最近noteで読みがいのあった記事2025.5
『ワシの道草』三奇紋乃介さん著
創作大賞2025の応募作品です。オールカテゴリ部門
生まれ育った土地で地に足をつけて生きてきた60代のモモザワさん、一人称をワシと名乗るようになります。一人称は日本人にとってはアイデンティティとも強く関わるものですよね。さゆりさんなら、「さゆりはね」「わたし」「あたし」「あたい」「ぼく」「おれ」、たかきくんなら「たかきは」「ぼく」「おれ」「わたし」。年齢や性別から離れたいので、名前を言う場合もあります。小説では「おれ」「俺」「オレ」のどれにするかで印象も変わります。もちろん二人称でも、「さん」「くん」を付けたり、名字や名前を呼び捨てにすることで人間関係の規定がなされます。こんなことを考えながら読みました。冒頭で、「ワシ」が怒涛のように出現するので『百年の孤独』のアウレリャーノを思い出しました。そして「ワシ」にたいして意味上のゲシュタルト崩壊を起こしそうな自分に苦笑してしまいました。
最初、ピックマンというフィギュアが出てきたときは気にも留めなかったのに、後から出てくるハ行変格活用したフィギュアのネーミングセンスが絶妙で、クスリと笑ってしまいます。
モモザワさんは一緒に出掛けていない妻さんと 外でよく出会います。想い人なら運命の人かもしれないと思うのでしょうが、すでに結婚している夫婦なので、何とも思わない。つまり、運命なんていうものは勘違いとも言えますね。一方で、幼馴染のキヌエさんへのすでに消えた淡い思いは、モモザワさんの行動の動機になっている。なにもしなくても会うし共に生活している妻さんは安心できる人、対照的にキヌエさんは会いに行く人、嫉妬のようなものも憶える不安定な関係の人。この対比が面白く思えました。
年嵩の登場人物たちは60代なので、腰が痛いとか、身体の調子がというように、齢を重ねた人の些細な日常感が出ています。それでも嫉妬はする。内面は若い人とあまり変わらないというリアルが書いてあって微笑ましい。
平均的な子どもとは異なる行動をしてしまう特性を持ったジンくんの兄ちゃんが自然に存在している、その在り方が素晴らしいと思いました。作為的で、役割のために出演しているのではなく、みんなから心配されながらも、人間として存在している。上村もこういうふうに登場人物を描けたらいいなと思いました。
『【読書泊のしおり】心地よく本に浸る旅』
おかえり | 読書旅・会社員ライターさん著
創作大賞2025の応募作品です。ビジネス部門。
家ではなくて、外に出て本を読む、さらにその先の「本を読むために宿泊する」。日常にかまけていると読書できない、すすまないということもあるでしょう。読書に漬かる旅 刺激的だと思います。最近はブックホテルも増えてきているし、家、書店、図書館ではない四番目の場所としての機能が重視されているようです。幅さんのような方や、その人のためだけに選書をするソムリエのような方もいるので、目についた本を持って出掛けてみようという人も増えているのかもしれません。
記事ではステキなブックホテルが写真付きで紹介されているし、作者さんの読書への並々ならぬ思いが伝わって来て、影響されてしまいます。
『脱、ママ旅!』 はぐはぐさん著
創作大賞2025の応募作品です。コミックエッセイ部門。
子育てで迷い疲れることも多いママが、置き去りにしてきた自分を取り戻すまでの日常、気づきを描いた作品です。
いろいろな気付きが読み手をハッとさせて、ほんとうにそうだな、自分を見つめ直すいいきっかけになったなと思えるんです。
とくに第⑩話の「いつも若くて可愛い人ばかり見てると」「まるで本当に自分がそうなりたいように錯覚してくる」というところが納得できてスキです。
はぐはぐさん、ありがとうございます。
『つながる手』 三崎 遼一さん著
創作大賞2025のお仕事小説への応募作です。
丁寧な心理の描写、覚悟の描写があって、仕事をする人はこうであってほしいと思います。
第一話で、初心者から見ると、何をどうしているのかわからないけれど、きちんと場が整っていくというのは本当にそうで、そこを描いていることでリアリティが感じられました。
プロローグは応募の範囲ではないんですけど、前日譚のようなものなので、URLはこちらを載せておきます。
上村もまだぜんぶを読んではいないんですけど、続きを読むつもりです。
『片側だけで感じる彼・彼女』 説那さん著
note創作大賞2025の恋愛小説部門への応募作です。
Talesでの公開ですが、note.comの運営なので、
この記事の対象と考えて書きます。
上村はまだ第一話しか読んでいないんですが、
片目をつぶると相手が見えて、片耳を耳栓などでふさぐと相手の声が聞こえる、見聞きしたことのない設定で、興味を引かれます。脳科学史の分野で、脳梁と神の発明の関係が説かれたことを思い出しました。
男性と女性、それぞれの視点で交互に話が展開するので、片方だけではわからなかったところがわかり、楽しみなので、続きも読もうと思っています。
創作大賞に応募されているみなさんへ
今のところ見ていませんが、部門名の間違いに気を付けましょう。
オールカテゴリー部門ではなく、オールカテゴリ部門。(長音なし)
エッセー部門ではなくて、エッセイ部門。
ミステリ小説部門ではなくて、ミステリー小説部門。(長音あり)
コミック部門ではなくて、マンガ部門。
間違いやすい、あるいは間違えやすいのが このあたりだと思います。
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