第9話「体育祭」
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6月某日。
この日は都内のとある陸上競技場でサクコーの体育祭が行なわれる。2年生の場合クラスごとにA組から白・赤・青・黄・緑の各組に分けられ、学年別で優勝を目指す。生徒たちは各クラスカラーのハチマキを装着するのだが…
○○『へ~、そういう結び方があるんだ。』
森田「他にもいろいろあるよ。」
森田がハチマキをリボン風に結んでいるのを見た○○が話しかけ、談笑に発展していた。
松田「相良くん見て!」
○○『どうした…の……!?』
松田の声のした方を向くと、藤吉がハチマキを猫耳風に結んで立っていた。
藤吉「どうかな…」
○○『いいじゃん、似合ってる。』
藤吉「……!!」
田村「良かったな、夏鈴ちゃん!!」
藤吉「うん…!」
ピン「開会式始まるから整列するぞー」
『はーい』
トラックの内側に整列し、開会式が行われる。開会宣言に始まり前年度優勝組からトロフィーの返還、校長挨拶が行なわれた。最後に準備体操を行い開会式は終了、いよいよ競技が始まる。
…とは言ってみたものの、○○の出番までは少しあるので序盤は応援に専念する。
○○『行けー!!』
森田「頑張れー!」
松田「走れ走れぇー!!!」
しばらくして、○○の出番・二人三脚リレーが近付いてきた。
○○『じゃあ行ってくる。』
大園「頑張れー。」
増本「応援してますね。」
スタート地点に行くと、藤吉が待っていた。
藤吉「遅い…」
○○『ごめんごめん、頑張ろうね。』
藤吉「うん。」
「位置について、用意……」
“💥🔫”
前のランナー・松田&森田が良いペースで向かってくる。
松田「あとは頑張れ!」
○○『任せろ、行くよ?』
藤吉「うん。」
『せーの!』
松田たちから受け取ったバトンを快調に進める2人。向かう先には第三走者・田村と男バスの大城が待っている。抜かれることもなく田村たちの元までたどり着いた。
○○『後は任せた!!』
田村「OK!行くで!!」
大城「ああ!」
そうして田村&大城ペアが走って行った。足を結んでいたヒモを解きながら話す2人。
○○『1位でバトン渡せてよかったね。』
藤吉「うん。」
○○『ありがとう、藤吉が頑張ってペースについて来てくれたおかげだよ。』
藤吉「そんなことないって…///」
その後もそれぞれいくつかの競技に参加し、昼休憩の時間になった。
森田「さすがに相良くんも今日はお弁当なんだね。」
○○『こういう時までコンビニ飯はさすがにね。』
田村「そうやね。」
山﨑「混ぜろーっ!」
○○『なんか来た…』
山﨑「何かって何よ!」
そう言いながらも○○の隣に腰を下ろす山﨑。
山﨑「○○のお弁当美味しそうだね。」
○○『作ったの母さんだけどね。』
山﨑「おにぎりこれ何が入ってんの?」
○○『梅干し刻んで混ぜ込んでもらった。』
山﨑「へぇ~…これもーらい!」
○○『あ、おい!!』
隙を見た山﨑が○○の弁当箱から唐揚げを奪っていった。
山﨑「モグモグ)美味しい!!」
○○『人から奪っといてよく言うよ…』
山﨑「しょうがないなぁ……これあげる!」
○○『むぐぅ』
そう言いながら○○の口に卵焼きを突っ込む山﨑。
山﨑「どう?どう?」
○○『……普通に美味い。』
山﨑「やった……!!」
○○『??』
山﨑「実はその卵焼き…私が作ったの。」
○○『へー、山﨑が作ったんだ。』
山﨑「だから、美味しいって言ってくれて…私は嬉しい。」
○○『また作ってよ。』
山﨑「うん!」
森田「(ここまでされて気づかないって…)」
松田「(相良くんって…鈍い??)」
田村「(相良くんのたらし…!)」
藤吉「……フン」
○○『??』
ランチタイムも終わり、午後の競技に入る。○○の出番はしばらくなかったが、男子全員出場の騎馬戦に向かう時間が来た。すると、女子陣がざわざわし始めた。
藤吉「……」
増本「早くしないと相良くん行っちゃいますよ?」
藤吉「でも…」
○○『誰か呼んだ?』
田村「あ、ちょうどええところに来たな。」
松田「夏鈴が渡したいものあるって。」
藤吉「……これ。」
彼女が渡してきたのは手作りのお守りだった。
○○『お守り?本物の合戦じゃないから命取られるわけでもないのに…まあでも、ケガしないって意味では間違ってないかもね。』
藤吉「…ちゃんと帰って来てよ?」
男子「相良ー!はやくしろー!!」
○○『……任せて、勝鬨上げてくる。』
そう言って藤吉の頭をポンポンと撫でて入場門に向かっていった。
藤吉「……///」
森田「よかったね。」
○○が去っていった方を見つめる藤吉は完全に恋する乙女の表情をしていたというのは田村の述懐である。
やがて音楽が流れ、騎馬を組んだ男子たちが入場してきた。○○は下で騎馬になっていた。
“うおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!”
田村「いけぇぇぇぇぇぇぇ!」
森田「がんばれーーーー!!」
松田「つっこめーーー!!!」
藤吉「(頑張れ…)」
森田や田村、松田が声援を送る中、藤吉は祈るように見つめていた。やがて騎馬戦が終わり、男子たちが戻ってきた。○○も戻ってきたが一目散に藤吉のもとに駆け寄った。
○○『ありがとう、これのおかげで向こうの大将から取れた。』
そう言って○○は直前に渡されたお守りを出してきた。
藤吉「そんな…私は……」
○○『いやいや、藤吉のおかげだよ。本当ありがとう。』
藤吉「……どういたしまして。」
○○『……』
藤吉「……」
○○『いや、この間はなに?w』
藤吉「ふふ……」
ともあれ、この体育祭でふたりの距離は少し縮まった、そんな気がした。周囲は。
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