ダンジョン第42階層【実録】『大魔女も唖然!絶望の東都校で放つ泥臭き大掃除と搾取の真実』
前回の物語はこちら👇️👇️👇️
01:フィジカル・ウェポン・プロキュアメント〈物理兵装の調達〉
金曜日の午前10時。
俺と大魔女(現場責任者)は約束通り、東都校のビル前に立っていた。
大魔女(現場責任者)は冷たい視線を俺に向け、静かに確認してくる。
「準備はいいわね」
俺は慌てて切り返す。
「いや、すみません」
「実はこっちで調達したいものがあるんです」
「それは何」
「今からじゃなきゃダメなの」
「実は、掃除道具です」
大魔女(現場責任者)は予想外の言葉に、呆れ果てた顔をした。
「それって、例え的な話じゃなかったの」
「いえいえ」
「本気ですよ」
「嘘でしょう」
「至って、真面目です」
俺は「すみません」と両手で拝むようにしながら、その場から逃げるように離脱した。
閉塞的…………………………………!!
1時間後。
両手に大量の掃除用具を抱え、再び東都校へ舞い戻る。
巫女(事務員)の案内で、大魔女(現場責任者)と没落貴族(過去にすがる上司)の黒金が応接室にいると聞く。
俺は挨拶に向かった。
応接室のドアを2回ノックし、入室する。
「おはようございます」
「すみません」
「遅れまして」
「お二人は今後の学校経営についてお話があると思うんで」
「私は早速、修練場(教室)の方に行ってもよろしいでしょうか」
黒金は渋い顔をしながら答えた。
「分かりました」
「増田さんに必ず一言声をかけてください」
このやり取りの端々から、黒金は魔女(女性リーダー)である増田に完全に頭が上がらないのだろうと推測できた。
俺は新たなる魔女との戦いに宿命を感じていた。
フィジカル・ウェポン・プロキュアメント〈物理兵装の調達(掃除道具購入)〉 完了。
すぐさま戦場へと向かった。
02:アブソリュート・クリーニング・デクラレーション〈絶対的浄化の布告〉
平日の午前11時。
修練場(教室)には、信徒(生徒)がたった2人しかいない。
魔導女師(女性講師)は5人在籍している。
1人を残して、他の4人は控え室で待機しているようだ。
俺は控え室のドアをノックした。
「おはようございます」
「西都校の異次元おじさんです」
魔女(女性リーダー)である増田が、明らかに嫌そうな顔で口を開く。
「あれ、今日でしたっけ。来られるの」
「あ、すみません。今日なんです」
俺は控え室の内部をぐるりと見渡した。
見習い魔導師(補助講師)は、添削作業を黙々とこなしている。
しかし、増田ともう一人の魔導女師(女性講師)は、お菓子を食べながら談笑し、休憩していた。
休憩というより、常にその状態が常態化しているのだろう。
退廃的……………………………!!
俺は極度の緊張とプレッシャーから、無駄に大げさなオーバーリアクションのルーティンに走った。
両手に持ったモップやバケツを天高く掲げた。
「シャキーン!」
自ら効果音を口走りながら決めポーズをとったのだ。
しかし、足元を滑らせてバランスを崩す。
見事にバケツを頭から被ってしまう。

視界が真っ暗になる。

『おい、おっさん!』
『バケツを被って自ら視界を封じるとか』
『ただの奇行種だ ワン!』
『痛々しい登場で、完全に控え室の空気を絶対零度にしてる ワン!』
魔犬ツンの冷酷無比な言語刃が、俺の心臓を容赦なく抉(えぐ)る!
痛恨的…!
俺はバケツを外す。
激しい恥ずかしさに耐えた。
一つ目の物理刃(自分軸)を心の中で強く詠唱した!
「発動せよ……!」
アブソリュート・クリーニング・デクラレーション〈絶対的浄化の布告(掃除開始宣言)〉 ッ!!
「多分、私がいても邪魔だと思うんです」
「教室とかこの控え室とか掃除をしてもいいですか」
俺は買ってきた掃除道具を力強く掲げる。
もう準備はできているとアピールする。
増田は驚いたように言う。
「あなた、わざわざ掃除するためここまで来たの」
俺はとぼけたふりをして返す。
「もちろんですけど…………」
「はっ………………」
「邪魔はしませんので、よろしくお願いします」
そう言い残し、俺は控え室を後にした。
「ちょっと、ちょっと待ってください」
増田の制止する声を背中で振り切る。
俺は戦場へと足を踏み入れる。
03:フィジカル・ディスペル・パージ〈物理的解呪排除〉
修練場(教室)の隅。
俺は本格的な浄化の準備を整える。
頭にバンダナを巻く。
口にはマスクを装着する。
腕まくりをして、バケツにたっぷりと水を汲む。

