[39]【再起の先にあるもの】人生が終わった日も、朝のコーヒーだけは飲んでいた。-新聞配達編-
◾️この物語は筆者の実体験をもとに執筆しています。
僕が生きてきた記録です。
朝の新聞配達を終えて、
七時に家に着く。
コーヒーをいれる。
お気に入りのカップで、
ゆっくり飲む。
電話が震えた。
プリペイド携帯の方だった。
松下さんだった。
「元気にしとるか?」
懐かしい声だった。
「あ、はい。
あの時は、黙って出ていってすいませんでした。
あのままだと、自分がダメになるような気がして。」
「ええんよ。
あれから随分経つし、もう落ち着いた頃かと思うてな。」
「ええ。
めちゃくちゃ大変でしたけど、
ようやく、最近になって、普通に暮らせてます。」
僕は話した。
ホームレスになったこと。
吉田と過ごしたこと。
鹿島に来て、新聞配達をしていること。
そんなことを、ぽつぽつと話した。
松下さんは、黙って聞いてくれた。
そして、つぶやくように言った。
「大変やったな。」
その一言だけで、
十分だった。
責められなかった。
笑われもしなかった。
ただ、聞いてくれた。
それだけで、胸の奥が少し緩んだ。
「俺は今、東京におるんやで。
流れ流れてな。
東京と茨城やったら、そんなに遠くないやろ?
今度、飯食おうや。」
不思議だった。
母に連絡を取った。
吉田にも連絡をした。
そして今度は、
松下さんから連絡があった。
何かの縁なのか。
それとも、周期みたいなものがあるのだろうか。
離れた人と、
もう一度つながる時期。
止まっていたものが、
また少しずつ動き出す時期。
それが一致した時、
人は再会したり、連絡を取り合ったりするのかもしれない。
そしてそれは、
何かの変わり目なのかもしれない。
松下さんとも、吉田とも、
「今度メシ食おう」と話した。
世話になった人たちだ。
会いたい気持ちはある。
再会もいい。
ご飯を食べるのもいい。
だけど、どこかで怖かった。
会えば、また何かが動き出す。
今の暮らしが、
また変わってしまうような気がした。
本当に会っていいのだろうか。
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6/29更新
創作大賞の応募や体調不良で
更新が遅れていました。
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「人生が終わった日も、朝のコーヒーだけは飲んでいた。」
【第一章・失踪編】


【第ニ章・新聞配達編】


