「ただ話を聞くだけ」── 何もしていないように見えるケースワーカーが、現場に “不可欠” な理由
とある日のケースカンファレンス。
出席した支援者の1人がつぶやいた。
「いいわよね、話してるだけなんだから」
カチンときたところもあったが、
この言葉に言い返せなかった。
いつも最前線でクライエントの日常と向き合う支援者と、月に数回面接をするだけの自分。
あまりに重い一言だったのだ。
また違う場面。
支援者にクライエントのことを
電話で聞いてみると、
「直接聞きに行けばいいじゃない」
この言葉にも、返す言葉がなかった──。
定期面接の意味
「なんで言い返さないんだ?」
後になって先輩に質問された。
答えられず黙っていると、
こう声をかけてくれた。
「意味のない面接はないよ。」
優しい声掛けなのだろうが、
この言葉に対しても、疑心暗鬼になっていた──。
ケースワーカーは、担当しているクライエントと定期的に面接をしています。例え、動きがないとしても。
そのため、毎回大切な面接をしているわけではなく、時には冗談を言い合ったり、とても短い時間で終わることもあります。
意味のない面接?
ケースワーカーとしての面接がふと、
"意味のないもの"
に感じることがあります。
なぜか──
ケースワーカーが面接をしたことで
目に見えて変わるものがないからです。
そして、もっと身近に支援している方々の方が、
クライエントの今の状況をずっと知っているからです。
本当の価値
では、本当にケースワーカーの面接は
"意味がない"のでしょうか。
まず、思い出してください。
ケースワーカーの役割は、
クライエントのニーズを整理したり、必要な支援について関係者とクライエントの橋渡しをすることですよね。
最前線で戦う支援者に比べれば、
確かに地味な作業かもしれません。
しかし、クライエントの緊急対応で調整をするのは誰でしょうか。新たなニーズが見つかった時、支援者とクライエントの間で調整する役割は誰でしょうか。
いずれも、ケースワーカーの役割ですよね。
ケースワーカーは、「その時」が来るまでの間、情報を集めたり、クライエントや支援者との関係を深めていくことを行っているのです。
面接や訪問を通して──。
また、支援者にクライエントの情報を聞くのは、決して楽をするとか、情報を盗もうとしているわけではありません。
クライエントに対する第三者的な視点、支援者自身の困り感など、支援者からでしか聞けない多角的な話を聞こうとしているのです。
これらのことに対して
「いいわよね、話してるだけなんだから」
そう言われて言い返せなくても、
自分を責める必要は1ミリもありません。
最前線で汗を流す支援者の方々へのリスペクトがあるからこそ、言い返すことができない。それは、誠実なケースワーカーである証拠です。
目に見える成果はすぐには出ないかもしれない。
でも、定期的に足を運び、顔を合わせ、「変わりはないですか?」と確認する時間こそ、クライエントを、そしてチーム全体を支える土台なんです。
福祉の仕事は、様々なプロフェッショナルが力を合わせて行うもの。
誰かが誰かの役割をリスペクトできていなければ、チームとしてうまく機能しません。
当然、ケースワーカーとしての
自分の仕事に対するリスペクトも。
お互いがお互いをリスペクトできるよう、
相互に関係をつくっていく。
それこそが、クライエントに対する
支援の充実に繋がっていくのです。
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