“ちゃんと支援したい”のに苦しくなる―― 責任感という名の罠
上手く行かない理由
(CW)最近支援が上手く行かないんです。
(先輩)よく頑張ってるけどな。
(CW )はい、でもこれ以上どう頑張れば…。
(先輩)一回、何もしないでみようか。
(CW)…えっ!?──
私自身、一生懸命やっているのに上手くいかないことが何度もありました。
周りから、"責任感があるんだね"と励まされながら、そんな自分のやり方に疑問を感じていました。
"責任感だけでは、良いケースワークはできない"
そんな思いを抱えながら、それでもそのやり方を変えられずに自問自答したものです。
真面目なケースワーカーほど、この思いに共感していただけるのではないでしょうか。
責任感は"悪"なのか
例えば、これらの支援の多くは、
"責任感が強すぎた結果"として捉えられます。
・毎回一人で訪問してしまう
・他職種に頼るのが遅い
・“今動かなきゃ”で焦る
・待つ支援ができない
責任感ある人の支援が停滞すると、なぜかその原因が"責任感の強さ"にフォーカスされるもの。
でも本当に
責任感こそが、支援停滞の理由
なんでしょうか。
本来、責任感や使命感があることは、褒められたり、尊敬されることのはずですよね。
"責任感の強さ"を支援停滞の理由にしていることは、そもそも問題の本質に気づけていないということ。もしかしたら、"責任感"という言葉を使って、問題の本質の言語化を避けているだけなのかもしれません。
問題の本質
問題の本質は、そもそもケースワークへの誤解があること。そして、責任感の強さがさらにその誤解を補強してしまっているのです。
(1)"正解"を押し付けてしまう
「クライエントの生活を改善したい」
この思いが、結果としてケースワーカーとしての"正解"を押し付けることに繋がります。
例えばですが、障害者手帳の取得が明らかに必要なクライエントが、障害受容できていなかったら…。いくら手帳取得を進めても上手く行かないですよね。
(2)抱え込んでしまう
"自分がなんとかしないと"
という思い込みが、抱え込みに繋がります。
周りにはたくさんの"プロ"がいます。ケースワーカーの責務は、クライエントを支援の輪に入れることなんです。
(3)焦りを生んでしまう
動きがないクライエントに対しては、焦りを感じてしまうもの。そんなときほど、前に進めるだけのケースワークを展開してしまうんです。
例えば、独居高齢者が施設入所するための支援をする際、「もう少し、家にいたいんだ…。」こんな気持ちを聞いたら、どうしますか?
責任感の呪縛からの解放
支援が停滞する理由を"責任感"と考えているのは、周りだけでなく、ケースワーカー自身も同じなのかもしれません。
自分自身のケースワーク能力を棚に上げて、責任感という都合の良い言葉でお茶を濁している、と捉えることもできます。
これではいつまでたっても、"責任感の呪縛"からは解放されません。
まずは自分の能力を素直に認め、周りに曝けだすこと。
気づきなくして成長なし、です。
そして、ケースワーカーとして必要なのは、 “全部自分で抱える力”ではありません。
・「命に関わるシグナルがない限り、1ヶ月は待つと決める」といった、待ちの支援ができること。
・他職種を巻き込み、クライエントをその輪に入れること。
・クライエントの拒否的態度をリフレーミングし、新たな視点で支援ができること。
・クライエントのニーズに寄り添いつつ、最悪の事態を避けることで、"守りの支援"ができること。
こういった技術を身につけることが、 結果としてクライエントを守る力になっていくんです。
そして、これらを身につけるために必要なのは、元々持ち合わせている「責任感」なのかもしれません。
関連記事
#ケースワーカー
#相談支援
#福祉
#ソーシャルワーク
#支援者支援
#ケースワーク
#対人援助職
#福祉の仕事
#支援の悩み
#支援者の葛藤
