【ファンタジー小説】大魔法使いユウロは大魔法しか使えない (16)
「じゃあまず分類から。魔法は初級魔法、中級魔法、高級魔法がある。分類は威力ではなく制御の複雑さによって分けられることが多い。
単に火の玉を出すような魔法は初級魔法。
火の玉を複数出したり、形状を変えたりするのが中級。
高級魔法は、複数の魔法を組み合わせたりするのが多いかな。
火と風で、炎の竜巻を出したり、氷と転移で氷の矢を対象に降らせるとかね」
ユウロが魔法の説明をする。
「あれ、大魔法は?」
アネモネが質問する。
「魔法と言ってるけど、大魔法は魔法と全くの別物なんだ」
「どういうことでしょうか?」
エルディが疑問を口にする。
「魔法は詠唱者の魔力と環境の魔力の両方を消費して発動される。詠唱者の魔力が足りない状態で発動させようとするとどうなる?」
「たしか、昏倒すると聞いたことがあります」
エルディが答える。
「そう。足りない魔力を生命力で補って発動されるので命を削ることになる。しかも、その効率は非常に悪い。結果、無理すると昏倒する。そのため魔法使いは常に残存魔力を気にしている」
「なるほど、勉強になります。大魔法も同じなんですか?」
「大魔法は魔力を消費しない」
ユウロが真顔で答える。
「なんだそりゃ、あの規模で魔力消費なし? そんな滅茶苦茶な!」
ガストが驚愕している。
「よく考えてごらんよ。大魔法が魔力消費するとしたら、普通の魔法の何発分の魔力を消費すると思う?」
「う~ん雨降らしたときだと、100じゃきかない、1000とかそれ以上だよね?」
アネモネが降雨の大魔法を思い出して言う。
「確かに、あれは、人間業じゃないからなぁ」
ガストが言う。
「そんなにすごいんですね。一度見てみたいな~」
エルディが目を輝かして言う。
「実際、通常魔法で大魔法と同じようなことをしたら昏倒じゃ済まないだろうね」
「じゃあ、魔力消費じゃないなら、何なんだ?」
ガストが尋ねる。
「何も消費しない。強いて言うなら集中力かな」
一同の頭に?がついている。
「大魔法を発動するには、詠唱しながら状況を思い浮かべる。
降雨の大魔法なら、空に灰色の重い雲を思い浮かべる。
雲の範囲、高さ、雨粒の大きさ、音、匂い、濡れる木々、雨宿りする動物、揺れる葉っぱ、逃げ惑う小さな虫。
できるだけ詳細に。
新しい世界を創造して、それを現実に召喚して融合させる感じかな」
「うん、さっぱりわからんが、何かすごいということだけはわかった」
ガストは思考を停止した。
「ユウロが魔法を使えないのは、大魔法と何か関係あるの?」
アネモネが質問する。
「危険だから、魔法を出さないように訓練したんだ」
「え、どういうこと?」
アネモネがぽかんとしている。
「寝ていると寝言を言うことがあるだろ? 無意識で詠唱したらどうなると思う?」
「ああ、子供が寝ながら魔法を発動させて家を燃やしかけたって話は、たまに聞くな」
ガストが納得している。
「魔力量は、成長で増えることもあるけど、生まれつき多い場合もあって、僕の魔力量は生まれつき膨大だったみたい」
「おう、それで?」
ガストが条件反射で聞く。
「魔法の威力は消費する魔力量に依存する。仮に通常の100倍のファイアーボールを無意識に発動させたらどうなると思う?」
一同は火の海を想像し戦慄した。
「あまりに危険だから、普段から魔法は使わないように師匠に言われて、無意識でも使わないように訓練したんだ」
「それが理由だったのね、じゃあ、魔法陣ってのはなんなの?」
アネモネが疑問に思う。
続く
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