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【恋愛小説】RØM3Ø & JUL13T (26)


――ロレンス修道士の庵。

ロレンスとパリスが話している。

「結婚式は木曜日にする? それはまた急な話ですな?」

「キャピュレット卿が決定されたことです。私も遅らせたくはありません」

「ジュリエットの気持ちを聞いていないのでしょう? 一度聞いてみてはいかがか?」

「ティボルトのロストを深く悲しんでいたので、涙に暮れる時間も必要だろうと縁談を控えていたのです。

しかし、あまりに悲しむのでジュリエットが心配になり、一人でいると涙が洪水のように溢れるのを、何とかとめられないものかとキャピュレット卿が機転を利かせ、急遽結婚式を決めたのです。

本当に娘思いの素晴らしいお方です」

パリスは感動してうっすら洗浄液がにじんでいる。

「既に結婚しているのに無茶を言う……」

「何か、おっしゃいましたか?」

「いや、別に。おお、ちょうどよい所に来た」

ジュリエットが現れる。

「お会いできて嬉しいです、私の妻となるべき方」

「まあ、気の早いお方。結婚式は遠く空の彼方だというのに」

「そうですね、木曜日が永遠に来ないくらいに待ち遠しく感じます。その気持ちは私も同じです」

ジュリエットは悪寒を感じた。

「私は祈るだけです。その日が永遠に来ないことを」

「えっと、それで?」

パリスに聞こえないようにロレンスが遮った。

「今日は修道士様に懺悔をしに来られたのですか?」

「はい」

「私のことを思っていると、修道士様に打ち明けてくださるのですね」

「はい?」

「そうでしょうとも、わかります。直接、愛を告白するのは勇気がいるものです」

「はあ?」

「おや、洗浄液の跡がお顔に残っています」

「元々、見栄えのしない顔ですから、構いません」

「結婚式が嬉しすぎて洗浄液がとまらなかったのですね。なんと可愛らしい」

「……修道士様、相談したいことがあるのですが、お時間よろしいでしょうか?」

これだけ話が噛み合わない人は見たことがない、とジュリエットは思った。

「ああ、構わんよ。パリス殿、そういうわけなので失礼します」

「未来の妻よ! 木曜日の朝早くお迎えに参ります。それまで、お別れです。寂しいでしょうから、この口づけを大切に持っていてください」

ジュリエットに投げキッスをするパリス。

しかし、ジュリエットは素早くロレンスの背後に隠れる。

パリスは全く気にせずに笑顔で立ち去る。

慌てて扉を閉めるジュリエット。

「絶対に、ヤダーッ!」

「ああ、あれと結婚させられるとは、同情を禁じ得ない」

「私と一緒に泣いてください。もう絶望です! 絶望です、絶望です!」

「まあ、諦めないで考えようではないか。造物主は決して我々をお見捨てにはならない」

「あれの存在が許されているのにですか? 誰も救いをもたらさないなら、いっそこの短剣で……」

短剣を取り出すジュリエット。

「まあ、待ちなさい。助かる方法はある。必死の厄災を脱するためには必死の行動をしなければならない。

あれと結婚するくらいなら死を選ぶというほどの強い意志があるのなら、いや、恥辱を免れるために覚悟しているのなら、救われる方法を授けよう」

ロレンスは目を細めて言う。

「ああ、あれと結婚するくらいなら、あの塔から飛び降ります。魑魅魍魎が跋扈する夜道を一人で歩いて、蛇の棲む茂みでも墓にでも隠れます。

あれとダンスするくらいなら、からからと鳴る骸骨とダンスします。それが回避される可能性があるなら躊躇なく命を懸けます!」

ジュリエットは涙を浮かべて訴える。

「こうなったら街を出るしかないが、そなたが生きて街を出たら、すぐに捜索されて連れ戻されるだろう」

「そんな、死ねとおっしゃるのですか?」

「まあ、最後まで聞きなさい。
まず家に帰って、嬉しそうに振る舞い、パリス殿と結婚を承諾するのだ。
水曜日に一人で寝て、誰も近づかせないようにしなさい。

ベッドに入ったらこの瓶に入った薬を飲むのだ。
この薬には、あらゆる反応を麻痺させる成分が入っている。
飲むと、すぐに麻痺して、まるで死んだように見える。

頬、唇の薔薇色も褪せて、蒼白い灰色に変わる。まぶたもぱたりと閉じる。どこもかしこも冷たくなって、あらゆる刺激に無反応になり、誰が見ても死んでしまったように見えるはずだ。

しかし飲んでから四十二時間経つと効果がなくなり目を覚ますだろう。
木曜日にパリス殿が迎えに来る頃には、そなたは死んだ状態となっていてキャピュレット家代々の墓に送られるだろう。

あらかじめ私はロミオに計画を記した手紙を送る。ロミオは、そなたが目を覚ます前にこちらに到着することになるだろう。夜のうちにロミオがそなたをマンチュアへ連れていく。上手くいけば、誰も死ぬこともなく、そなたがあれと結婚することもないだろう」

「その薬をください。躊躇いなどありません!」

「持っていくがよい。私は、ある修道士にロミオへの手紙を持たせ、急いでマンチュアまで送ろう」

「感謝します、修道士様」

ジュリエットは庵を後にする。


続く





#恋愛小説
#SF
#ロミオとジュリエット

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