似てるのにすれ違う瀬以と検校|大河べらぼう13話
大河ドラマ「べらぼう」。
第十三話、「お江戸揺るがす座頭金」が放送されました。
前回の華やかで楽しかった俄祭りとは一変、市中のみならず武家にも及ぶ座頭金の恐ろしさに息を飲んだ回でしたね。
◎前回の俄祭りの楽しさを思い出したい方はこちらをどうぞ。朋誠堂喜三二の序文も楽しめる「明月余情」の画像付きです。↓ ↓ ↓
今回は、せめて本を買い入れようとやってきた蔦重に「(同情するくらいなら)店を畳んじゃくれませんかね!」と叫んだ鱗形屋の悲痛な言葉も、「こんなにどうしようもないことがあるのか」と苦しくなるほど印象的でした。なんと鱗形屋は再び偽版に手を出していたのですが、その理由が座頭金だったんですね。
鱗形屋の旦那(片岡愛之助)も蔦重のライバルとはいえ、本にかける愛情を私たちは知っていますから、やはり切なくなります。
※この節用集の偽版(史実では重版)事件については、下記の記事で詳しく書いています。またコメント欄には、静岡大学教授・小二田先生のまさに今回のトピックについてのお話を書いていただいてますので、ドラマと史実の違いが気になる方はぜひチェックしてみてください。
それでは、さっそく第十三回について、みんな気になる「瀬以と鳥山検校のすれちがう想い」、そして朋誠堂喜三二が描いた吉原のパロディ地図「娼妃地理記」をメインに、感想・考察していきたいと思います!
瀬以と検校のすれ違う想い。二人は似てる?
座頭金で追いつめられる人々
ちょうどドラマの時代、江戸中期頃は、座頭は高利貸しを許されて、あちこちでヤクザのような悪どい取り立てを行っていました。詳しくは以前の記事でも書きましたが、町人だけでなく武家までも命からがら出家をしたり、旗本の娘も身売りまでしなければいけなくなるとは。
当初は弱いものを守るための施策でしたが、人間というものは一筋縄ではいかない。田沼意次も大変ですね。意次と松平武元とのやりとりは、政治家でなくとも会社員経験者にはなんだか胃が痛くなりそうなシーンでした。
二人は似た者同士かも
鳥山検校は瀬以のために、着物を好きなだけ誂えさせようとしたり、本を山ほど買ってみたり。それでも自分が思いを寄せるほどには返ってこない苛立ちに、とうとう瀬以に「お前は骨の髄まで女郎だな」と罵ってしまいましたね。
それに答える瀬以の本音もまた切ない。「蔦重はわっちにとって光でありんした。けんど分かっておるのでありんす。主さんこそわっちをこの世の誰より大事にしてくださるお方であることは。こんな思いなど消えてしまえばいいと、わっちも願っておるのでありんすよ…」
いやー、泣いちゃう。
このシーンで「瀬川がlemon歌ってるぞ」とXで呟いた人がいて、ああ、そうだ。「今でもあなたは私の光」という歌詞があったことを思い出しました。それから私の頭ではずっと米津玄師のバラード「Lemon」が流れています。
鳥山検校と瀬以は、似た者同士なのかもしれません。常に相手の望みを察して答える遊女の慣いと、盲目ゆえに声で気配で全てを察する検校の技能。
だから瀬以は息が詰まる。察する必要のない蔦重が光に見える。でも検校が財を失いパワーバランスが崩れると、瀬以の見方も変わっていくかも…。
そうあってほしいなと祈るような気持ちです。
吉原のパロディ地図「娼妃地理記」とは?

さて話は変わって、「どうだろう、まあ」という口癖から、道蛇楼麻阿(どうだろうまあ)というペンネームで蔦重と本を作ることになった朋誠堂喜三二。冒頭シーンで話し込んでいたのは、この『娼妃地理記(しょうひちりき)』という本です。
なにやら名前は難しそうですが、吉原にある全部で五つの町(江戸町、江戸町二丁目、角町、新町、京町)を国として、遊女屋を郡に、そして遊女たちを名所として紹介しようという内容。日本地図をパロディーにした吉原地図、これも一つの吉原ガイドブックという感じですね(洒落本、遊女評判記などと紹介されています)。
※上図をよく見てもらうと、松葉郡(松葉屋)、大文字郡(大文字屋)など、ドラマをご覧の方にはお馴染みの名前がありますよ。

これは序文ページ。まさにドラマで蔦重と喜三二がアイデアを出し合っていたように、「書林(本屋/ここでは蔦重)から依頼されて仕方なく無い知恵をしぼっていたら、吉原細見を持ってきたのでそこからアイデアを出した」というようなことが書いてあります。
ドラマの冒頭での会話、「いっそ日本書紀で遊んじゃう?」とか言ってましたね。

実際、神話で遊んでました笑。神様たちが天の岩戸に入って真っ暗だから鼻柱と鼻柱がぶつかってこれが二柱。当時は三つ布団もない時代だから地べたに寝て〜なんて、日本国産みならぬ吉原国産みの経緯がしゃらしゃあしゃあしゃんぶくりんともっともらしくふざけ放題書かれています。ほんと、喜三二大先生、どうだろう、まあ笑。
※三つ布団とは最高位の遊女が使う三枚重ねの敷布団のこと。
おわりに(京伝も登場!)
今回は瀬以と鳥山検校が実は似た者同士では?ということ、そして朋誠堂喜三二の「娼妃地理記」をメインに感想・考察しました。
でも山東京伝がようやく登場したことや、そもそも主役の蔦重についてあんまり書けてない気がしますね。朋誠堂喜三二についてもまだまとめられてない。
◎追記/まとめました!下記にどうだろうまあ先生こと、朋誠堂喜三二の魅力をたっぷり書きましたので、ぜひ読んでみてください♪
今回はこれまで。
次回はさらに検校夫妻が窮地に陥る様子。蔦重と瀬以はどうなっていくでしょうか。
ドラマの感想、予想などコメントお待ちしてます♪
それではまたー!
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