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【恋愛小説】RØM3Ø & JUL13T (2)

モンタギュー夫婦とベンヴォーリオだけが残り、他は去った。

「この争いは一体誰が起こしたんだ? ベンヴォーリオよ、お前は最初からそこにいたのか?」

「いえ、私が到着した時には、すでに喧嘩になっていました。
それを止めようようとした途端、ティボルトが現れ、剣を抜きました。
私はティボルトにも止めるように言ったのです。
しかし、奴は制止を無視したので、私も剣を抜かざるを得なかったのです。
そうしている間に、あちらこちらからたくさんの人が駆けつけ、戦っているところに、領主が現れたのです。」

「そういえば、ロミオはどこに? 今日会いましたか? この騒動に関係してないならいいのだけど。」

モンタギュー夫人が心配そうにベンヴォーリオに問いかけた。

「早朝、東の金の窓から人工太陽がまだ覗かない頃に、感情ストレスレベルを下げるために郊外に出かけたところ、西にある楓の森でロミオを見かけました。人目を避けるためか、森の奥へ消え、自分も追わずにその場を離れました。」

「何日も、悲しみのせいで眼の洗浄液は乾かず、苦しみの雲が感情回路を覆いつくす。憂鬱に沈み込み、人工太陽の光を避け、影を求める。その状態が長く続けば重大な損傷を負いかねない。」

モンタギューは空を仰ぎながら静かに語った。

「叔父上は、その理由をご存知ですか?」

「いや、知らないし、知らされてもいない。」

「誰か知ってそうな人はいませんか?」

「私はもちろん、親しいものに探らせたが、息子は、ただその電子イメージをオフラインにして、一切他人には知らせないためハンドシェイクすらできない有様だ。

それが自分のためにならないのはわかっているはずだが……。

美しい基本設計のみで、まともな詳細設計も与えられず、とりあえず中身を埋めて、コードレビューもせずに、バグに醜く食われたまま実装されるように。憂鬱の理由が分かれば、すぐにでも治療したいと思うのだが。」

その時ロミオが物思い顔で現れた。

「あれ、ロミオじゃないか。お二人とも隠れてください。私が聞いてみましょう。どうしても拒否するかもしれませんけど。」

「うまく聞き出せればいいのだが……。」

モンタギュー夫妻が隠れると、とぼとぼとロミオが近づいてくる。

「やあ、おはよう。」

ベンヴォーリオは、いつも通りになるよう心がけて話しかけた。

「ベンヴォーリオか、今何時ぐらいかな?」

「今、九時になったところだ。」

体内時計でわかるだろうと、思ったが一応、答えた。

「ああ、面白くない時間は長い。……今、父上がいたような?」

「ああ、そうだな。で、時間が長いって何の話だ?」

「手の届かないものがあってね。そのことを考えると時間が長く感じるんだ。」

「手の届かないもの……?」

「思いだ……。」

「思いとは?」

「この思いが全く届かないんだ。ガス冷却のように冷たくあしらわれてしまった。」

「やれやれ、これはかなり重症だな。」

ベンヴォーリオは両手を広げて首を傾げた。

「ああ! 恋は、まるで閲覧不可のファイルのようだ。
ファイル名だけでは、どうにも気になってしょうがない!
どこかで朝飯でも食べて、気を紛らわすか。
……うわ、なんだこの街の有様は?」

目につく物は全て壊れ、辺りは白い模様で覆われていた。

「ああ、うん、なるほど。愛と憎しみはどちらも一筋縄ではいかないということだな。」

「要求仕様にないのに実装された謎機能、
削除された重要ファイル、消せない要らないファイル、社外秘と書かれたパスワードなしオンラインフォルダ、誰も連絡してこないメールアドレス。
そんなものに何の意味があるというんだ!……笑えるな。」

「なんだ、眼から洗浄液が出ているぞ?」

「本当だ、眼から洗浄液が。」

ロミオは、言われて初めて頬を伝う液体に気づいた。

「なんだか、俺も悲しくなってきたよ」

「私のために悲しんでくれるのか、それを考えたら余計に悲しくて感情回路が耐えられそうにないよ。」

ロミオはため息をつきながら続けた。

「恋ってやつは、排熱ファンから立ち上る濃い煙みたいで、激しく燃え上がれば熱いのに、報われないと、結露して、大海の水さえも満たすほど悲しいんだ。

さて、それ以外には何だろう?基本OSが正常なままの理性回路の故障。
電源が落ちるほどの重い処理。

膨大な量のデータ処理の最適化に成功した時の喜びでもある。
……はぁ、もう行くよ」

ベンヴォーリオを置いて去ろうとするロミオ。

「ちょっと待てって! 俺を置いていくなよ。」

「とっくに置いて行ってしまったよ。ここにいるロミオはホログラムみたいなものさ。本物はどこか別の場所にいるんじゃないかな」

「いい加減、白状しろ。相手は誰なんだ?名前は?」

「白状しろって? 私の痛覚センサーをえぐろうとしているのか?」

「痛覚センサーの話はしていない、ただ正直に自白しろと言っているだけだ。」

「いや、それは駆除不能なウィルスに侵されたアンドロイドの遺言を白状と呼ぶようなものだ。しかし、白状しよう。俺には恋しい人がいる。」

「うん、それぐらいは分かるのだが。」

「君は、するどい男だな、優れた射手のようだ。そして、その女性は、誰が見ても美しい外形をしている。」

「そんなに目立つ的なら、射落とすのも簡単だろう」

「いや、その見方は的外れだ。弱い機械弓では決して射落とせない女性だ。
鉄壁のセキュリティ、何重にもめぐらせたファイアウォール。幼く貧弱な矢では傷一つ付かない。

皆が多数のメッセージを送っても、既読にすらならない。
どんな素晴らしい贈り物にも見向きもしない。

特注のワンオフで次世代モデルも作らないという。その美しさは彼女だけのもの。データロストでもしたら……。」

「ではその女性は嫁入りはしないと誓ったのか?」

「そうだ。その誓いは大きな損失だ。せっかくの美しさも、頑なな態度のせいで後継モデルはない。

美しく、賢く、私の思考を永久ループさせるほどに賢すぎた美人ゆえ、良い乱数が枯渇してしまい、悪い乱数を引いてデータロストしてしまわないだろうか。

彼女が恋はしないと誓ったせいで、私の運動機能は正常だが、どこか重要な機能が故障してしまったようだ。」

「まあ、忘れるしかないんじゃないか?」

「是非教えてくれ。どうすれば忘れられるのかを」

「もっと視覚センサーを使って、他の美人を見たらいい。」

「他と比べたら、ますます彼女の美しさが際立つだけだ。
彼女の画像を他の人で上書きしても、電子イメージがいつの間にか彼女のデータに修復してしまう。

事故でロストしたデータでも、インデックスという痕跡は残るものだ。
どんなに優れた美人を見せても、それはただ、その優れた美をも凌駕する優
れた美人を思い出させるトリガーに過ぎないだろう。

忘れることは、私にはできそうもない。」

「わかったわかった。忘れるっていうのは無理そうだな、違う方法を考えよう。」

理由を聞くだけだと思っていたが、事態はより深刻であったとベンヴォーリオは悩むのだった。





#恋愛小説
#SF
#ロミオとジュリエット

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