【恋愛小説】RØM3Ø & JUL13T (14)
乳母とピーターが近づいてくる。
「二人連れだ。至って普通の男と、何の変哲もない女の」
ベンヴォーリオが淡々と言う。
「ピーター!」
「はい!」
「私の扇子を」
ピーターは扇子で乳母の顔を隠す。
「顔より扇子の方が美しいのに。上品だと思っているのかな……」
マキューシオはロミオに舌戦で負けて機嫌が悪かった。
「皆さん、おはようございます」
乳母はベンヴォーリオとマキューシオに挨拶する。
マキューシオの発言は聞こえなかったようだ。
「ご婦人、こんばんは」
「え、こんばんは?」
「ほら、あの日時計が午後を指してるよ」
意味もなく建物を指すマキューシオ。
「はあ?この人、一体何なの?」
意味がわからず混乱する乳母。
「ご婦人、彼は混乱と面白さを勘違いをしている男です。」
ロミオが答える。
「本当に、うまいことを言うわね。勘違い男だって!
……そうそう、ロミオ様はおられますか?若い男性の」
「もちろんいますよ。若いロミオから老いたロミオまで。どちらも私ですが」
「あら、面白い方ね」
「今のが面白い?本当に?」
納得がいかないマキューシオ。
「もし、あなたがロミオ様なら、出直したいものです」
マキューシオをにらむ乳母。
「ロミオ、ご婦人に気に入られたみたいだな。羨ましいのかマキューシオ?」
笑いながら言うベンヴォーリオ。
「僕は、年上は対象外なんだよなぁ」
マキューシオは首を振る。
「場所を変えましょう」
ロミオはマキューシオが、何かする予感がして先手を打った。
「それでは、年上のご婦人、さようなら。ラーラーラー、年をとればそりゃ錆びも出るさ~間接もすり減るさ~」
歌うマキューシオと呆れるベンヴォーリオはその場を後にする。
「はい、ご機嫌よう。……何という無作法な若者でしょう?悪口ばっかり言って。」
「あれは自分のおしゃべりが大好きな男、普通の人が一月かかっても話せないような事を、一分間で話そうとする男です。」
ロミオは呆れながら言う。
「ああ、腹立たしい。 ピーター!ずっと黙っているとは何事ですか。私が言われっぱなしで助けもせず」
「指示があれば、言われっぱなしなんて放っておきませんよ。指示さえあれば、いつでもこの剣を抜きましょう。」
ロミオは余計な争いが始まらないか心配になった。
「本当に、悔しくて、体中が震えるわ。あのろくでなしめ!」
「まぁまぁ、それより私に用があるのでは?」
「ジュリエット様があなた様を探してきなさいとおっしゃって。その前に申し上げたいことがあります。もしも、あなた様が、まだ若いジュリエット様を騙しているのならば、こんなに卑怯で酷いことはありません」
「乳母さん、ジュリエットに確かに伝えてください。あくまでも言っておく……」
「なんて真面目なお方、確かにジュリエット様にお伝えします。どんなに喜ばれることでしょう」
「まだ何も言ってない……」
「あくまでも言っておくとおっしゃった。それで十分伝わる事でしょう」
「……ジュリエットに伝えてください。今日の昼過ぎに、ロレンスさんの庵に来て欲しい、そこで結婚式を挙げようと。これは手間賃として受け取ってください」
ロミオは乳母にコインを渡そうとする。
「いえ、めっそうもない。頂けません。」
「そういうわず、受け取ってください」
「そこまでおっしゃるなら、遠慮なく」
乳母はコインを素早く受け取ると去っていく。
「ああ、ちょって待ってください。後ほど梯子を届けさせます。これでジュリエットとまた会うことができる」
「はい。確かに承りました、あ、もし」
「届けるのは、口の堅いお人ですか?二人きりの祕密は守れても、三人目はそうとは限りませんよ」
「大丈夫です。鋼鉄のように堅いですよ」
「そうそう、お耳に入れておいた方がいい事がありまして。実は、パリス様という立派な方がジュリエット様と結婚したいとおっしゃっておりまして。
ジュリエット様は、あの方に会うくらいならヒキガエルに会った方がいいとおっしゃって。私がパリス様は美しい方ですよと言っても聞く耳をもたないのです。」
ロミオは黙って聞いていた。
「それでは、失礼します。……ピーター!」
「はい!」
「急いで帰りますよ!」
乳母とピーターは去っていく。
続く
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