【ファンタジー小説】大魔法使いユウロは大魔法しか使えない (15)
「あれ? 何か足りない気がするんだよな」
ルドウィンが鍵の束を見ながら言う。
「師匠、どうしたんですか?」
「ユウロに持ち物を取り戻してもらったんだが、どうも鍵が一つなくなっているようだ」
「何の鍵なんですか?」
「何だっけな?」
「思い出せないんですか?」
「思い出せないんだから、大したものじゃないんだろう」
ルドウィンは笑っている。
「さて、ギルドに報告に行こうか」
ガストが提案する。
「ルドウィンさんの護衛もあるし、僕は残るよ」
「私も行っていい?」
アネモネがユウロに尋ねる。
「いいけど、お金を使い込まないようにね」
念を押すユウロ。
「わかってるって」
手をひらひらして工房を出るアネモネ。
その後についていくガストと道案内のメーティル。
――しばらくして、ガストとアネモネが帰ってくる。
「帰ったぜ!」
ガストが大声で知らせる。
「やっぱり経済的余裕って素敵ね♪」
嬉しそうなアネモネ。
「お帰りなさい」
エルディが迎える。
「何か変わったことはなかった?」
アネモネが聞く。
「特になかったよ。念のために障壁魔法で、工房に入れないようにするけどいいよね?」
「ゴブレット商会のやつらが来たら大魔法で、みんなやっつけちまえばいいんじゃないか?」
ガストがあくびをしながら言う。
「工房ごと吹き飛ばしていいなら」
ユウロが真顔で答える。
「や、やめてください」
エルディがあせっている。
「途中まで魔法陣は描いてあるから、完成させるよ」
ユウロは魔法陣を完成させるために外に出る。
魔力よ集いて不可視の障壁となれ
与えるもの 奪うもの
全て拒絶せよ
出ようとするもの
入ろうとするもの
全て拒絶せよ
命を奪うものを排除せよ
命を与えるものを迎え入れよ
印を持たぬものを拒絶せよ
不可視の障壁を維持せよ
永遠なる常世よ、我の心を見よ。
鏡たる現世よ、我の心を映せ。
顕現せよ!
マジックウォール!
詠唱が終わりユウロは工房に入る。
「これで誰も出入り出来ないのか?」
半信半疑のガスト。
「すご~い! 見えない壁みたいのがある!」
アネモネがはガンガン叩いて、はしゃいでいる。
「ほんとだ! どういう仕組みなんですかね」
エルディは興味津々で観察している。
「このお守りがあれば出入りはできるけど、やめた方がいいんじゃないかな」
「なんでだ?」
ガストが聞く。
「バカねぇ、護衛の手間が増えるでしょ」
アネモネが呆れて言う。
「ユウロさん、いろいろと魔法のこと教えてもらえませんか? 私、技術ばっかり学んで魔法は全然ダメなんです!」
エルディが懇願する。
「おっと、ユウロ先生の講義は高くつくぜ?」
ガストがニヤリとする。
「そ、そんなぁ……」
エルディが残念がる。
「無料でいいよ。一般的なので良ければ」
ユウロが無表情で答える。
「ユウロ優しい~」
アネモネが言う。
「どうせ暇だし、魔法の振興も魔法使いの仕事のうちだよ」
「ありがとうございます~」
エルディが感動している。
続く
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