ダンジョン第66階層【実録】『限界突破の深夜超過駆動と救世主がもたらした完璧なる供物の奉納』!
前回の物語はこちら👇️👇️👇️
01:サバイバル・アライアンス・アライバル〈救世主の戦線合流〉
青木工業という巨大な壁に対し、伊藤統括導師(部長)の放った理不尽な呪い(無茶振り)によって、俺たちの計画は大きく狂わされていた。

全く手探りの状態で、奉納の絶対刻限(納期)だけが迫り来る。
圧倒的死地……………………!!
そんな中での翌朝。
田中工業のギルドマスター(社長)に直談判し、承諾を取り付けた清水さんが、魔導指導学校(資格学校)へとやってきた。

俺たちにとって、彼女の存在はまさに救世主であり、途切れかけた命脈を繋ぐ唯一の命綱だ。
通常なら、事前にダイレクト・ヒアリング・クエスト〈直接聴取魔法〉を行い、展開の術式(業務)の流れや理の急所(ポイント)を細かく伺う予定だった。
だが、今の俺たちにそんな悠長な時間はない。
1分1秒たりとも魔力(時間)を無駄にできない極限の状況下で、15年もの年月で培ってきたベテランの生身のアナログ三要素(血肉)による直接的なサポートを受けられる。
こんなにも力強いことはない。
平野さんと山口さんも、昨日の絶望的な顔から一転、少しだけ希望の見える笑顔を浮かべている。

俺は明るく声をかけた。

「清水さん、おはようございます」
「本日から、何卒よろしくお願いいたします!」
二人も続いて挨拶をした。
まさにサバイバル・アライアンス・アライバル〈救世主の戦線合流〉である。
02:マッド・コラボレーション〈泥臭き連携作業〉
早速、法理図(図面)を広げながらの実戦的な修練が始まった。
二人は昨日壁にぶつかった理の急所(ポイント)について、細かく質問を投げかけていった。
清水さんは対立していた関係が嘘のように、長年の経験に裏打ちされた言葉で丁寧に答えていく。

青木工業専用の複雑怪奇な縛理の書(ルール)の理解が深まり、見事なマッド・コラボレーション〈泥臭き連携作業〉を見せ始めている。
希望の光……………………………!!
俺は少し離れた場所からその様子を見守っていた。
極度のプレッシャーからか、無意識のうちに自分の体臭を猛烈に気にして、時折ワキのニオイをクンクンと嗅ぐという情けない仕草を繰り返す。

漂ってくる強烈な古の魔導師の残り香(加齢臭)を、溢れ出る歴戦の魔力だと脳内で勝手に自己完結し、一人で悦に入っていた。

『おい、おっさん!』
『そんな加齢臭を必死に嗅いで、自分の生存本能でも呼び覚まそうってのか ワン! 』
『さっさとその悪臭探知機をオフにして、目の前の修羅場に全神経を集中させろ ワン』
痛い。
痛すぎる正論だが、魔犬ツン(内なる声)の言う通りだ。
俺は慌ててワキから手を離し、誤魔化すように咳払いをしながら姿勢を正した。
「いでよ!!」
「テレパシック・コマンド〈遠隔意識誘導〉!」
俺は声の熱量で相手の意識を揺り動かす泥臭い魔法を放ち、現場の空気に介入していく。
作業の工程において無駄な魔力の空転がないか。
出戻りがないかを鋭くチェックし始めた。
黙々と魔導錬成(作図)は進む。
プリズン・ワークルーム(暗黒の作業室)は、息が詰まるような緊張感に包まれていた。
時計の針の音だけが、カチカチと不気味に響き渡る。
極限集中……………………………!!
予定よりも遅れたが、ついに1つの試練の問い(案件)の魔導錬成(作図)が完成した。
清水さんは画面の隅々まで厳しい視線を這わせ、魂の裁定(ジャッジ)を行う。
その眼差しは、獲物を捕らえるかのような鋭い洞察力に満ちていた。
03:ミッドナイト・シャドウ・ワーク〈深夜の影働き〉
魂の裁定(ジャッジ)の結果。
二人の魔導錬成(作図)には3箇所ほど物理的欠陥(バグ)が発見された。
概ね一通りの展開の術式(業務)の流れが理解できたと言える成果だった。
清水さんが約束通り1時間早く帰宅した後。
二人の過酷な戦いは終わらない。
黙々と魔導板(パソコン)に向かう。
目を真っ赤に充血させながら作業を進め続ける。

時計の針は無情にも夜の12時を過ぎていた。
深夜の静寂の中。
刻限外の魔力補給(残業)であるミッドナイト・シャドウ・ワーク〈深夜の影働き〉は延々と続く。
それでも二人は、昨日の遅れを取り返そうと必死で魔導錬成(作図)に没頭している。
狂気…!
俺は、自らの魂を削るようなその姿に胸を打たれる。

