【恋愛小説】RØM3Ø & JUL13T (17)
ヴェローナの街角。マキューシオ、ベンヴォーリオ、従者が立ち話をしている。
「お前、よくあんな変なオイル飲む気がするな?」
ベンヴォーリオがマキューシオを心配している。
「ん? 結構いけたよ、あのオイル」
意に介さないマキューシオ。
「マキューシオ、暑いし、もう帰ろうぜ。キャピュレット家の連中も出歩いているようだ。もし出会ったら、喧嘩になるかもしれない。こんな暑い日には、特に気が立って血が騒ぐものだ」
「おやおや、酒場に入った途端、剣をテーブルの下にしまって、どうかこの剣が必要になりませんように、などと言っておきながら、酒が進むと必要もないのに給仕に喧嘩を売るような連中のことかな?
おっと、君もその仲間だったかな?」
「俺も、あいつらと同じようなものだと?」
ベンヴォーリオがにらむ。
「君はここいらで一番の癇癪持ちじゃなかったっけ? すぐに怒らせることができるし、一回怒らせれば、際限なく怒り続ける」
「それは、俺のことを言っているのか? おかしいな、そんなヤツが俺の目の前にもいるのだが」
「いや、君のようなアンドロイドが二人もいたら、すぐに壊し合いになって、二人ともいなくなってしまうだろ?
君は、すれ違った風で髪型が乱れたという理由で喧嘩を始めたり、相手と目が合った直後に相手が笑っただけで、馬鹿にしやがってと喧嘩を売るかもしれない。そんな喧嘩を売るような目つきをしているのは、君以外に誰がいるって言うの?
君の頭の中は、卵に黄身が詰まっているように喧嘩でいっぱいだ。しかも、何度も殴られているから、少し痛んできているんじゃないかな。
そんな君が、僕に喧嘩をするなと言うの?」
「よくもまぁ、そんな作り話ばかり思いつくものだ。あ、もしかして、お前の体験談か?」
呆れ気味のベンヴォーリオが、呆れ果てた。
「ハハハ! そんな昔のこと覚えてないよ」
マキューシオが笑う。
ティボルトを先頭に、キャピュレット家の者たちが現れる。
「おい、キャピュレットの連中だ」
ベンヴォーリオが警戒する。
「ふん、構うものか」
マキューシオは無視を決め込む。
「みんな、ついてこい。彼らと楽しいおしゃべりをしようじゃないか」
ティボルトが近づく。
「ご機嫌よう」
ティボルトがベンヴォーリオとマキューシオに話しかけた。
「挨拶だけかい? 残念、拳が炎をあげて飛んでくるかと思ったのに」
マキューシオは目を合わさずに言う。
「そちらから、というなら、いつでも相手になってやろう。
マキューシオ、お前は、いつもあのろくでなしのロミオとつるんで……」
「何だって? 今、なんて言った? ロミオがろくでなしだって? はぁ……。僕たちを楽隊みたいに、音をだすだけの無害な連中だと思っているのかな? いいだろう、楽隊になって、けたたましい音楽で
君の聴覚センサーを使い物にならなくしてやろうじゃないか」
マキューシオが剣に手をかける。
「やめろマキューシオ。お前も挑発するなティボルト。こんな人目の多いところで喧嘩を始める気か?」
「見たい人は見ればいいさ。僕の剣さばきをタダで見られるんだから」
マキューシオが更に挑発する。
そこにロミオが姿を見せる。
「残念だが、先約があるので失礼」
ティボルトがロミオの方を見る。
「ロミオ、お前に対する俺の気持ちは、これ以上の言葉は出てこない……。お前はキャピュレットの敵だ!」
「ティボルト、なぜ、いつもそんなに怒っているんだ? 私達はお互いのことをよく知らないのに、なぜ敵だと決めつける?」
ロミオはティボルトを落ち着かせようとする。
「問答無用。剣を抜け」
「私は今、キャピュレットという名前を、自分の名前と同じくらい大切に思っている。私たちが戦う理由なんてないと思わないか?」
「ロミオ、 無防備なまま近づいちゃだめだ! 今、剣を抜かれたらタダじゃすまない! ……こうなったら僕がやるしかない。ティボルト、いや、ネズミ捕り、僕がお相手しよう!」
剣を抜くマキューシオ。
「お前に俺の相手が務まると思うのか?」
「まるで機械猫の王様だな。おもしろいじゃないか。九つある君の命のうち、一つを頂こう。もちろん後で残り八つも頂くけどね。どうせ、バックアップで復元するんだし構わないだろ?
さあ、剣を抜きなよ。
君が抜かなくてもこっちは行くよ」
「いいだろう……」
ティボルトが剣を抜く。
続く
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