#夏の1コマ『みずのみば』
フォトコン「#夏の1コマ」に参加します。

みずのみば
あの日も、夏だった。
とにかく暑くて、喉が渇いて、公園の水飲み場までたどり着いたのであった。
普通の人間は、ここで蛇口をひねり、腰をかがめ、ちゅうと水を飲む。それが水飲み場というものの正しい使い方である。
しかし、カメラと三脚を持っていた、オレは思ったのだ。
かがむのが、めんどくさい。
ならばいっそ、飛べばいいのではないか。
三脚を立てる。セルフタイマーをセットする。ピピピと鳴る10秒のあいだに全力で走り、水飲み場のふちに両手をつき、よいしょと全身を宙に持ち上げる。体操選手のいうプランシェというやつである。柔道と空手で鍛えた68歳の身体が、真夏の空中でぷかりと水平になるのであった。
もちろん、一発では決まらない。
走る。飛ぶ。落ちる。また三脚に戻る。走る。飛ぶ。落ちる。
炎天下でこれを延々と繰り返す男を、木陰のベンチから誰かが見ていたらどう思っただろうか。喉の渇きを癒やしに来たはずが、撮り終わるころには来たときの三倍くらい喉が渇いていたのだから、まったくもってひどい話なのであった。
それでも、飲んだ水はうまかった。
セミがわんわん鳴いていた。
これが、オレの夏の1コマである。
フォトコン「#夏の1コマ」に参加します。
AI画像ではありません。
三脚を立てて、セルフタイマーでよいしょと撮影しました。
#夏の1コマ
受講生様のnoteです。

