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後付けの星座|【狸の短編小説】

 男が岸辺で石を拾っていた。
波が洗って、角が取れた平たい石。
それだけを選んでは、乾いた岩場に積み上げていく。

目的は、空に届くほどの塔を建てることだった。
指先の感覚が鈍るまで石を運んで、空腹が思考を止めるまで石を積む。

だが、塔がある程度の高さに達すると、決まって夜の嵐がそれを攫っていった。

 翌朝、男の目の前には昨日までと同じ、ただの岩場が広がっているだけ。
男はまた、平たい石を探し始める。

昨日と同じ場所で、昨日と同じ形の石を。
この行為に何が残るのか、男には分からない。

ただ、完成の先に全ての問いの答えがあるように思えて、男は必死だった。


 ある朝、男は積み上げる手を止めた。
視線を落とすと、足元には彼が捨てた無数の石が転がっている。

丸すぎる石、小さすぎる石、歪な形の石。
塔の材料にはならなかった無用なものたち。

男が費やした時間の澱のように、石たちが岸辺を埋め尽くしていた。

男は、その中の一つを拾い上げる。
平らではない、ただの丸い石。

それを波打ち際に置き始めた。
次は欠けた石を拾って、その隣に置く。

塔を建てることは、もうやめた。

男はただ、これまで捨ててきた石を拾い集めては、砂の上に一つずつ並べていった。

完成図はない。規則性もない。


 日が暮れる頃、男は振り返った。
彼が並べた石は遠浅の浜に沿って、長い頼りない線を引いている。

男は、この線が何を意味するのかを知らない。

ただ、自分がそこに置いたという事実だけが、満ちてくる潮騒の音と混じり合っていた。




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