リッチメニューを数字で改善する。分析APIの使い方
リッチメニューは作って終わりになりがちな機能だった。2026年に表示・クリック統計を取れる分析エンドポイントが追加され、数字で改善を回せるようになった。活用の型を整理する。
リッチメニューが「感覚で作るもの」だった問題
リッチメニューはトーク画面下部の固定メニューで、友だちが公式アカウントに触れる最大の接点。それなのに、どのボタンが押されているかを知る手段が乏しく、デザインは感覚で決まっていた。
2026年7月、リッチメニューの表示回数・クリック統計を取得できる分析エンドポイントがMessaging APIに追加された(LINE Developers News)。「一番良い場所に、押されないボタンを置いていた」が数字で見えるようになった。
取れる数字と読み方
分析エンドポイントで取れるのは、表示回数とクリックの統計。ここから出せる実務の指標は2つ。
クリック率(クリック÷表示): メニュー全体がどれだけ機能しているか
ボタン別の構成比: どの領域が押されていて、どこが死んでいるか
読み方の定石。
一等地(親指が届く下段・面積の大きい領域)に、クリックの少ないボタンがある → 配置の入れ替え候補
クリック率自体が低い → メニューのラベルが「会社が言いたいこと」になっていて「ユーザーがしたいこと」になっていない疑い
特定ボタンにクリックが集中 → その機能をさらに手前に(メニューを開かず届く導線に)出す価値がある
改善サイクルの回し方
現状のメニューで2〜4週間の数字を取る(ベースライン)
仮説を1つに絞って変更する(配置・ラベル・分割数のどれか1つ)
同じ期間の数字を取り、ベースラインと比較する
一度に複数を変えると、何が効いたか分からなくなる。月1回・1変更のペースでも、半年で6回の実験になり、感覚運用とは別物の精度になる。
数字を活かす発展形
タブ・出し分けとの組み合わせ: リッチメニューはユーザーごとに出し分けできる。会員/非会員、店舗タグ別に違うメニューを出し、それぞれの数字を比較する(『LINE公式アカウント、全社1つか店舗別か』の店舗タグ運用と接続)
replyへの誘導の効果測定: 配信コスト削減のためにpush配信をリッチメニュー起点のreply設計へ寄せる場合(『LINE配信コストの下げ方。セグメント配信の実務』)、その設計が機能しているかはリッチメニューの数字が証拠になる
ダッシュボード化: エンドポイントから定期取得してスプレッドシートに蓄積すれば、月次の定点観測が自動化できる。小規模開発の範囲
実装・運用の注意
統計APIの利用にはMessaging APIの開発環境が前提。管理画面だけの運用からは一歩踏み込む必要がある
新しいエンドポイントのため、取得できる期間・粒度などの仕様は公式ドキュメントで確認してから設計する
デザイン変更の運用(誰が画像を作り、いつ切り替えるか)もセットで決める。数字が見えても変更が回らなければ意味がない
まとめ
リッチメニューの表示・クリック統計が2026年からAPIで取れるようになり、感覚運用から数字運用に変えられる
見るのはクリック率とボタン別構成比。一等地の死にボタンとラベルの言葉選びが定番の改善どころ
月1回・1変更の実験サイクルで十分。複数同時に変えない
定期取得のダッシュボード化まですると、定点観測が自動で回る
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