【ファンタジー小説】大魔法使いユウロは大魔法しか使えない (17)
「魔法陣は模様や文字自体に意味があって、環境の魔力を消費して発動するとされている。僕は大魔法の遅延発動や補助に使っているけど、魔法使いや派閥によって違うのかもね」
「なるほど、勉強になります」
エルディがメモを取る。
「魔法が苦手なら、魔法陣を勉強してみてたらどうかな? 魔力がなくてもある程度の効果はあると思うよ」
「そうですね。うん、魔法陣を勉強してみようかな」
エルディはやる気が出てきた。
「魔法の振興成功じゃん、ユウロ」
アネモネが笑っている。
「明日は精霊人形祭りに行くんだろ?」
ガストが言う。
「はい、精霊人形の品評会に行く予定です」
エルディが答える。
「今日は大暴れして疲れたから、俺はもう休ませてもらうぜ?」
ガストが体を伸ばす。
「私も疲れちゃった。おやすみ~」
アネモネはあくびをしている。
「僕は魔道具の手入れでもしようかな」
「はい。皆さん、おやすみなさい」
それぞれ割り当てられた部屋に入る。
――翌日。
「うん、今日もいい天気」
アネモネは伸びをする。
「おう、みんな、準備はいいか? 品評会に行くぞ」
ルドウィンが皆に確認する。
「はい、行きましょう」
エルディが答える。
――精霊人形品評会会場
街の中心部の広場には品評会の特設会場が用意されていた。
会場には出品される精霊人形がたくさん置かれ、見物客でにぎわっていた。
広場の中心には、街の守護神とされる巨大な像が置かれており、その周りは高い塀で囲われていた。
「わあ、大っきい像ね」
アネモネが驚いている。
「なんなんだ、このでっかいのは?」
ガストが尋ねる。
「この街ができる前からあるらしいぜ。守護神っていわれることもあるが、信じてるやつはいねぇな」
ルドウィンが顎を触りながら言う。
「あれ?扉が開いている?」
エルディが巨大な像を囲う塀の扉が開いていることに気づく。
「あん?本当だ、いつもは閉まっていたような。あっ、そうだ、思い出した」
「師匠、何を思い出したんですか?」
「鍵だよ鍵。ゴブレット商会に盗まれた鍵。うちに伝わる鍵で、なんでも巨像に関係があるとか聞いたことがある」
ルドウィンは鍵について思い出した。
――巨像が細かく振動し、堆積した石がいくつも落ちる。
「な、なんだ?」
会場に集まった人々が慌てている。
巨像の眼が光り、更に大きく振動する。
「ぞ、像が、動いている!」
アネモネが驚いている。
「あの像、精霊人形だったんですか?」
エルディがルドウィンの方を向いて言う。
「知らん。いや、何か聞いたことあるような……気もするな。ひょっとして、あの鍵……」
「そう、この鍵は巨像、いや、精霊巨兵ネルギアスの起動キーだ」
男がルドウィンに話しかける。
「お前は……誰だ?」
ルドウィンは首をひねる。
「ゴブレット商会会長、ゴブレット様だ。幼馴染の顔を忘れるとは。頭を強く殴りすぎたか?」
ゴブレットは鍵を指でクルクル回しながら言う。
続く
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