そこへ。
慌てた様子の増田が遅れてやってきた。
俺は笑顔で迎え撃つ。
「あー……」
「ちょうど良かった」
「ここいらないものも多そうなんです」
「増田さんも要るか要らないか判断してもらってもいいですか」
「あなた。何やってるかわかってんの」
「ええ、掃除ですけど」
「そういう意味じゃなくて」
「勝手に触るなって言いたいの」
反逆的…………………………………!!
俺は怯むことなく、論理の防壁を展開する。
「いいえ」
「すでに黒金さんには話は通してあるんで」
「諸領域の総督(統括部長)の梅木さんには了承を得ている件なんです」
「ご理解ください」
増田は苦虫を噛み潰したように、渋々黙り込んだ。
「私も忙しいですから、あとでやります」
「それまでは備品は隅に集めておいてください」
俺は残念そうに言い返す。
「そうですか」
「承知いたしました」
「よろしくお願いいたします」
俺は二つ目の物理刃(自分軸)を心の中で強く詠唱した!
「発動せよ……!」
フィジカル・ディスペル・パージ〈物理的解呪排除(不用品廃棄)〉 ッ!!
俺は猛然と片付けを開始した。
それにしても、教室の惨状は想像を絶していた。
長年使われていない古びたモニター、魔導板(パソコン)、製図用具、教材。
模造紙から鉛筆に至るまで、無造作に山積みになっている。
俺はそれらを力仕事として、次々と隅へ移動させていく。
本棚にある今の規定では使われることのない古い魔導書(ノウハウ)の数々も、容赦なく集めていく。

信徒(生徒)と魔導女師(女性講師)たちは、不思議そうな目で俺を見つめている。
きっと、一体何が起こっているのか全く理解できていないのだろう。
圧倒的………………………………!!
さらに俺は、閉ざされた窓を次々と開け放ち、カーテンを全開にする。
室内に澱んでいた重い瘴気(息苦しい空気)が、新鮮な風と共に少しずつ流れ出ていくのを確かに感じた。
04:エモーショナル・ダイブ・ヒアリング〈感情潜入聴取〉
片付けが一段落する。
俺は控え室で昼食をとることにした。
事前に買っておいた携行食(お弁当)を持ち込み、乗り込んでいく。
「お疲れ様です」
「私もここで昼食とってもいいですか」
声もなく、下層の魔導女師(女性講師)たちがペコリと会釈する。
俺は席に座る。
弁当を頬張りながら、何気なく声をかけた。
「掃除の後の弁当はうまいですよね」
彼女たちは「この人何言ってるんだよ」という冷ややかな目で、こちらをチラッと見てくる。
氷結的……………………………!!
俺は隣に座る魔導女師(女性講師)に、的を絞って問いかけた。
俺は三つ目の物理刃(自分軸)を心の中で高らかに詠唱した!
「いでよ……!」
エモーショナル・ダイブ・ヒアリング〈感情潜入聴取(本音の抽出)〉 ッ!!
彼女は渋々といった様子で一言答える。
「ええ」
「どのぐらいここで働いているのですか。」

「5年ですかね」
「それはすごいですね」
「ベテランじゃないですか」
「ここではそんなことはないの」
「私は下から2番目よ」
「そうなんですか」
「皆さん長くお勤めなんですね」
「そんなに居心地がいいんですか」
彼女の表情。
一瞬だけ鋭く歪んだ。
「そんなわけないじゃない」
「ここで返さなきゃいけないものがあるからいるのよ」
衝撃的……………………………!!
「そうなんですか」
「差し支えなければ、返さなきゃいけないものって何ですか」
「あなたも知ってるでしょう」
「ここでの終生奉納の聖約(ローン)よ」
俺は息を呑んだ。
「それだけなら他の仕事でも良くないですか」
「私は信徒(生徒)の時から、ここしか知らないの」
「だから今更、わざわざ他のところに行って1から仕事するの無理なの」
「ここの仕事なら既に信徒(生徒)の時から分かっているから」
彼女はそう吐き捨てるように言う。
ご飯を口に運び、深く黙り込んでしまった。
悪魔的…………………………………!!
俺はすべてを悟った。
ここにも、エターナル・エクスプロイテーション(永遠の搾取連鎖)という恐ろしい悪魔的錬金術(搾取のビジネスモデル)が深く根付いているのだ。
信徒(生徒)として高い金貨を払う。
その後は安い報酬で縛り付けられる。
どれだけ多くの人がこの負のシステムに迷い込んだのだろうか。
彼女もまた。
この残酷な世界の被害者の一人だったのだ。
残酷的…………………………………!!
【次回予告:ダンジョン第43階層】
東都校に蔓延る永遠の搾取システム!
魔導女師(女性講師)たちの心を縛り付ける呪いの正体を知った俺!
掃除というアナログな行動で空気を変えようとする。
魔女・増田の苛立ちは頂点に達する!
さらに、没落貴族(黒金)の無能さが現場に新たな混乱を引き起こす!
信徒(生徒)を救い出すため、俺の次なる物理刃はどこへ向かうのか!?
大魔女の冷たい眼差しが、すべての結末を見透かしている!
次なる死闘が今、幕を開ける!
次階層を見逃すな!
最後までお付き合いありがとうございます。
一気にこれまでの概要を知りたい方はこちら👇️👇️
【迷宮の深淵へようこそ】
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覚悟がある奴だけ、次のページをめくれ。
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