[8]【初めて、遅れずに配れた朝】人生が終わった日も、朝のコーヒーだけは飲んでいた。-新聞配達編-
■この物語は筆者の実体験をもとに執筆しています。
・正直、極限まで恥をさらしています。
・僕が生きてきた記録(ノンフィクション)です。
・ほぼ毎日更新を目指しています。
【初めて、遅れずに配れた朝】
日が変わって1時。
今日からはインスタントコーヒーだ。
まだ暗い。
まだ寒い。
でも___
昨日までとは、少しだけ違う気がした。
「___よし」
小さく呟いて、立ち上がる。
配達が始まる。
相変わらず、皆速い。
無駄がない。
僕だけが、少し遅れる。
焦る。
手元が狂いそうになる。
順番を間違えそうになる。
___落ち着け。
頭の中で、昨日見た地図を思い出す。
あの角を曲がって、
次は細い路地。
その先に___。
「あ___。」
身体が、止まらなかった。
迷わず曲がる。
そのまま、流れるようにポストへ入れる。
いける___。
気づけば、さっきまで見失っていた
前の人の背中が、まだ見えている。
走る。
置いていかれていない。
そのまま、配り切った。
息が上がる。
手は冷たく、インクで汚れている。
でも___
怒鳴られなかった。
それだけで、十分だった。
戻ると、宮本さんが一言だけ言った。
「___今日は早いやん。」
それだけ。
それだけなのに___
胸の奥が、少しだけ熱くなった。
配達が終わる。

自販機の前に立つ。
缶コーヒーを買う。
温かい。
一口、飲む。
コーヒーは、今日も苦い。
でも___
昨日より、少しだけ美味かった。
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「人生が終わった日も、朝のコーヒーだけは飲んでいた。」
【第一章・失踪編】
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【第二章・新聞配達編】
→目次から読む
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