【恋愛小説】RØM3Ø & JUL13T (13)
ベンヴォーリオとマーキューシオが話をしている。
「結局、昨日、ロミオは家に帰ったのかな?」
「ロミオの家に行って家の人に聞いてみたんだが、帰ってないらしいんだ」
「なんだって? ロミオ、ついに壊れちゃったのかな……」
「……キャピュレット家のティボルトが、ロミオの父宛てに手紙を送ったらしいんだ」
「まさか、決闘の申し込みとか?」
「あいつは返事を書くはずだ」
「ロミオが決闘なんてするかな?」
「いや、挑まれたからには、ヤケになって受けるかもな」
「あの状態のロミオなら相手が誰でも勝てるとは思えないよ。既に別の何かの矢に、感情回路が打ちぬかれてるだろう。
あのティボルトと決闘か……大丈夫かな?」
「ティボルトのこと、何か知っているのか?」
「剣のお作法の達人だよ。譜面の音楽を奏でるように、正確に剣の型通りに動いて、時間も距離もバランスも教書通り。いち、にの、さんと言った途端に相手の胸元に剣を突き刺す。ボタンを正確に縫いつけるようにね。決闘のお約束を細かく守る融通の利かないやつさ」
「強いのか?剣を交えたが、俺は争いを止めるのに忙しくて、よくわからなかった。あ、ロミオだ」
ベンヴォーリオがロミオに気が付く。
「干した魚みたいな顔して、しょぼくれちゃって可哀そうに……。恋の詩が得意なロミオはどこに行ってしまったのか。元気出しなよ。
あと勝手にどこか行くのはどうかと思うよ」
マキューシオがロミオに詰め寄る。
「本当に申し訳ない。でも、そんなに怒らなくてもいいじゃないか……。仕方なかったんだ」
「ふん、あの後、かな~り待ってたんだよ。本当に謝る気があるのかな」
「謝ったじゃないか。君は疑い深いな」
「そういうとこだよ。ロミオは態度を少し改めた方がいいと思うよ」
「丁寧な忠告痛み入る」
「僕は、丁寧さにかけてはヴェローナで一番と言われているからね」
「それは名誉なことで」
「そうさ」
「名誉と言えば、私はこの舞踏靴を名誉に思っているんだ。ボロボロで、そろそろ買い換えようかと思ってるけど」
「へ~。僕に、舌戦を挑むんだね。受けようじゃないか。
早くその名誉の靴を買い換えないと、すり減って、隠している見苦しい足が露出しちゃうよ」
「そういう君の靴は、すり減って既に足が少し露出してるじゃないか。浅はかだな」
ロミオはマキューシオの靴を指さす。
「ベンヴォーリオ、ちょっとは助けてよ」
マキューシオは眼に洗浄液を貯めてベンヴォーリオに助けを求める。
「続きがないなら、舌戦は私の勝ちということでいいかな?」
「ベンヴォーリオ~」
ベンヴォーリオを見るマキューシオ。
「ロミオ、もうやめてやれ。マキューシオ、お前もだ」
「え~、でもさ~」
「俺が黙ってたら、退屈な舌戦を、また始めるだろう?」
「……わかったよ、舌戦は、また今度にしよう」
マキューシオは、まだ懲りていないようだ。
「やれやれ、やっと終わりか」
マキューシオとのやり取りに、うんざりしているロミオ。
そこに、ジュリエットの乳母と、使用人ピーターが現れる。
続く
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