Photo by
forgiveness1
【恋愛小説】RØM3Ø & JUL13T (16)
ロレンス修道士の庵の前。
「造物主よ、どうか聖なる結婚の儀式に祝福をもたらしたまえ。悲しみを遠ざけたまえ」
ロレンスが厳かに祈願する。
「この心臓が動く限り、例え、どんな悲しみに見舞われようとも、ジュリエットを笑顔にしてみせよう。
もし祝福を授かるならば、どんな試練にも打ち勝ってみせよう。彼女を妻と呼ぶことができるなら一切の心残りはない」
空を仰ぎ誓願するロミオ。
「聖なる儀式の前に、そのように激しいことを言うものではない。火と火薬が出会えば爆発するように、これ以上ない幸福も、少し気を抜いただけで塵と化す場合もある。
甘いものも過ぎれば食べる気が失せる。何事もバランスが大事で、速すぎるのは遅すぎるのと同じだ。
結婚したら幸福に違いないから何も考えないで、すぐに結婚する。そのような軽い足取りでは、石畳がすり減ることもない。
軽すぎて、空を泳ぐ蜘蛛の糸にも乗ることができるだろう。そのようなものは空虚な喜びというものだ」
ロレンスが諭す。
「修道士様、ご機嫌いかがですか?」
ジュリエットがロレンスに挨拶する。
「よくもあり、同じぐらい悪くもある。そなた達次第というわけだ」
ジュリエットとロミオを交互に見るロレンス。
「修道士様のご期待に応えなくては。ね、ロミオ?」
「ジュリエット、今日という日を喜ぶ心が私と同じなら、いかなる楽器よりも優れた女神の声をもって、空間が溶け出すような演奏をしてくれないか」
「……まごころが十分に満たされている空間を溶かしては、まごころが出て行ってしまう。私はこのままでいたい」
「式を挙げに来たのではないのかね? さあ、一緒に来なさい。邪魔が入るとも限らない」
ロレンスに従い、庵に入る二人。
続く
いいなと思ったら応援しよう!
おやつくださいにゃ。