【恋愛小説】RØM3Ø & JUL13T (24)
――キャピュレット家の一室
キャピュレット卿、キャピュレット夫人、パリスが話している。
「予想もできないことが立て続けに起きたので、娘も混乱しているようです。娘も私たちと同様にティボルトを大切に思っていました。アンドロイドは大破しても復旧できるはずなのに、まさかロストしてしまうとは。もう今夜は遅いので、娘は降りてこないでしょう」
キャピュレット卿が力なく語る。
「このような悲しみの中では結婚の話もできないでしょう。奥様、失礼します。ジュリエットによろしく伝えてください」
「承知いたしました。娘がどう思っているのかは、明日早く確かめようと思います。今夜は悲嘆に囚われて、閉じこもってばかりおります」
キャピュレット夫人は申し訳なさそうにパリスに言う。
パリスが立ち去ろうとする。
「お待ちください、パリス殿。娘はあなたと結婚させましょう。こんな時だからこそ、皆で協力して明るい話題を作らねばならないのです。次の水曜までには結果を……今日は何曜日だったかな」
「月曜日です」
パリスが即答する。
「月曜、となると少し急すぎですな、木曜日までに結果を出すこととしましょう。その後に、ティボルトの件から間もないので、少人数で宴を催しましょう。パリス殿、いかがでしょうか?」
「私は、その木曜日が明日であって欲しいと願っています」
「それでは、お気をつけてお帰りください」
パリスは、うなずくと去って行った。
――キャピュレット家庭園。
ロミオとジュリエットがバルコニーに出る。
「もう行くの? 夜はまだ明けきらないのに。あの声は雲雀じゃなくて、きっとナイチンゲール。毎晩、石榴の枝にとまって歌うの」
「あれは朝を告げる雲雀だよ。ジュリエット、みてごらん。夜明けが霧を纏った山の向こうで、人工太陽が出られることを嬉しそうに待っているよ。
私は、留まれば灯火と共に消え、行けば夜と共に生き延びる」
「あの光は朝日ではないわ。きっと人工太陽が迷子になっているのよ。そのうち、あるべき場所を思い出すわ。だから、大丈夫、まだ行く必要はない」
「君が朝日じゃないと言うなら、きっとそうなのだろう。もし違っていて死罪となっても、私は誰も恨まない。君と遠く離れて生きるよりも、少しでも近くで死んだ方が幸せかもしれない。さあ、もっと話そう、夜が明けるまで」
「……いいえ、もう朝よ。早く行って。離れてでも生きるの。生きていれば、きっと、いつか……」
「明るくなるほど、暗くなる二人……か」
「ジュリエット様!」
乳母が慌てて声をかける。
「ばあや、どうしたの?」
「奥様がお部屋に来られるそうです。夜が明けます、気を付けてください」
「さあ、行って、さようなら、ロミオ」
「さようなら、ジュリエット」
薄明の中、キスをする二人。
ロミオは梯子を降りる。
「連絡して。毎日」
「必ず連絡するよ、毎日、ふっ、できるだけするよ」
「必ず、必ずよ? また逢えるよね?」
「必ず。この苦労を、いつか笑いながら話そう!」
「涙のせいかな……ロミオの顔が青白く見える……」
「涙が乾くころに、また逢えるさ」
ロミオは去っていく。
「死の神よ、どうしても命が欲しいのなら、私の命を半分持って行きなさい! それでも足りないと言うなら全部持って行って。ロミオの命を奪わないで!」
「ジュリエット、起きていますか?」
キャピュレット夫人が呼びかける。
「母上、何かご用ですか?」
「まあ、そんなに目から洗浄液を出して」
「どうしても気持ちが落ち着かなくて……」
「ティボルトのことは私もとても残念に思います。ですが、キャピュレット家のものがいつまでも、ふさぎ込んでいるわけにはいきませんよ。ティボルトがここにいたら、きっとそう言うでしょう」
キャピュレット夫人の声は少し震えていた。
「涙と一緒に不幸も流れて行けばいいのに」
ジュリエットの目から涙が溢れる。
「いくらでも流しましょう、それでティボルトが帰ってくるなら」
キャピュレット夫人は目を閉じながら言う。
「どうしても、勝手に流れるのです」
「では、あなたは、破壊した当の悪党がまだ動いているのをどう思っているのですか?」
続く
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