
アネモネは呆れている。
「そうだ、あんたら、護衛を頼めるか?」
ルドウィンが提案する。
「それはいいですね。あ、でも、もうお金が……」
エルディがため息をつく。
「よし、じゃあメーティルを持っていけ!」
ルドウィンがメーティルを指さす。
「ちょ、師匠! メーティルは昔からこの街にいたって言ってたじゃないですか」
エルディが慌てている。
「うちによくいるから、みんな、うちの工房のものだって思い込んでるんだよな。別に困らなないし俺は構わんぞ」
「僕は、それで構わないよ、便利だし」
「俺も」
「私も。でもメンバーチェンジで私は抜けないからね」
アネモネは念を押しておく。
「じゃあ、決まりだな。当面、護衛とゴブレット商会の調査をよろしくな」
ルドウィンは満足そうだ。
「え~、いいのかなぁ?」
エルディが不安そうに言った。
続く
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