無駄に大げさなオーバーリアクションで力強く机を叩き、勢いよく立ち上がろうとした。
しかし、椅子のキャスターが滑って後ろにひっくり返りそうになり、机にしがみついて「ぐぬぉっ」と情けない声を漏らしてしまった。

『おい、おっさん!』
『大物ぶって立ち上がろうとした挙句、自爆してどうするんだ ワン!』
『そんな無様な体勢でこのクソゲー(社会)を生き残れると思ってるのか ワン』
再び魔犬ツンの声が響く。
俺は痛みを堪えながら体勢を立て直し、限界を迎えつつある二人に声をかけた。
「いでよ!!」
「メンタル・コミットメント〈腹を括る覚悟〉!」
俺は自らの覚悟を言葉に乗せ、泥臭い魔法を放った。
「二人とも」
「もうそろそろ」
「今日は終わりにしないか」
「まだあと2日はある」
「清水さんが来ていただいたことで、魂の裁定(ジャッジ)の日も魔導錬成(作図)に当てることが可能になった」
「明日、明後日の総力戦のために、体力を残しておこう」
カタカタと鳴り響いていた魔導鍵盤(キーボード)の音が止まる。
二人がこちらを振り向く。
「今日の作業は実際どうだったんだい?」
平野さんが少し明るい表情で重い口を開いた。
「昨日よりも理の急所(ポイント)をつかめたので、完全に立ち止まることはなくなりました」
「ただ、魔導錬成(作図)の斬撃の最短軌道(スピード)においてはまだ慣れてない部分も多く、当初の予定より1.5倍ぐらい遅い気がします」
俺は深く頷き、山口さんにも問いかけた。
「山口さんはどうなんだい?」
山口さんも真剣な眼差しで答える。

「私も疑問が解消され、なんとか進めるようになりました」
「ただ、平野さんよりも私の方が遅いような気がして……焦っています」
04:パーフェクト・デリバリー・イリュージョン〈完璧なる供物の奉納〉
俺は少し安堵の表情を浮かべる。
全身全霊で戦い抜いた二人に心からのねぎらいの言葉をかける。
「よくここまで持ち直したと思う」
「これも二人の血のにじむような努力のおかげだ」
「気を引き締めて、明日明後日とこなしていこう」
共鳴…!
俺は、二人の生身のアナログ三要素(血肉)の力を信じている。
俺は無い髪をかきあげる仕草をしてしまい、空を切った手が自らの額をペチッと虚しく強打する。
赤く腫れた額をさすりながら、最後の魔法を放った。
「いでよ!!」
「ダイレクト・ヒアリング・クエスト〈直接聴取魔法〉!」

「私は二人なら絶対にできると信じている」
「ただし、少しでも法理の瑕疵(課題)が見つかったら、一人で抱え込まずにすぐに報告をくれると嬉しい」
そう言って、その日の過酷な修練は解散となった。
翌日も同じように、清水さんは積極的に二人に関わろうと努力をしてくれた。
その教導のおかげで、二人の理の純度(品質)と斬撃の最短軌道(スピード)は格段に飛躍していた。

圧倒的進化…………………………!
最終的に清水さんが全ての魂の裁定(ジャッジ)を終える。
前日の夕方4時には全ての確認項目が完了し、供物の奉納(納品)に向けた最終準備に追われていた。
執務の間(会議室)にギルドマスター(社長)と俺も集まる。
なんとかパーフェクト・デリバリー・イリュージョン〈完璧なる供物の奉納〉ができる状態までこぎつけた。
ギルドマスター(社長)も深く息を吐き、少しだけ安堵の表情を見せていた。
奇跡的帰還…!
これで、伊藤統括導師(部長)の突きつけてきた理不尽な呪い(無茶振り)をやり遂げた。
俺たちの胸には自信が満ち溢れ、明日の決戦へと向かうことができる。
しかし、俺たちが完璧だと思い込んでいたこの供物の奉納(納品)が………………。
この直後。
絶対絶命のピンチを迎えることになるとは、この時はまだ微塵も気づいていなかったのだ。
次回予告:【ダンジョン第67階層】
歓喜に満ちた納品前夜から一転。
俺たちを待ち受けていたのは想像を絶する破滅的バグだった。
完璧なはずの陣形が音を立てて崩れ去り、伊藤統括導師(部長)の冷たい視線が再び俺たちの喉元に突きつけられる。
迫り来る奉納の絶対刻限(納期)の中。
尽きかけたMPを振り絞る二人に俺はどんな魔法を紡ぐのか!?
最後までお付き合いありがとうございます。
一気にこれまでの概要を知りたい方はこちら👇️👇️
【迷宮の深淵へようこそ】
この 「クソゲー(社会)」 から強制ログアウトさせられた、時給1,100円スタートの男の生存戦略。
覚悟がある奴だけ、次のページをめくれ。
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